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首を吊った蝶は天へ昇る  作者: ミサト
4/5

4話

 私は子供の頃から何故か霊感があり、いろんな経験をして来ましたが、皆のいる前でこういう現象が起こったのは初めてでした。


 葉山さんの腕を思いっきり引っ張っている山村さん‥‥‥

 恨みというものは、こうも人を変えてしまうのかと思うくらい、山村さんは凄い形相をしています。


 葉山さんをあの世に連れて行こうとしてるんだな――

 私はそう思いました。

 

 正直、私もここまでのポルターガイスト、皆の前であの世に連れて行こうとする幽霊は初めて出会ったので、やはり怖かったです。


 怯えて泣き叫ぶ葉山さん‥‥‥


「ごめんなさい。ごめんなさい」

 何度も謝っていました。


 ―――私は山村さんに向かって声をかけてみました。


「山村さん、そんな事をしちゃダメ!生きている間、辛かった事や苦しかった事、私はその気持ちわかりますよ。でも、人を憎んだままだったら天国に行けない。それに葉山さんを連れて行ったりしたら、葉山さんを殺してしまう事になる。そんな事、山村さんの奥さんとお子さんが望んでいますか? 葉山さんも今回の事で十分反省していると思います。お願いです。止めて下さい」


 そう言っている間、他の看護婦、看護士たちは―――


「橘さん、何を言ってるの? そこにいるって事!?」

「嘘でしょ?…」


 すっかり怯えて腰を抜かして座り込んでしまっている人。

 泣きわめいている人‥‥‥


 皆、パニック状態でした。

 

 後から聞いたのですが、私にだけ山村さんの姿が見えていたみたいで、葉山さんには山村さんの腕だ けが見えていたそうです。他の皆は、恐ろしさに驚愕して震えていました。

 

 私に霊感がある事は誰にも話してなかったので、山村さんに向かって話しかけている姿を見て、尚更恐ろしかったと思います。


 そして―――山村さんは私の言葉を聞いて、静かに消えていきました。 

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