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魔王は勇者を猫可愛がりする。猫だけに(魔王が)  作者: 山吹弓美


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020.せっかくならば

「……って聞いたんだけど」

「ま、確かに内緒にはしてませんもんね」


 翌日。

 クロさんがお仕事で留守の間にミカさんに聞いてみたら、あっさりと頷いてくれた。うわあ、苦労したんだなあ……王族ってのも大変なんだ、たとえ端っこでも。ということは中心、王様であるクロさんはとっても大変なんだよなあ。国の仕事もしなくちゃいけないし。

 「ちなみに」というミカさんの言葉に、意識をよいしょと引き戻す。


「王の嫁に来い、でなければ身柄を拘束した上こちらの指示に従ってもらう、でしたね」

「全部かよ! たち悪すぎるわ!」

「でしょう」


 餅の国がミカさんに命じたセリフ、らしい。馬鹿かあいつら、それでミカさん……じゃなくても、おとなしく命令に従うと思ってんのか。

 それでミカさんが従わなかったから、私のときは強制的に従わせたってことになるのか。うわあ、マジふざけんな。クロさんにお願いして、敵ボス一発ぶん殴る機会を設けたい。


「しゃっしゃしゃー」


 一緒にお菓子を食べてるテーブルの上で、センダくんが楽しそうに身体を揺らせる。あまり好きじゃない蛇だけど、この子やタカダくんはいい加減慣れてきた。可愛いよねえ、つぶらな瞳とか。


「その時はセンダくんが頑張ってくれて、脱出できたんですけどね」

「え?」

「外部に助けを求めてくれて、近くの野良魔物が暴れてくれたんです。その隙に、とっとと脱出しました」

「野良魔物」


 何だその言葉は、と思ったが野生動物と同じようなもんか。まあ、猫獣人とか犬獣人とかいる世界だし、魔物いてもおかしくないもんねえ。その魔物に話つけたのか、このちっこい蛇さんは。


「すごいねえ、センダくん。えらい」

「しゃあ」


 指先で撫でてやると、えっへんと胸を張るようなポーズをとった。鱗、すべすべしてて気持ちいいな。タカダくんはふわふわしてるけど、こっちのほうが蛇としては普通だと思う。私の感覚では、だけど。


「アキラさんは、伝書蛇は持たないんですか?」

「え?」


 ふとミカさんに尋ねられて、目を見張った。いや、考えないこともなかったけどさ、ここに来て最初の頃は。

 でもまあ、今はだいたい固まってるかな。


「うーん……今んとこはあんまり考えてないかな。自分のことでいっぱいいっぱいだし、どうせならクロさんモフりたいし」

「なるほど。あちらのほうが面倒見るの、大変ですもんね」


 そう、伝書蛇だって御飯食べるしトイレするし寝るし、どうせ飼うなら身体のお手入れだってしてあげたいし。でも、そこまで手が回らない。

 何しろ私たちのお仕事は、でっかい黒猫の姿をした魔王クロさんのお世話係なのだ。慣れてるミカさんと違って私は、両方の面倒をほいほい見られるほど仕事に慣れたわけじゃない。武術の修行だってあるし。

 でもさ、ミカさん。


「一応ぼかして言ってんだから、はっきり言うのもどうかと思うんだけどー」

「クロ様が聞いても、文句は出ないと思いますが」

「それもどうだろう……」


 確かに、クロさんは私がクロさんの面倒見るの大変だって思ってる、って聞いても平気で笑ってると思うんだ。お世話係やっててそこら辺はだんだん分かるようになってきた。

 でもまあ、相手は王様なんで自分としては、ちょっとはぼかしておかないと……その、ねえ? クロさん自身は良くても、リューミさんとかに怒られそうだし。


「だって、リューミさんとかに怒られない?」

「あー、怒られますね。ただし、その後ため息交じりに気持ちはわかる、とか言われそうですが」

「分かるのか……」


 あ、リューミさんも面倒見るの大変だとは思ってるんだ……そりゃまあ、クロさんだしなあ。リューミさんって表側の補佐とかしてるんだろうし、その点でも大変なんだろうと思う。私たち、プライベート側のお世話だけで良かったな……良かったのかな?

 ま、いいか。今の所かなり楽させてもらってる、と思うし。ドーコさんたちみたいなメイドさんとか、兵士の人たちとかに比べればきっと、肉体的には楽なお仕事だ。

 それに。


「あの肉球さ、思いっきり触ってみたいと思わない?」

「ああ、思いますねー。さすがに手のひら足の裏なんで、なかなかですけど」

「一度お願いしてみようかなあ、って思ってるんだけど。ミカさん、お願いしたことないの?」

「考えたこともなかったですね……」


 そう、でっかい猫のお世話係ということはだ。

 猫の毛並み、もふっとしたお腹、ちょっと高めの体温、ふにふにの口元、しゅるんと動き回るしっぽ、そしてでっかい肉球。

 それらを、望めばきっと堪能できるという夢のような環境なのよ、ここ。猫魔王の腹で寝落ちる、なんてとんでもない経験はすでにやってるし。

 だから、クロさんの肉球を思う存分タッチしたりふにふにしたり頬ずりさせてもらったり、なんてこともきっとできると思うんだ。ミカさんが今までやろうと考えたこともなかったなんて、ちょっと信じられないかな。


「……そうですね。一度お願いしてみたら、楽しいでしょうか」

「そうだって! ね、ね、一緒にお願いしよう」

「分かりました。考えてみたら、楽しそうですね!」


 よし、ミカさん引き込み成功! 頑張るぞ、ねっセンダくん?


「しゃ?」

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