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魔王は勇者を猫可愛がりする。猫だけに(魔王が)  作者: 山吹弓美


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013.いろんな仲間たち

「よし、できたぞ」


 シロガネ国に送る手紙を、クロさんが書き上げた。くるくると巻いて細い筒に入れ、上下にきっちり蓋をする。その筒を、センダくんが着けているポンチョの裏にしまった。何でも、筒を入れておくポケットがそこにあるんだって。


「センダくん。シロガネ国の国境砦まで、お願いね」

「しゃあ!」


 ミカさんの言葉にがんばりまーす、と言わんばかりの声を上げたセンダくんの首元。ポンチョの襟を留めるように、なんかの紋章みたいな小さなブローチが留まっている。……さっきクロさんが使ってた便箋に同じ紋章があったから、もしかして国の紋章なのかな。


「これ、綺麗」

「俺のお使いだという証だ。これをつけていれば、国境砦の者が伝書蛇の運んだ文を受け付けてくれる」

「ちゃんと受け取り状もらえますから、後々トラブルになった場合も解決は早いらしいですよ」

「なるほどー。お互い、色々考えてるんだ」

「国同士の付き合いだからな」


 こういうところでキリッと説明してくれるのを見てると、やはり王様は王様なんだな、と思う。当然のように補足してくれるミカさんも、王族の末裔なんだなあってのが分かる。

 ふふふ、一介の女子高生としては説明に追いつくだけで精一杯だよ。


「国境傍までは、いつものようにヒッポちゃんを供につけよう。さすがに寒いだろうしな」

「ありがとうございます」

「しゃっしゃっしゃああ」


 ヒッポちゃん。私と同じようにクロさんが拾ってきた、ヒポグリフとかいう魔物だそうだ。おとなしい性格なので、センダくんやタカダくんが出張するときはお供につけるらしい。

 ……人が行けばいいじゃん、という意見は却下された。手紙を出すことが多いシロガネ国との国境地帯はめちゃくちゃ寒いので、人間や人型に近い魔物だとたどり着くのも大変だとか。センダくんみたいな伝書蛇やヒッポちゃんは空を飛べるから、まだ楽なんだって。

 あれ、いつものように、ということは。


「そのヒッポちゃん、センダくんと仲いいんだ?」

「しゃあ」


 こっくり、とまるで全身使うように大きく頷いてくれた。センダくん、少なくともヒッポちゃんのことは好きみたいだね。それなら、ちゃんと行って帰ってこられるね。


「よし。ではヒッポちゃんのところに行ってくる。もうすぐ夜当番との交代だな、大儀であった」

「私はいつもですけど、アキラさんは初日でしたもんね。お疲れ様」

「そうだな。で、どうだった?」


 うわ、いきなり話を振られた。というか、もうそんな時間なんだ?

 まあ、ちょっとは疲れたけど楽しかったなあ。これならほどほどに、お仕事としてできそう。

 そう答えたら、思いっきりクロさんに目を細められた。


「うにゃ。今後とも、よろしく頼むぞ」


 ほんと、そう言うところが猫なんだよなあと思いながら思わず、喉を撫でてしまった。こっちの猫も、喉ごろごろいうんだよねえ。




 クロさんが出ていってからしばらくして。


「こんばんは。交代の時間です」

「おこんばんはあ」

「お待ちしてましたー」


 女性が二人入ってきた。……あーうん、声から女性だと判断したんだけどね。

 最初に入ってきた方はどう見ても細身の熊である。リアル熊が、中東風の民族衣装っぽい服を着てる。……いや、めっちゃ可愛い熊だな。

 もう一人は見るからに女の子なんだけど、私の肩くらいまでしかない背丈におっぱいどーん。水着か、というレベルのピッタリした黒い服を着てて、肌が真っ白。銀の髪に目が赤くて背中にコウモリの翼……露骨に吸血鬼とかそっち系じゃないか。

 ミカさんと挨拶してるってことは夜当番の人たちか。なるほど、夜行性の種族だよね。熊って夜行性だっけ? ま、いいけど。


「紹介するね。夜担当のユーアさん、カサノさん。こちら、今日からお昼担当に入ったトモドー・アキラさん」

「よ、よろしくお願いします。アキラって呼んで下さい」

「よろしゅうに。アタシはカサノ、チスイコウモリや」

「ヴァンパイアと言いなさい。わたくしは見ての通り、熊獣人のユーアと申します」

「カサノさんと、ユーアさん」


 露骨に吸血鬼っぽいのに関西弁ってどういうことだ、カサノさん。いやまあ、おかげで一発で覚えられそうだ。

 熊さんのほうがユーアさん。可愛い名前だな、これも覚えられる。うん。


「……あ、えと、何か」


 なんか考えてたら、その二人が私の首筋クンクン嗅いでる。熊はわかるが吸血鬼は……血を吸われそうでちょっと怖いんだけど。

 でもまあ、すぐに顔を離してくれたからいいかな。ユーアさんの方が、おもむろに口を開いた。


「いえ。クロ様のお好みの香りがしたので」

「はい?」

「そーでのうても、ええ匂いやで。まだあんまり美味しそうちゃうけど」

「へ?」


 カサノさんも、どうやら私の体臭の感想らしいな。美味しそうじゃない、というのは……うーん、なんか複雑? いやだって、吸血鬼に不味そうって言われたら何か不健康な感じじゃない?

 そんなところに、ミカさんから追撃が入った。


「あー、アキラさんはまだ回復しきってないっぽいですね。部屋に戻ったら、きっちり休んで下さい」

「あ、そうなの?」

「はい。カサノの『美味しそう』はつまり、健康ということですので」

「……あーあーあー」


 とどめありがとうユーアさん。ほんとに不健康の意味だったらしいな!

 つまり、しばらくは無理せずにクロさんのお相手しろ、ってことかしら。ドーコさんやベルミさんに聞いてみれば分かるかな。


「さすがに私は、人様の体調を匂いではかることはできませんから。助かりました!」


 というかミカさん、顔合わせと同等レベルで私の体調確認も目的だったんだな。……ま、休まず働けと言われるよりはマシ、うん。

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