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魔王は勇者を猫可愛がりする。猫だけに(魔王が)  作者: 山吹弓美


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021.かつての争い

 一応ベッドの下とか、家具の裏なんかを確認するのが私たちお世話係の仕事である。要は毒だの爆弾だの魔法の何とかだの、クロさんに危害を加えるようなものが室内にないか調べるわけだね。


「今日もなし!」

「なかった! 終わり!」


 まあ、お城の中でも警戒の厳しい場所だしそうそうあるわけがないんだけど、あったら怖いからね。ちゃんとミカさんと確認して、ふうと一息をついた。


「戻ったぞー」

「お帰りー」

「お帰りなさい」


 おお、ちょうどいいところにクロさんが帰ってきた。二人で頭を下げると、その太い両腕にガシッと掴まれた。あー、相変わらずしっかり手入れされた毛皮がもふもふして気持ちいい。


「ミカー、アキラー、元気にしてたかー」

「私らペットか!」

「一応、お世話係ですよね?」

「そういうことになっているな!」


 頬ずりされてそんなことを言われると、雇い主と配下じゃなくて飼い主とペットって感じに思えるんだよなあ。ま、ある意味間違ってないか。ミカさんはともかく、私は拾われてきて飼われてるみたいなもんだし。

 ……ここに来てから、お城の外にほとんど出てないもんなあ。カレンさんとの修行では中庭に出ることもあるけど、ぶっちゃけ寒いからね外。城の敷地の外なんて、もうずっと出てないや。


「お前たちがいるおかげで、俺は自分の部屋に刺客や暴走魔法がないと安心して帰れるんだぞ」


 たまに外の空気吸えるし、衣食住は問題ないし仕事はこの巨大猫魔王のお世話だしで、ぶっちゃけ言うことないんだけどしかし今の言い草は何だ、クロさん。


「……てことは、経験があるわけ?」

「王位につく前から、刺客はたまに出たぞ。それもあって、お世話係を置くことになったんだが」

「物騒ですね……継承権争いですか?」

「まあなー。犬猫は結構兄弟多いから」

「なるほど」


 そう言えば、犬も猫もいっぺんにたくさん子供生むよな。こっちでも、そう言うところは一緒なんだ。で、そういう種族が王様やってると当然、王位継承権争いが勃発する、と。めんどくさいなお家騒動。


「うちは、俺を入れて十二人だったかな。うち三人がしつこくてなー」

「……大変だったんだ。私、一人っ子だからそう言うのってよくわかんないんだけど」

「私は兄がいますけど、あまり仲は良くなかったですね」


 一人っ子はひとりっこで、まあ親の目が集中するとかめんどくさいことはあるんだけど。てかミカさん、妹だったんだ。私のお世話もしてくれるから、すっかりお姉さんだと思ってた。

 そんなことを考えている間に、クロさんがぼちぼち話を進めていく。その間私とミカさんは……ええい、また巨大猫の腹を堪能だ。もふもふはいいぞ、うん。


「しつこかったのは兄姉弟だったんだが、特に姉がなー。正妻の子じゃなかったのと性格が悪くて、継承権低めだったんだが」

「性格悪くても実力があれば、ってパターンもありますけど、そうじゃなかったんですね」

「そこそこの能力だったからな。男の気を引くのは得意だったんだが、それじゃ後々王家が混乱することは目に見えている」

「あー」


 男の気を引くのは得意。……あんまり王女様っぽくない得意技というか。いや、それで能力のある男釣れたらいいんだろうけど、一本釣りじゃなさげなんだよなあ。

 王家が混乱ってつまり、余計なやつ引きずり込んで大変だーってことになるんだろうし。


「ただ、そう言う性格だったんで大臣とか軍の幹部とか抱き込んでな、自分より継承権の高いやつを次々と潰していったんだよなあ」

「うわあ」


 引きずり込んだの、一人じゃなかったかー。いやまあ、そういうお姉さんならそうなるか、うん。うまいことやっていったんだなあ。

 ……あ、でも今、王様なのはクロさんなんだよね。ということは、そのお姉さんは。


「男は消して、女は適当な男をあてがって。その中のひとりが気がついて、相討ちに持ち込んだんだ」

「相討ち?」

「そう。でないと今頃、俺は墓の中だ」


 ………………。

 お家騒動は、物語の中だけでやってくれ、と今思った。リアルで聞くと、詳しいこと話されてないのになんかぞっとした。

 その話をする、クロさんの目が寂しそうだったからかもしれないけどね。あ、ぱっと目を見開いて笑顔を作った。


「……でもまあ、今俺がこうやって魔王をやっているわけだしな。潰し合ってくれてよかったと思ってるぜ?」

「うっそだあ」

「そんな顔でおっしゃられても、嘘としか思えませんよ?」

「にゃっ」


 私もだけど、ミカさんも『笑顔を作った』ことには気づいたっぽい。いやもう、地味に嘘下手だよね、この魔王様。

 ちょっと凹んでるみたいだから、一応慰めの言葉掛けてみよう。


「まあ、何にせよクロさんが王様なんだから。私もミカさんも、お城の皆だってちゃんとついてくんだから大丈夫だよう」

「そうですね。私たちは、クロ様の配下なんですから」

「……お世話係に選んで、よかったあ!」


 うおっ、腹の毛に顔がめり込むめり込む! ああもう猫独特の匂いと石鹸の匂いが混じっていい感じだあ!

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