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魔王は勇者を猫可愛がりする。猫だけに(魔王が)  作者: 山吹弓美


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026.あやしさだいばくはつ

 少し経って、使用人さんが戻ってきた。他に何人か、使用人さんや白衣を着た人を連れてきている。


「処方はされていない、とのことです。それにこれは、城にあるものではないと」

「ありがとう。カサノさんとユーアさんは知ってるの?」

「ご存知だったそうですが、処方されたものだと陛下がおっしゃっておられたそうで」

「そう、カサノはともかく、ユーアは鼻が利くからね……気づいてないわけはないよね」


 城にはないはずのものが、よりにもよってクロさんのベッドにありました、っておーい。やばいでしょそれは。

 つかカサノさん、ユーアさん、知ってたなら一応聞こうよ。処方されたにしろ、何でマタタビ使うんだって。疲れてて使ったんなら、それをフォローするのは私たちお世話係とか、リューミさん始めとする配下のお仕事だし。


「じゃあ、クロさんはどこから手に入れたんだろ?」

「ご本人にお伺いするしかないでしょ。お戻りになったらきりきりお尋ねするわよ」

「だねえ」


 ハナコさんと私は、顔を見合わせて頷いた。……多分、またハナコさんが腹に乗るんだろうな。そうしてきりきりと、事実をお話しいただこう。


「そちらでも、マタタビを扱ってる連中について調べてほしいね」

「既に手配しております。陛下に付きましても、お仕事が終わり次第こちらにお戻りになるようリューミ様にお伝えしました」

「さっすがだねえ。じゃあ、そちらの方は頼むよ」

「おまかせくださいませ。それと念のため、医療スタッフに室内を調べていただきます」

「それはもう」


 ああ、連れてきてくれた白衣の人、医療スタッフか。こっちでも、お医者さんとかって白衣なんだなあ。


「手伝うかね?」

「ええ。お世話係の方なら、陛下の私室内はよくご存知でしょうから」

「分かった。アキラちゃん、お仕事だよ」

「あ、はいっ」


 そうだよね。クロさんのプライベートに踏み込んでるの、ごく少数の使用人さんと私たちくらいだもんね。お医者さんとかをちゃんと案内しないと。


「ベッドはこっちで、普段寝っ転がったりしてるソファがこれです」

「ふむ。失礼します」


 白衣の人は、ソファの表面を確認しつつ何かスライムみたいのでぺたぺたしている。落ちてるものを採取してるんだろうなあ、髪の毛とかくっついてたらちょっと恥ずかしいな、とか思ってしまった。私の髪の毛より、クロさんの体毛のほうが絶対量が多いと思うけどね。


「……下には何もなさそうだね」

「そのようですね。ですが、念のため」


 ハナコさんの言葉に頷きながらも当然のように、白衣のまま腕を突っ込んでスライムぺたぺた。取り出したスライムは薄汚れていたけど、多分これはホコリだよね。掃除、ちゃんとしないとなあ。


「洋服ダンスなども調べていただけると助かります」

「了解。ハナコさんは……」

「家具の隙間とか調べてみるよ。人間のアキラちゃんよりは鼻利くからね」

「お願いするねー」


 ハナコさんはリクガメなこともあってタンス開けるのとか大変らしいんだけど、その代わり人の目が届かない場所を探ることができるんだよな。まあ、ウミガメだともっと大変そうだけど。陸上では。

 このあたりはそれぞれの能力を生かして……私、人型なだけでろくな能力なくね? タンス開けられて引き出し開けられるだけでさ。


「ま、しょうがないなあ」


 ため息を吐きつつ、タンスの扉を開けて中を改める。ぶら下がってる服もひとつひとつ、ポケットまで探る。

 引き出しもひとつ開けては奥まで手を突っ込んで、確認する。

 ……うーん、怪しいものは見つからないなあ。ベッドにあったのが唯一の物証、というやつかねえ。


「特に室内には、怪しいものはなかったわね」

「こっちも。ベッドにあったのだけかなあ」

「分かりました。薬物の方は調べておりますので、お世話係の方々には陛下の証言をお取りいただけると」

「それは任せて。クロ様吐かせるのに自信はあるから」


 楽しそうに笑わないでよねえ、ハナコさん。吐くって、リバースの意味のような気がしなくもないし。

 白衣の人はペコリと頭を下げて、使用人さんと一緒に出ていった。メイドさんたちが後片付けを手伝ってくれるようなので、そこらへんは助かった。

 ……うん、その中のひとりがなんか、小さな薬包みのようなものを引き出しにしまうところを見ちゃうまではさ。


「何入れてんのー?」

「ひゃっ!?」


 このメイドさんはうさ耳さんで、でも私が声をかけても長い耳はぴーんと立ったりしなかった。それはともかくハナコさんがいるからうさぎとかめだなあ、なんてのんきなことを考えつつ、手首をしっかりと握って持ち上げた。


「アキラちゃん? ……どうしたの、この子」

「何か変なの、引き出しに突っ込もうとしてたから」


 ハナコさんが来てくれたので、私は掴んだ手首をぐいと捻り上げる。「きゃあ!」という可愛らしい声とともに、その指先から包みが滑り落ちた。


「いかがなさいましたか?」

「この子、いつから来てるの? 変なものを、クロ様の持ち物に混ぜ込もうとしたようなんだけど」


 他のメイドさんたちも来てくれて、ハナコさんは彼女たちに問うた。彼女たちはウサギメイドさんの顔を見て、……ふと首をひねった。


「いえ、この顔は初めて、見ました」

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