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魔王は勇者を猫可愛がりする。猫だけに(魔王が)  作者: 山吹弓美


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024.彼らの先祖と神様と

 カサノさんたちと入れ替わりに、クロさんのお部屋に入った。

 窓を塞いでいる鎧戸を開けて、室内にほんわりとした朝の光を入れる。そうして巨大猫ベッドの方を見ると。


「んー……んにゃ~……」


 おお、巨大猫がヘソ天で爆睡しておられる。なかなかの迫力で、こうやって見るとアニメ映画の大中小と種類があるやつのうち、独楽に乗って空飛ぶ大のやつっぽい。あれにしがみついて、空飛んでみたかったんだよなあ。

 まあ、それはそれとして。まずこの猫魔王を起こさないと、私たちの仕事始まらないというかねえ。


「クロ様、ほんとに寝てるし」

「いつもはこの時間だと起きてるよね? ハナコさん」

「起きてるねえ。昨夜忙しかったんだろうけど」

「起こす?」

「もちろん」


 あいにく、今日はクロさんはお休みじゃない。王様でも一応オフがあるらしく、そういうときはリューミさんが私たちに教えてくれるんだけどね。その時は……私たちはクロさんのお部屋でだらだら過ごす。だから部屋の留守番とかがお仕事だからね、私たち。

 でもまあ、お仕事の日なら起こさないとね……と思ってたら、ハナコさんがおもむろに頷いて、少し後ろに下がった。あ、これはもしかして。


「クロ様ー」

「おごっ!?」


 助走して勢いつけて、大の字で寝てるクロさんの腹の上に着地しちゃったよ。やっぱりかー、と思う私の目の前でくわっと目をむいて跳ね起きたクロさんは、でもジタバタしてる。どうやら、ハナコさんが重くて動けないんじゃないかな、あれ。


「朝ですよー。アキラちゃんも来たので起きましょうねー」

「は、はははハナコ!? わかった、わかった起きるから降りろおおおお」

「わかればいーんです」


 ……何か、すっごいシュールな光景を見ている気がする。ヘソ天の巨大猫の上に巨大リクガメが着地して叩き起こす図、なんてな。

 あっさりクロさんの上からどいたハナコさん、任務を一つクリアーしたよって感じで爽やかに笑ってる。亀が。

 一方猫の方は何とか起き上がって……腹押さえてうなってる。


「クロさん、大丈夫?」

「は、ハナコの足の裏が腹をぐりぐりと……」

「うん、何か痛そうだね」


 ハナコさんの体重だけならともかく、足でぐりぐりされてたのか。そりゃ痛いわ。

 というかそれで文句言わない魔王様、めちゃくちゃ優しいよね。いやー、ここに来てよかったわほんと、餅の国と比べるまでもない。




「俺がビャッコ様の子孫であるのと同じく、ハナコの家系はゲンブ様の末裔でなー」

「へー」


 運ばれてきた朝ご飯を食べながら、クロさんはハナコさんについて説明してくれた。

 クロさんのご先祖様のビャッコさん、ハナコさんのご先祖様のゲンブさん。他にも二匹いて、全部で四匹がこの世界で信仰されている太陽神様の部下、らしい。

 神様の手下の子孫って、天使の子孫って考えればいいのかな。すごいファンタジーな世界だな、うん。

 ……まあ、おお勇者よ魔王を倒せ、なんて感じで呼ばれた私がいるしなあ。


「あたしはどっちかというと血が濃くて、そのせいもあってこの姿なんだよね」

「そうなの?」


 ハナコさん曰く、ゲンブさんはもっと大きな亀さんらしい。てことはビャッコさんも、もっとでっかい猫……じゃないや、虎らしいけどそうなのかな。でもクロさん、外見は猫だけど二本足で立って歩いてるなあ。


「じゃあ、クロさんは」

「俺の家系は、人型の家系と交わってるからな。もっと薄くなるとどんどん人に近くなる」

「あたしんとこも、甲羅背負ってるだけの人型とかいるからねえ。ま、あれはあれで人前に出やすいから何とも言えないけど」


 甲羅背負ってるひと、ってかめはめはーとかああいう感じだろうか。そういう親戚がいるってことだよね、ハナコさん。

 さっきもハナコさん言ってたけど、人の姿に近いほうが人前に出やすいのか……魔物さんたちも、色々あるんだな。大変そうだ。


「他にもそういう一族とか、いるの?」

「スザク様とセイリュウ様の末裔も、国内にいますよね」

「外に出るとモイチノ王国のような連中に狩られるか、逆に神様として祭り上げられるかだからなあ」


 他の二匹はスザクさん、セイリュウさんというのか。子孫がいるなら、会ってみたいなとは思う。……いや、会って何するってわけでもないけどさ、興味本位。

 でも、四匹は神様じゃなくて、神様の部下でしょう。……なんでよ。


「神様?」

「正確には、太陽神様の使いなんだがな。まあ神様の直属の部下、みたいなもんだから」

「ああ、神様に近い感じだからって、そのまま神様と扱われちゃうんだ」


 大雑把だな、この世界。とはいっても、実際神様みたいな扱いで拝まれたりするんだろうな。神様の部下ってことは何かすごい魔物、ってことなんだろうし。


「そういう感じねー。クロ様は魔王様になられたから、国の外にも信者がいたりするんですよね」

「便利っちゃ便利なんだけど、あまり利用したくはないんだよなー」

「へー」


 クロさんの信者、ねえ。このでっかい猫魔王様を神様みたいに拝む人たち、いるんだ。

 いや、その人たちは見てないだろうけどね。ヘソ天で爆睡して配下の亀に腹ぐりぐりされるところなんてさ。

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