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魔王は勇者を猫可愛がりする。猫だけに(魔王が)  作者: 山吹弓美


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030.お妃様がいない今

「偽メイドさん、まだゲロってないらしいですよー」

「あ、そう……なんだ」


 テレビの刑事ドラマでもあんまり聞かなくなった感じのセリフを、リネンの交換をしながらベルミさんが言う。ああ、あの偽メイドさん、頑張ってるんだなあ。もう捕まってから五日くらい経ってるはずだけど。あー、朝食のローストビーフ美味しい。

 彼女についての情報は今みたいにベルミさんやドーコさんから間接的に伝わってくるだけで、実際のところはどうなのか私は詳しく教えてもらえない。気を使ってくれてるのかな、とは思うんだけど一応当事者のような気がするんだけどな。


「状況的に、どこかからのスパイだろうなんて噂ですけどねー」

「内部犯行だったら、もっと洒落にならないもんねえ」


 自分で口に出してから、すごく嫌な推測だなあって思ったわよ。でも、王様を狙ったんならその線だってあるよね。

 あ、でもそんなこと、お城の人たちはすぐに考えつくよね。


「そちらの線はないっぽいですー。リューミ様以下、そういうの得意な方々がちょー調べまくってますしー」

「ま、そりゃそうだ」


 やっぱりね。内部犯行なんて、外に餅の国って敵がいるこの時期に一番やめてほしい問題だし。

 ……でもそうなると、やっぱり餅の国なのかしらね? 偽メイドさんの出どころ。ま、そのあたりはリューミさんとかが調べてくれるでしょ。私はせっせと、クロさんのお世話するだけだし。

 と、シーツをたたみ終わったベルミさんが思い出したように口を開いた。


「もうちょっと昔なら、あったんですけどねー。内輪もめー」

「そうなの?」

「クロ様の一族、兄弟姉妹が多いんでー。それで王位争いが大変だったらしいですー」

「あー」


 やっぱりあったんかい。それも、お約束のお家騒動。

 そして、猫なので兄弟姉妹が多い、ということか。一番上が継いだらいいじゃん、という理屈も通らない可能性があるなあ。猫なんだし、いっぺんに何人か生まれてるかもしれないよね。

 でも、ベルミさんの言い方ではそれは、昔の話っぽいな。ま、そうでもなきゃクロさんがきっちり王様やってないか。


「だった、ってことは今は落ち着いてるんだ?」

「そですねー。今残っておられる王族の方々は、それなりに穏健派でいらっしゃいますー」


 その言い方。

 過激派はきっぱり排除したっていうことなんだろうな……あのクロさんや、リューミさんが。

 ……なんというか、現実味がない。私がこの世界に来る、ずっと前の話なんだろうし。国王が魔王を名乗り、この国が魔王国と呼ばれてるのとはどっちが先なんだろうなあ。


「というかー、おとなしくしてないと王位回ってこないー、ってお考えかもー」

「わあ」


 ベルミさん、その言い方はどうかと思う。というか、それは穏健派っていうのか? 単なる日和見とか、そういうんじゃないのかしらね。


「ま、それはそれでいいのか……な?」

「面倒事起こしたら、それで王様の椅子から遠ざかることになりますからねー」


 私が食事を終えると、ベルミさんはその片付けもしてくれる。クロさんの食事の片付けは私やお世話係がやるから、この階級社会って変な感じだよねえ。


「といっても、クロ様がお妃様迎えてお子様作られたらいいんじゃないかなー、って私は思うんですけどー」

「それが一番だよねえ」


 うん。この手の跡継ぎには、自分の子供を持ってくるのがお約束だよね。そうすると、ベルミさん言うところの穏健派、とやらが何やってくるかわからないけどさ。

 そういえば、クロさんは独身か。言われてみれば今まで、王妃様とかそういうひとに会ったことないもんなあ。いるなら、お城に来てから今までの間に絶対会ってるはずだ。


「……お相手、いないの?」

「いないんですよー、これがー。クロ様、そこら辺鈍いからー、ってリューミ様とかおっしゃってますー」

「鈍いんだ」


 ああ、わかるわかる。あれはまだ、図体がでかいだけの子猫といったほうがいいんだろうな。もしくは発情期じゃない猫。

 一応、人間と言うかそれに近い扱いになるんだろうから、ちゃんと恋愛とかはするのかもしれない。だけど、そこまで見たことないからなあ。


「候補とか、お見合いとかくるんじゃないの?」

「さあ、くるんじゃないですかねー。魔王様には似合わないー、とか言ってリューミ様が跳ね返してるかもしれませんけどー」

「いろんなお相手来るだろうしねえ」


 実は過保護なんだよな、リューミさんてば。まあ、あのクロさん相手なんだからしょうがないか、とは思うけどさ。

 でもクロさんの方も、国内がそういう状況なんならさっさと王妃様選ばないと、大変なことになりそうだよ?


「あ、少し前にご親戚の姫君が夜這いに来て大騒ぎになりましたよー。リューミ様が先様のお家に怒鳴り込んで、それは大変でしたー」

「極端に走るな!」


 ごめん、もうなってた。いきなり既成事実作ろうとするんじゃない、国王の親戚筋。

 ……そんなんだと、当分王妃様はいないだろうなあ。それまでの間、クロさんを存分にモフるとするか。うん。

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