表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王は勇者を猫可愛がりする。猫だけに(魔王が)  作者: 山吹弓美


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/101

038.かわいい伝書蛇

 クロさんに間に入ってもらって手配をしてもらい、翌日のお昼過ぎに私とミカさん、それにセンダくんはリューミさんのお部屋を訪れた。

 クロさんのお部屋よりは小さいけれど、そりゃクロさんは魔王だもんなあ。私がもらってる部屋よりはずっと大きい、と思う。扉がめちゃくちゃでかいし。

 呼び鈴を鳴らしたら、丸っこいケモ耳のメイドさんが出てきた。私たちの自己紹介に「アキラ様、ミカ様でございますね。少々お待ち下さい」と頭を下げた彼女、尻尾が太めのしましま模様だった。アライグマか何かかなあ、あれももふもふしたいけど我慢。

 そうして、すぐにリューミさんが顔を見せてくれた。


「魔王様より、話は伺っている。入れ」

「それじゃ、失礼します」

「お邪魔しまーす」

「しゃあ!」


 ちゃんとセンダくんもご挨拶して、室内に入れてもらう。ああ、やっぱり私の部屋よりは広いや。つーか、今入ったこの部屋って多分お仕事用だな。奥に扉が見えるから、あの奥がプライベートスペースなんだろう。


「しゃ?」


 お仕事用のでっかい机と応接セットがある、シンプルなお部屋。そのでっかい机の上に、緑のあの子が入った籠が置かれていた。横に餌のセットや水の入った瓶が置いてあって、結構大事にしてもらってるみたい。

 その籠の中から緑の子は、首を傾げてこっちを見ていた。つやつやと大変元気そうで何よりだ、うん。


「ひとまず落ち着いたようでな。こちらからも、センダくんには来てもらおうと思っていたところだ」

「そうだったんだ」


 なんとなくだけど、リューミさんがほっとしてるように見える。慣れない伝書蛇のお世話に気を使ったのかなあ、と思ったんだけど。

 それにしては飼育環境が整ってる、気がする。


「あれ、でもリューミ様のところ、ヤマダくんいますよね?」

「うちの子とは、いまいち相性が合わないと言うか……いや、仲は悪くないんだが」

「しゃ」


 え、と思ったら椅子の陰からこそっと、小さな赤い頭が姿を見せた。

 ふわふわ毛並みの、朱色に近い明るい赤色の伝書蛇。ヤマダくんってミカさんが呼んだこの子、タレ目だ。いるんだ、タレ目の蛇。


「いたんだ」

「主に城内部の連絡用にな。何しろ、うちのヤマダくんはこの通り、引っ込み思案でな……」

「……しゃ」


 リューミさんに名前を呼ばれて小さく頭を下げて、ヤマダくんは椅子の陰に再び隠れた。

 いや、その性格で城の中とはいえ動けるのか? ああいや、隠密移動とかするんだろうか。そのほうが人に知られにくい……けど、うーん。

 籠の中の子は、ヤマダくんのこと何か心配そうに見ているな。……逆に気苦労かけさせちゃいそうだな、たしかに。


「分かりました。センダくん、この子とお話してあげてね」

「しゃあ!」


 一方センダくんの方はミカさんに元気そうに返事して、ひょいと飛んでいった。……あ、先にヤマダくんのところに行ってる。何の話してんだろうね? ま、いいけど。


「あの子、籠から出さないの? まあ、逃げられたら困るけど」


 ヤマダくんを連れて籠の前に落ち着いたセンダくんと、そのセンダくんとお話してるっぽい緑の子を見ながら何となくリューミさんに聞いてみる。いや、何かあの子逃げない気がするんだけど、気のせいかな。

 そうしてリューミさんは、その私の推測とはあまり遠くないんじゃないか、って答えをくれた。


「この城に、敵の忍びがもういないとは言い切れないからな。この子の身柄を保護するためだ」

「……え」

「他の伝書蛇を経由すれば、この子が持つ情報を私たちは手に入れることができる。敵にとっては、それは避けたいだろう」


 うっわあ、敵にとっ捕まったスパイの末路ー。と、そういや緑の子もスパイ……なのか。多分。そこら辺はセンダくんにお願いするとして、だ。


「いけません! こんな可愛い子はちゃんと守らなくちゃ!」

「そうだよ、この子たちみんな守ってあげないと!」


 思わず、ミカさんと声がかぶってしまった。毛が生えててふわふわした子も、毛が生えてなくてつやつやした子も、伝書蛇ってなんというか愛嬌があって可愛いんだよね。私が蛇、あんまり嫌いじゃないからかもしれないけどさ。


「しゃあ! しゃしゃしゃ、しゃあ!」

「センダくんも同じ意見みたいですね。この子悪い子じゃないから、ぼくが守るって言ってます」


 ミカさんがセンダくんの言葉を通訳してくれたけど、そのめっちゃやる気な態度で分かる。えっへん、と胸張ってるし。

 その隣で小さくなってるヤマダくんに、リューミさんが声をかけた。


「ヤマダくんは、どうだ?」

「……しゃ」

「お前も同意見か」

「しゃあ、しゃ」


 おっとりした言い方だけど、なんというか僕も頑張る、みたいなことを言ってる気がする。いかん、この子も可愛い。


「しゃしゃっ」


 籠の中で、緑の子がぺこぺこと頭を下げている。ありがとう、とか言ってるのかなあ。それに対してしゃあしゃあ答えてるセンダくんとこくこく頷いてるヤマダくん、みんな仲良くなれそうでなにより。多分、クロさんとこのタカダくんとも仲良くなれるよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ