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魔王は勇者を猫可愛がりする。猫だけに(魔王が)  作者: 山吹弓美


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047.お姫様

「は、はじめまして。スメラギ・ロンカです」


 十日ほどしてやってきたお姫様は、黒髪つやつやロングの小柄でちょっとぽっちゃりした感じの子だった。

 着てる服はほんわかパステルカラー、緑系なのはこの国が緑が少ないらしいのを意識したんだろうかね。寒い国だと、どうしても暗い感じになるし。

 で、ミカさんは逃げ出したのか知らないけど今日はお休みなので、私とハナコさんがお出迎えすることになった。って、ここクロさんのお部屋なんですけど、まあいいか。ロンカ姫の横にいるし、後で聞いてやる。

 まずは、ご挨拶から。


「はじめまして。友堂晶だよ」

「はじめまして、ハナコですよ」

「ひゃっ」


 あー、分かりやすく飛び退いた。

 私と一緒で、大きなリクガメがいきなり言葉話したら驚く環境にいたっぽいな。シロガネ国も、そういう国なんだってことか。


「あはは、そりゃ驚きますよねー。大丈夫ですよ、あたしゲンブ様の子孫ですから」

「そ、そうなんですか……」


 それで大丈夫なんかい。いや、クロさんがビャッコ様とやらの子孫らしいし、それで話が通る世界なんだろうからいいや。


「よ、よろしく、おねがいします」

「よろしく」

「よろしくねー」


 ひとまず、ロンカ姫相手の顔合わせは終わった。ということで。


「……で、クロさん」

「何だ?」

「何でロンカ姫、ここに来てんの? 先に説明してくれればよかったんだけど、それもなかったから」


 ここ、と言いながら床を指差す。

 別に、お姫様と同じ部屋で過ごすことは何とも思わないけどさ。私たちはクロさんのお世話係で、ロンカ姫がここにつれてこられたってことは彼女のお世話もしろってことだろうけどさ。

 先に説明くらいしとけっつーの、ねえハナコさん?


「そうですね。いきなりお連れされて、ロンカ様も驚いておられると思いますがそれはあたしたちもなんで」

「あー、悪い悪い。警備の都合もあってなー」

「警備」


 警備の都合って……情報漏れ警戒してるとか、そういう事言う? 何しろ偽メイドさんとかマタタビ事件とかもあったわけだし。

 でもそれって、私たちにまで先に言っておかないとかなるわけ?


「どこで誰が聞いてるかもしれないからな。念の為、ってことだ。いやほんと悪かった、後で腹をもふもふしていいぞ」

「う」


 クロさんから、とんでもない条件を提示された。腹もふが行けるならそれは……あーまー、そういうことならいいか?


「夜は客間で休んでもらうから、そこらへんは大丈夫だぞ」

「まあ、そりゃそうですよね」

「あ、ああ、そうですよね……さすがに、国王陛下と同じお部屋で休むというのは私、とても失礼です……」


 あれ、なんというか……最初からそうだったけど、おどおどしてるっぽい? 気が弱そう、っていうのは見てすぐわかるけどさ。

 でも、第二王女様なんだよね。別に王位継承権がどうとかはいいけど、この性格だと王様にならないほうが本人のためな気もする。もしかして、ミカさんが頭抱えてたのはお姫様のこの性格か?


「しばらくの間は、昼間はここで過ごしてもらう。タイミングを見計らって、執務室を作るさ」

「あ、は、はい」


 執務室。そういうものを作る、というクロさんの言葉に、ロンカ姫は小さく頷いた。ああ、一応仕事するためにこのお城に来たんだな、彼女。

 何のお仕事かは、聞かないことにしよう。どうせ、私が手を出せるようなもんでもないだろうしね。


「ミカは既に知ってるだろうが、アキラやハナコはそのミカの仕事仲間だ。気兼ねしなくていい」

「そ、そうなんですか? ミカちゃん、元気ですか?」

「ああ、元気も元気。センダくんも元気にしてるぞ」

「……そうですか……よかったあ」


 センダくんのことも知ってるみたいね。ミカさん、いつ頃からセンダくん連れてるんだろうな? タカダくんやヤマダくんと違って毛が生えてない子だから、もしかしてシロガネ国にいるときから一緒にいたのかもね。


「すぐにミカも戻ってくるはずだから、そうしたら今日は皆でこの部屋でのんびりしてるといい。俺はこれから会議が詰まってる」

「いきなり放置プレイですか。クロ様、なかなか高度なプレイですね」

「なんつー言い方だ、ハナコ」


 それは私もそう思う。いきなり連れてきていきなり自分の部屋にほったらかしとか、この猫は何を考えてるんだかねえ。


「いやだって、ハナコはともかくアキラもミカもロンカ姫とは年齢近いし。そっちのほうが、打ち解けやすいだろ?」

「……あ、えっと、はい」


 ああ、そういうことか。まずは知り合いのミカさんや、その周りにいる私やハナコさんと話させて和ませるってことね。

 ……説明しろよ。全くこの猫は、後の腹もふはたっぷりしてやるからな。覚悟しておきなされ。


「まあ、そういうことであればこちらは構いませんが。いつ頃までお預かりすればよろしいですか?」


 ハナコさんが、ずばりと尋ねた。いずれは移動するってんなら、いつまで相手してりゃいいかくらいは教えてほしいもんね。


「十日、というところかな。城の中の大掃除を済ませてからだから、少し遅れるかもしれんが」

「分かりました。ロンカ様、そういうことですので十日ほど、こちらでお過ごしくださいませ」

「は、はい。ありがとう、ございます」


 十日、か。

 このお姫様を面倒見るの、本当に十日でいい……わけないと思う。多分、きっと。理由はないけど、そんな気がする。

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