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魔王は勇者を猫可愛がりする。猫だけに(魔王が)  作者: 山吹弓美


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059.街の中で

 セージローの巨体が見えなくなった後、はあとクロさんがでっかくため息をつきつつ肩を落とした。おや、何かあったのかな?


「つーかーれーたー」

「お見送りしただけ……じゃなさそうですね」

「公式な文書書くのって、それだけで疲れるんだぞ」


 ああ、そっか。

 クロさんがタカダくんに持たせたのは、国王としてのクロさんからシロガネ国の……多分王様だろうなあ、そこに差し出す正式なお手紙だったんだ。それを、クロさんは自分できっちり書いたと、そういうわけだ。


「そりゃ、大変だよねえ」

「そうなんだよ。堅苦しい文章書くのって、何であんなにしんどいんだろうな!」

「クロ様が慣れておられないからですよ。普段はリューミ様に押し付けてるんですから」

「にゃっ」


 一応同情はしてみたけどさ、ハナコさんが理由をぶちまけたところで同情心はかき消えた。うんまあ、たしかにクロさんよりリューミさんのほうが堅苦しい文章、得意そうだけどね。

 でも、国王としての仕事して疲れたのは事実だしなあ。せっかく街中に出てるんだし、このままゆっくりしてもいいんじゃなかろうか、と思ったところでハナコさんが再び口を開いた。


「どうせ、どこかに護衛がいるんでしょう? すこし、街の中の視察という名目でブラブラしませんか」

「お、それはいいな」


 いいのかよ。あと、どこかに護衛がいるって目立たないようにか。忍者とか、街の人に化けた兵士とかがいたりするのか。

 ……そのほうが、護衛はしやすいかもしれないな。変にごてごてした兵士とかが周りにどっさりいたらこう、めんどくさそう。あと、クロさんが嫌がって逃げたりしそうだし。猫だから、地味に敏捷性高いんだよねえ。


「アキラはほとんど外に出ていないだろう。うまい鶏鍋の店とか案内するぞ」


 で、どこかにいる護衛を気にすることなくクロさんは、そんな事を言ってきた。……何というか、セレクトがおっさん臭い気がするけど……魔王なんだし、おっさんか。猫だけど。


「いやクロ様、そこは普通スイーツを勧めるものです」

「え、そうなのか」

「というかクロ様、猫舌でしょうが」

「冷ましてもうまいもんはうまいんだ」


 亀と猫が漫才してる。ハナコさんがツッコミで、クロさんがボケ。ボケな魔王で国王でふさふさ猫って属性多すぎだよなあ、クロさんって。

 あーうん、でもハナコさんの言うことも納得。どうせ案内してもらうなら、美味しいスイーツの店教えてもらったほうが私は嬉しいもんね。もちろん、美味しい鶏鍋の店も嬉しいけどさ。お腹すいてたら。


「ま、クロ様のお好きな鶏鍋のお店にはフルーツパフェとかプリンとかありますから、そこでいいんじゃないですかね?」


 小さくため息を付いてからハナコさんは、フォローのつもりであろう言葉を出してきた。おお、鍋だけじゃないんだやりー。


「サイドメニュー、ちゃんとあるの? それなら行きたいー」

「そ、そうか! よし、すぐに案内するぞ!」


 なんで乗ってみたら、クロさんは分かりやすく元気になった。毛がふわっとなって耳がピンと立ったから、すぐ分かるよこれは。

 「さあさあ、あっちだ」と指差す方向にとことこ歩き始めるクロさんの後ろを、私とハナコさんが追っかけ始めた。ほんとにこれ、国王陛下とそのお世話係御一行様か? ま、その周辺にこっそり護衛とかいるみたいだけどさ。


「あ、クロ様だー」

「おうさまー」


 のんびり街を歩いていると、子どもたちが駆け寄ってきた。犬だったりトカゲだったり、人間かなと思ったら小さい角としっぽがあって、ああ牛だって分かるような子もいる。

 そういういろんな子たちがクロさんの周りに群がって、楽しそうに笑っている。おお、ちゃんと尊敬されてる国王なんだ、クロさんって。


「おー、よしよし。皆息災か?」

「そくさいだよー」

「そくさいそくさいー」


 ……ミカさんに聞くまで、私も息災の意味知らなかったんだけどさ。あの子たちが知ってるとはとても思えないんだけど、クロさんが言った言葉をそのまま返して喜んでる。


「驚いたかい?」

「はい。慕われてるんですね」

「なんだかんだで、国王陛下としてはちゃんとした政治してるしね。あと、ひと懐こい性格が知れ渡ってるから」


 ハナコさんの言葉に、ああそういうことかと納得した。

 いくら子どもたちでも、気難しい王様のところに駆け寄ったりしないもんな。怒られる、ってのを親から教わってると思うし。

 あーいや、気難しい王様だったら怒られるだけで済まないかもしれないのか。最悪ばっさり斬られたり、なんてことがあるかも。


「その分、敵には容赦ないんだけどね。特にモイチノ王国とか、イコン過激派とか」

「……私、よく助けてもらえたなーと思う」

「それはあたしも思う」


 いやほんと、私自分で覚えてないけど最初はクロさんの敵、だったはずなんだよなあ。それがいろいろあって、クロさんのお世話係とか……ほんとに敵には容赦ないのか? 実際のところ、私見てないぞ。

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