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魔王は勇者を猫可愛がりする。猫だけに(魔王が)  作者: 山吹弓美


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054.道は選べるか

 カサイの一族。この世界では名高い魔法使いの一族で、あちこちの国に顔が利く。もちろん、シロガネ国とも。


「それで、カレンさんも一緒にどうかと思って」

「シロガネの姫君ねえ。そういや、あちらの王族には最近とんとお会いしてないわー」


 まあそんなわけで、私は剣の師匠であるカレンさんにお茶会に来ませんかと誘ったわけだ。カレンさん本人じゃないけど、カサイの人が実際シロガネ国の王様に仕えてるらしいし。


「分かった。カサイの一族として、ご挨拶しないのもなんだしね。問題がなさそうなら、ご一緒させていただくわ」

「ありがとうございますー」


 で、カレンさんは頷いてくれたのでほっと胸をなでおろしたわけよ。嫌だと言われたら引っ込むしかないけどね、まだまだ勝てないもん。


「んで、シロガネ国とうちとの交流のために来たってこと? その姫君」

「そんな感じですかねー。あんまり詳しいことは聞いてませんけど」

「ふうん」


 うん、実際その程度のことしか聞いてないと思う、私。というか、聞かせてもしょうがない上にどっかに漏れたらやばいかもしれない情報なんて、私のところに来るわけないし。


「……厄介払いされたか、逆に避難させられたかどっちかね」

「は?」

「その姫君。王族なんて、一皮むけば権力争いの最たるもんだから」


 まあ、そのくらいは私も分かる。ってか、そうか。第二王女様がわざわざ他所の国に来る理由って、そういうのもあるんだ。

 国内にいたら邪魔な存在なのか、逆に危ないのか。そのどっちかだと、カレンさんは言ってるわけだ。


「どっちみち、うちの城にいたほうが国にいるよりは安全なんだと思うわ。へんな忍びとか来なければ、だけど」

「この前来てましたねえ。うさ耳付けて獣人のメイドに化けたのが」


 変な忍び、と言われてすぐに出てくるのがあの偽メイドさんってのはどうなんだ、自分。でもまあ、ほんとに目の前に出てきてくれたのとリューミさんたちから聞いたその後がアレだったんで、印象が強いというか。


「噂は聞いたわよ。ガーゴイル好きなんだって?」

「らしいです。がーすけで釣って情報引きずり出したらしいですよ、リューミさんが言ってました」

「ひとの趣味はわからないわあ」


 ただ、そこらへんの好みはカレンさんでもわからないらしい。ちなみにこの人は伝書蛇スキーなんだけど、この世界だとそれは結構一般的な趣味らしいからねえ。あの子たち、普通に通信手段として使われてる存在なわけだし。


「ま、私の趣味じゃないから分からなくても構わないわよね。私はわたしの道を行く」

「私もです。……まだその道が、よく分かりませんけど」

「そうね。この世界に来てそんなに経ってないし」


 ぐーを掲げたカレンさんに思わず乗ってみる。そうするとカレンさんは、ふと私の顔を見返してきた。


「……帰りたくないの?」

「……どうなんでしょう」


 尋ねられたんだけど、正直分からない。元の世界で女子高生やって、勉強してテストして受験して大学行って社会人になって、そういう生活に戻れるなら……戻りたい、かもしれない。

 でも、今の生活、結構楽しいんだよね。クロさんの毛皮のお手入れしてあげたり肉球もふもふしたりお腹もふもふしたり、ミカさんやハナコさんとお茶したりご飯食べたりお話ししたり、カレンさんと剣の修行したりとか。


「よく分かんないですね、それこそ」

「まあ、そういうもんかもしれないわね」


 なんで、正直な気持ちを口にしたらカレンさんは厳かに頷いた。帰れるかどうかも分からない状況だし、どうせならこっちの生活楽しみたいじゃない?


「それに、よその世界との行き来ってホントは駄目なんですよね? そういう話、聞いたような」

「一応ね。ただ、連れてこられた者を返すのは多分例外として認められると思う。……それをできる術者がいるかどうか分からないけど、でも連れてこられたのなら最低一人はいるわけよね」


 あ、そこは盲点だった。

 そうだ、私って勝手に連れてこられたんだよね。餅の国の連中に。だったら、餅の国には最低でもそういうことできるやつがいるわけだ。


「でも、餅の国が力貸してくれると思います?」

「まっっっっっったく思わない」


 あっさりぶった切られた。ですよねー、私のこともきっと消そうとしてるか知らん顔かであろう餅の国が、私を元の世界に返すのなんてやってくれるわけないですよねー。

 うん、だからあきらめてもいいんだけど……でも、帰れるのかな、とはちょっとだけ思った。手段も、見えてるわけだし。


「だからこちらの国やその周りで探すか、もしくはモイチノ王国をぶっ潰して当の術者を捕まえてくるか、かしらね」

「結構物騒なこと言いますね……」

「それだけのことしたのよ、モイチノは」


 ただ、その手段を提案してきた人が大変に物騒な方向に話を持っていきたがるのでこれはこれでやめさせたほうがいいんじゃないだろうか!

 というか、カサイの一族にそういう魔法使える人っているんじゃないのかな? まあ、カレンさんが大丈夫って言ってるけど実際のところ、犯罪とかなりそうだから使ってもらうのはちょっと……ねえ。

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