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魔王は勇者を猫可愛がりする。猫だけに(魔王が)  作者: 山吹弓美


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057.副官はまとめる、魔王国の意を

 シロガネ国の王家が、第二王妃の影響によりモイチノ王国寄りになりつつあることは、噂になっていた。ここに来てロンカ姫の証言を取ることができ、それが事実になりつつあることに私も、魔王様も危惧せざるを得ない。

 この世界では、シロガネ国は一、二を争う大国である。その大国が魔族排除を是とすることになってしまえば、魔王様は本当に魔王として戦場に立たねばならなくなるかもしれない。それだけは、やめていただきたいからな。


「シロガネ国のカサイには、カレンから言ってもらうのが一番か。あとシロガネの王な」

「そうですね。そもそも、本来はカレン殿がカサイの代表であるはずですから」


 幸い、我がラーナン魔王国にはカサイ・カレン殿が滞在しておられる。彼女は魔術の大家カサイ一族の本来の現当主であり、現在はシロガネ王城に滞在している従弟殿が代行としておられるだけだ。

 そもそもカレン殿は、当人が修行と興味によりこの国にやってきただけだ。代行殿はそのことに不満を持ち、自身が当主代行となることを条件に我が国への入国を認めた経緯がある。

 ……代行殿は、馬鹿であろうかな。実力でいえば彼は、カレン殿の足元にも及ばないのだから。カサイ一族は、その魔術の実力を持って当主が決まる一族だと言うのに。


「何でうちに来るって言っただけで、代表失格とか言われるんだろうな。馬鹿か」

「第二王妃が頑張って、裏で動いていたんじゃないですかね。調べていませんから、推測になりますが」


 魔王様もそのあたりは常々疑問に思っておられたようだが、私としては自身の推測が正解だろうと考えている。そうでもなければ、当主がどの国に行こうが知ったことではないだろう。

 第一、カサイ一族のトップであると言うだけでは実際に権力があるわけではないのだ。ただ、その者が行使する術に誰もかなわない、というだけで。……事実上、権力か。だが、努力すれば術の能力は向上するそうだからなあ。


「じゃ、カレンに頼むか。俺から言ったほうがいいよな?」

「相手が相手ですし、そうですね」


 現在シロガネ国にいるカサイ一族の当主代行と、そしてシロガネの王。彼らに対し、カサイの本当の当主であるカレン殿から文を出し、第二王妃の行為についてしっかりと正してもらわねばなるまい。

 それが駄目なら……戦もやむを得ないのかもしれないな。正直面倒なんで、カレン殿の威光にビビって引っ込んでいただきたいわけだが。

 ふむ。いくつか、ダメ押しをしておくか。


「カレン殿の文に、魔王様からも一筆寄せていただけるとよろしいかと。シロガネ王に親展でお出ししますので」

「おう、分かった。そのほうがいいな」


 ラーナン魔王国国王ラーナン・クロからも、よろしく頼むとシロガネの王に文をしたためていただく。何しろ魔王と呼ばれる存在であるからして、それなりに脅しのネタにはなるだろうな。


「じゃ、タカダくんで出すか」

「しゃ!」


 シロガネ王への親展、つまり王が直接開かねばならぬ文。それを送るための伝書蛇に、魔王様はご自身のタカダくんを選ばれた。

 ではもう一つ、脅しのネタを積んでおこう。


「カレン殿にも出していただくのですから、彼女からも伝書蛇を遣わしてもらうのが良いかと」

「サンジロー、オトジロー、セージローのどれかか?」

「はい」


 三匹……いや、三頭の伝書蛇たちは、全てがカレン殿の使い魔である。タカダくんや私のヤマダくんなどが手のひらに乗ったり、肩に載せられたりするサイズなのに対し、彼らは……見上げるほどの巨大な身体を有している。

 そこまで大きくなるともちろん城の中では飼うことができず、カレン殿は城のすぐそばに広大な領地を持ちそこで彼らを飼っている。彼らは己の魔力で寒さを克服し、たまには自力で食料を狩りに行くこともあるらしい。いや、伝書蛇はそもそも食事がとても少なく済む種族なのだがな。

 その巨大な伝書蛇は、膨大な魔力を持つ主でなければ制御できない。魔法を操って、敵を攻撃することすらできるという。その巨蛇を三頭も同時に制御できるのは、さすがカサイの当主といったところだが。

 攻撃できるかどうかはともかくとして、巨体の伝書蛇を遣わせばシロガネ国……の中にいる第二王妃だって腰を抜かすだろう。カサイの当主代行はさて、どう反応するだろうか。


「彼らの巨体で威圧できますからね。どの子を出していただくのか、カレン殿に選んでいただきましょうか」

「そうだな。確か第二王妃、カレンの伝書蛇見たことないよな」

「おそらくは」


 巨体の伝書蛇たちは、その巨体故にあまり都などには入らないと聞く。この国で城のそばに置かれているのは単に、それだけ広い土地が空いていたというだけの話だ。荒れ野だったからなあ、ひとが住むにも適していなかった土地だし。


「では、すぐに手配を」

「俺も行く。どうせ、カレンに頼むのは俺だしな」

「それは助かります」


 とにかく、シロガネ内部の親モイチノ派をどうにかしないとな。ああ、面倒だ。

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