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魔王は勇者を猫可愛がりする。猫だけに(魔王が)  作者: 山吹弓美


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042.もふりもふもふ

「魔王様!」


 更にその翌日。リューミさんが、足早にプライベートルームの方にやってきた。今日は私とミカさん、足の肉球マッサージを仰せつかっているので結構お間抜けな格好なんだけど、まあいいか。


「おう。リューミ、どうした」

「侵入者を捕縛しました。マスダくんの主のようです」

「そりゃよかった。で」

「魔王様に出所不明のマタタビをお渡しした偽メイドの相棒、のようです。やはりモイチノからの潜入だと」

「やっぱりか」


 わー、捕まえるの結構早かった。ていうかそうだ、偽メイドさんいたんだっけ。その相棒さんってことは、一緒に入り込んできたわけだ。

 ……警備、もっとしっかりしないとだめだね。いや、私に何ができるわけでもないけどさ。


「任せる。死なないレベルできりきり吐かせろ」

「承知いたしました」


 クロさんの指示はとっても簡単なもので、リューミさんもそれを当たり前のように受け取って頭を下げる。「では、ごゆっくり」と閉まる扉の向こうから聞こえたのは……気のせいかな。

 というか。


「リューミさんの死なないレベルって、どのくらいなんだろ……」


 いやだって、尋問でもふもふお預けとかするひとだもん。一体どんな尋問になるのか、よくわからないよ。

 そう思いつつ肉球の感触堪能しつつ、ミカさんに目を向ける。彼女なら、何か分かるかな。


「目の前でご馳走フルコースとか、もふもふ全開とか?」

「そんなところかな。少なくとも、痛い尋問じゃないよね?」

「俺もそう思う」


 あ、クロさんがミカさんや私の意見に賛同してくれた。痛くはないけど、意地悪な尋問だよねえとは思う……ま、いいのか。痛くないし。


「しゃ、しゃしゃ」

「え、ヤマダくんが相手の足の裏ぺろぺろ?」


 センダくんの意見を通訳してくれて、ミカさんが目を丸くする。足の裏……それ、くすぐったそうだなあ。でも、足の裏か……。


「ヤマダくんがかわいそうじゃない、それ? 何か汚い感じするもん」

「ちゃんとうがいはさせる、とリューミは言っていたぞ」

「いやそうじゃなくて……って、やったことあるんかーい!」


 既にやってるのかよ。ヤマダくんも嫌なら嫌って言えば、きっとリューミさんはやめてくれると思うんだけど。

 ……あ。もしかして、偽メイドさんにやったのかもしれない。まだ、ちゃんと話したって情報は来てないよね。


「そういえば偽メイドさん、口割った?」

「いや、まだらしいぞ」

「タフだねー」

「タフですねー」


 まだだったのか。そこそこ時間経ってるはずだけど、スパイに入るだけのことはあるってか。

 でも、そろそろ攻略の糸口は見えてるんじゃないかな、って思ったんだけど。


「ただ、がーすけにはちょっと傾いてるらしい。もう少しだ、とリューミも言っていたな」

「がーすけって、あの石みたいな子?」

「そうだ」


 ほら、やっぱり。

 むう、偽メイドさん、ああいうのが好みだったのか。ひとそれぞれだよねえ。でも、たしかに可愛かったけどな、がーすけ。

 外見が良かったのか手触りが良かったのかそれ以外か、さてさて。


「まあ、もう少しで偽メイドが口を割るだろうな。案外、後から捕まったほうが速攻で、かもしれんが」

「どっちでもいいですけど、手早く片付いてほしいですねえ」

「ほんとだねえ」


 何にしろ、自分のお城にスパイが潜入してたってのはクロさんにとってはあんまり気持ちのいいものじゃないからね。

 情報なり相手の素性なり、とっとと解明して今後の対策に役立てないと。


「ところで。アキラ、ミカ」

『はい?』


 不意に、クロさんに名前を呼ばれて間抜けな声で返事を返した。これは私だけじゃなくて、ミカさんも。


「マッサージはもういい」


 今までクロさんはベッドの上に仰向けになってたんだけど、そこからひょいと起き上がった。そうして、私とミカさんの襟首を爪でうまく引っ掛けて、自分の腹の上に載せた。おおう、もふもふ腹が最高。


「ひゃっ」

「いつも面倒かけてるなー。いいこいいこ」


 そうして、私たちの頭をクロさんの肉球が撫でる。ふわふわともふもふの相乗効果で、思わず顔がにやけてしまうじゃないの。


「……こ、これは」

「……つまり、今日は私たちのほうがモフられている、と」

「まあ、そういうことだ」


 な、なんだってー、と叫びたくなってしまった。いや、いつも国王陛下の肉球やら腹やら尻尾やらもふもふなでなでふわふわしてる私たちも大概だと思うんだけど、一応お世話役という任務だしさ。

 でも考えてみたら、これ大丈夫なんだろうか? お世話役が、お世話されてる感じじゃない?

 ああ、でも。


「うぅ、肉球の感覚最高……」

「だから、クロ様のお腹は眠気を誘うんですからあ」

「いいぞー。今日は俺がモフりタイムだからな!」


 あ、クロさんがめちゃくちゃ上機嫌だ。よくわからないけど、毛皮もないしあまりさわり心地も良くないだろう人間を、それも二人同時にモフっても大したことないんじゃないかと思うんだけど。

 でも、なんか、すっごくきもちよくって、……あー、眠い。

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