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魔王は勇者を猫可愛がりする。猫だけに(魔王が)  作者: 山吹弓美


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011.なかよく話そう

「じゃあ、俺これからちょっと会議だから。早く帰ってくるけど、あとよろしくなー」

「はい。行ってらっしゃいませ、クロ様」

「いってらっしゃーい」


 私を自分の部屋にぽんと置きっぱなしにして、クロさんは仕事に出かけた。まあ、城の中に会議室もあるんだろうからすぐそこまで、だけど。しかし、あんまり楽しそうじゃなかったなあ……面倒な会議なのかな。


「しゃあしゃあ」

「しゃしゃっ」


 あれ? 翼の生えた蛇が二匹いる。白黒しましまの子は確か、クロさんが連れてた子だよねえ。タカダくん、だっけ。

 んでもう片方、毛が生えてない代わりに可愛いポンチョ着せてもらってるグレー系の子は、初対面だ。


「あ。この子は私の伝書蛇で、センダくんっていいます」

「へえ……せんだくん」

「しゃっ」


 紹介された上に、当人というか当蛇に頭を下げられた。思わずこっちも、「あ、よろしく」と下げ返す。礼儀はいいんだな、この子。

 しかし、タカダくんにセンダくん。この世界のネーミングセンス、どうなってるんだろうね?


「じゃあひとまず、クロ様がお留守の場合のお仕事、教えますねー」

「あ、はあい」


 すたすた進んでいくミカさんの後ろにくっついて、教えてもらう。蛇たちの相手とか、シーツや枕カバーを取り替えたあとのベッドメイク。飲み物とおやつのチェックにトイレの備品……あーよかった、いくら猫でもトイレは私たちと同じ魔法で水流すトイレだったわ。猫砂片付けろと言われたら、どうしようかと思った。


「後は、クロ様がお部屋にいるときはてきとーにお相手して差し上げるのが仕事ですねー」

「てきとー、なんですか」

「ガチでお相手したら体力持たないんで。あれだけでっかい猫をじゃらすんですから、タカダくんやセンダくんにも手伝ってもらうんですよ」

「あー」


 なるほど、マジで猫じゃらしがお仕事なんだ。そりゃ体力持たなくて人がいつかないわ。ところで蛇さんたちはどうやって手伝うんだろ? ま、いっか。そのうち見れるでしょ。

 で、留守中のお仕事を片付けると、お茶の時間となった。おやつも食べていいらしくて、ありがたくくるみのクッキーをごちそうになる。うん、この甘さ控えめがいい感じ。


「あのう。アキラさんって、どこのお生まれなんですか?」

「え?」


 そのお茶の最中、ミカさんからいきなり尋ねられた。多分私今、ひどく目が丸くなってると思う。

 そういや、そんなふうに尋ねられたのは初めてだったっけな……なんて思ってたら、ミカさんは慌てて取り繕った。


「あ、ごめんなさい。勇者っていうの、あまり聞いたことないから……この国に来たんだから、ほんとは生まれって関係ないんですけどね」

「ああ。興味があったんだ、そりゃそっか」


 魔王がいる世界でも、勇者ってそんなに聞いたことないんだ。もっとも、この国の魔王は魔族の王、とかいう意味合いっぽいし。そう言う世界で魔王と対立する勇者、なんてのはあんまり出てこないよね。

 っと、私の出身の話か。ぶっちゃけてしまおう、どうせ嘘なんかつけないし。


「私はこの世界の人間じゃないんだよね。別の世界から、餅の国の連中に連れてこられた……でいいのかな」

「餅の国? ……ああ、モイチノ王国」


 あ、そんな名前だったっけ、餅の国。通じたからいいや、なんて思うんだけどね。


「って、別の世界から連れてこられた? 本当に?」

「うん」

「……召喚魔法、禁忌でしょうに……」

「しゃあ?」

「しゃ、しゃー」


 確認されて頷いたら、ミカさんは頭を抱えた。あ、蛇たちが大丈夫かなあ、って感じで覗き込んでる。……蛇は好きってわけでもないけど、この子たちは可愛いよね。特にタカダくん、虎毛がふわふわしてて。


「あー、ミカさん大丈夫?」

「はは、大丈夫です……モイチノ王国、ばっかだよなあって思って」


 一応私も声をかけたら、すぐにミカさん顔を上げてくれた。ただ、口の端が引きつってるんだよねえ。

 餅の国、よっぽど馬鹿なことやらかしたんだろうな。この世界的に。


「あたしのご先祖様の中にも、何人かそう言う人がいるんです。他にもいっぱいいたんですけど、連れてこられた後の扱いが酷くて。それで、召喚魔法は禁止されたはずなんですけど」

「クロさんもそんなこと言ってたなあ」


 世界的に禁止、したんだっけかな。世界を股にかけた誘拐だもんね、さすがに酷いわ。

 おまけに私の場合、その後に変な鎧着せられておかしなことになってたみたいだし……餅の国、この後どうなるんだろうね。


「んー。多分クロ様が他の国と裏取引して、こっそり潰しにかかると思いますよ。そもそもあの国、魔族嫌いが高じて国の中すごいことになってるらしいですから」

「あー。それが国内だけならともかく、外に漏らしちゃ駄目だよね」

「こちらの領域にまで入ってきたらしいですからねー」


 勝手に国境越えちゃ駄目じゃない。しかもそれが、勇者というか私連れて来てるわけで……どう考えても侵略か魔族潰しが目当てじゃないの。

 ……クロさん、嫌な国がお隣で苦労してるんだろうなあ。帰ってきたら、しっかり遊んであげなくちゃ。

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