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『レインメーカー』  作者: 新開 水留
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『拝み屋集団・天正堂三神派、三神三歳の日記』



 某月某日、雨。

 かねてより相談を受けていたとある女性(ここでは仮にUと呼ぶことにする)を訪ねた。場所は東京の下町とだけ記す。

 Uは、もう何年も頭痛と寒気に苛まれ続けている、という。本人は風邪などの季節病ではないと言い張るのだが、どういった施術を行うにしても、ひとまずは科学的な診断を経ていない症状には取り合わぬと突っぱねたところ、渋々折れて病院から診断書を手に入れて来た。この日私は彼女の家を訪れ、その診断書を見せてもらった。そこに書かれていた医師の言葉は私の予想を覆す、「U様に対する所見といたしてましては、先日もお電話でご相談申し上げました通り断定し辛い症状がいくつもございますゆえ、つきましてはより高度な検査設備を整えた貴院での…」別の大学病院への紹介状であった。端的に言えば、原因不明なのだ。

 ひとまずは初歩的な霊的施術である気を用いての手当を行い、次に家屋の霊障を祓う。浮遊する霊体の思念も極微量により手応えなし、あちら側からの反応も特になし。

 Uは、「三神さんが来てくれる時だけ調子が良いよ。結婚しようか」と言ってケラケラと明るく笑う。私とUでは親子以上に年齢が離れている上に、もちろんUとて本気ではない。Uは明るく、不幸に頓着しない。諦めがついているような顔で「仕方ない」と繰り返す。忍びない。なんとかしてやりたいと思うも、現段階では打つ手なし。身体的な病に起因するものか私の専門分野である何某かの霊障であるのかも、この時点では不明。



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