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魔王は勇者を猫可愛がりする。猫だけに(魔王が)  作者: 山吹弓美


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035.かくれんぼするもの

 猫というものは、カラスとか犬ほどじゃないけど何かいろいろ拾ってくるものらしい。昔近所にいた野良猫は、どこから掘り出してきたのかもらってきたのか、ちくわを一本ぶらさげてたことがある。

 で、それはでかい猫の魔王であるクロさんでも大して変わらないらしく。


「……あ、櫛がこんなところに」

「この靴、確か経理担当の人がなくされていました」

「がーう」

「がーすけ、何見つけたの? ……リューミさんのお気に入りの羽ペンじゃないかな、もしかして」


 ソファの下とか、ベッドのマットレス引っ剥がした隅っことか、カーテンの陰とか。そういったところからこう、いろんなガラクタと言えるものがちょこちょこ出てくる。まあ、使えるものばかり出てきてるからいいとしよう。

 ゴミは一応、毎日掃除してるはずだから、ないと思うけどさ。あ、でもこういう大掃除はそう頻繁にできるものじゃない……と思うけど、はて。


「……前回の大掃除、いつしました?」

「アキラちゃんが来る直前だねえ」

「じゃあ、そんなに間空いてないじゃないの」

「一ヶ月に二回くらいはやらないと、お城のあちこちで紛失物が続発するんですよ……」


 はあ、とため息をつくのはミカさん。えーとそれつまり、お城のあちこちにうっかり落としたものをクロさんが片っ端から拾ってくるってことか?

 大丈夫かよ。魔王のプライベートルームが、ある意味落とし物預かり所になってるぞ。いや安全そうだけど。


「魔王様というより、どう考えても大きな猫……」

「みんなそう思ってるから、こうやって大掃除するんですよ」

「ま、ついでに危険物チェックもできるからいいんだけどね」

「危険物がついでになってるのは、ちょっとおかしい気が……」


 私のため息にミカさんは同意してくれるし、ハナコさんはいいように解釈してくれる。でもさ、一応危険物チェックが本命だよねこれ? こないだの偽メイドさんが持ち込んできたマタタビみたいな、危険かどうか分からないけど怪しいブツとかチェックするためのものだよね?


「なあに、そうそう危なっかしい物が出てくるわけでもなし。この国の王様が、毎晩ぐーすか寝てる部屋だよ?」

「でも、マタタビあったじゃないですか」

「だから、鼻の利くあたしも入って調べてるんだよねえ。人間も大変だね」

「まあ、クロさんと違って私たち、マタタビで酔わないしね。ただ、匂いで怪しいところが分からないのはめんどくさいかな」

「がう?」

「がーすけは丈夫だから、もし武器だの毒物だのがあったらこの子に渡すんだよ」

「がー!」


 あ、そうなんだ。ガーゴイル、とかいう種族はどうやら毒も平気らしい。武器は……あまり強い武器だと、さすがに痛そうだなあ。

 この辺はそれぞれの種族の長所だから、あまり気にするまでもない。ハナコさんは鼻で色々感づくらしいけど、私たちはその分目がそれなりに発達してる、らしいし。いや、私亀になったことないからどの感覚がどう違うのかわかんないけど。

 まあそれはそれとして。皆で大掃除、という名の点検を再開する。

 そのうち、飾り棚の隅っこに隠すように置いてある手のひらサイズの巾着を見つけた。手に取ると……ん、中身、粉っぽい?


「ハナコさん、ハナコさん」

「なんだい? ん、なんか変な匂いがするねえ」


 思わずハナコさんを手招きすると、いそいそとやってきてくれた。その間に巾着の口を広げると……うん、その中にもう一つ紙の袋が入ってて緑っぽい、茶色っぽい粉が入ってる。うわ、これ前にも見たやつだ。


「飾り棚の隅っこに入ってたんだけど、これもしかして……」

「ん、それで間違いないね。マタタビだよ」

「まだありました?」


 ミカさんもそばに来てくれていて、巾着の中を覗き込む。ふむ、と少し考えて、言葉の続きを口にした。


「……処方されてないやつ、ですよね?」

「確認とったほうが確実だけど、おそらく」

「リューミさん呼んできます」

「頼んだよー」


 くるりと踵を返して飛び出していくミカさんを、ハナコさんと二人で見送る。巾着はきっちり閉め直して、わかりやすいようにテーブルの上に置いておこう。


「がおー」

「また何かあったかい?」


 今度は、本棚の裏を見てがーすけが吠えた。その手がよいしょ、と引きずり出したのは……伝書蛇。でも、タカダくんでもセンダくんでもなく、濃い緑のボディに薄い緑の輪っかの模様がうにうにとついている子だった。毛が生えてないから、この辺に住んでる子じゃないよね。


「しゃああ!」

「がお」

「しゃっ」


 その子が威嚇するように吠えてきたので、がーすけが指先でぺち、と蛇のおでこを叩いた。途端、伝書蛇はおとなしくなる……というか、目を回してる気がする。


「……この子大丈夫なの?」

「しゃ、しゃあ」

「センダくん曰く、くらくらしてるだけなので大丈夫らしいです。今のうちにここに」


 伝書蛇同士は会話できるので、その言葉を蛇の飼い主が通訳してくれればこっちも話がわかる、ってのはありがたい。捕まった伝書蛇はそのまま、キャリーケースみたいなカゴの中に放り込まれた。伝書蛇用のだから、網の目が結構細かいんだよね。


「迷子ならいいけど、そうでないなら……」

「スパイかね。一応、それなりに知能はあるから。伝書蛇って」


 やれやれ、と首をすくめながら呟いたハナコさんの言葉に、それもそうかと私はがーすけの頭をなでながら思った。

 あ、がーすけは「ぼくえらい?」って感じで目をキラキラさせてるから「えらいえらい、よく見つけた」って褒めてあげた。

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