2話
山村さんは口数が少なく、私とは仕事の事以外話した事がありませんでした。
まさか、病棟で首つり自殺なんて……
それに山村さんには妻子がいるのに。
私はこの病院で起きていた派閥争いが関係しているのだと思いました。
ここで仕事をしている以上、正直気持ち悪い……
何も起こらなければいいけど!
そう思いながらお通夜、お葬式に出て、
どうか、安らかにお眠り下さい……
手を合わせ、心の中でそう伝えました。
Bの派閥リーダーの小島さんは
「山村さんは、葉山に殺された」
何度も何度もそう言っていました。
葉山さんは山村さんを言葉の暴力で精神的に追い詰めていたとの事でした。
私は何も知らなかった……
私の知らないところで山村さんを死に追いやるまでの事を葉山さんが!
山村さんは相当、辛く苦しい思いをしていたんだろうな……私はそう思いました。
そして――
山村さんが自殺してから、Aの派閥リーダーの葉山さんの様子が明らかにおかしい事に気付きました。
顔が青ざめ、何かに怯えている様子でした。
私自身も霊感が強いため、夜勤の時に……
いつもは2人で決まった時間に各病棟を見回りに行くのですが、どうしても1人で行かないと行けなくなり、1人で見回りをする事に。
嫌な予感は的中しました……
普通病棟に入院しているおばあちゃんがいたのですが、そのおばあちゃんはいつも体長50センチ位のお人形を自分の子供のように可愛がっていたのです。
暗がりの中を見回り強い視線を感じます……
その視線のほうを見ると……
おばあちゃんが大切にしていたお人形が、私の事をじ~っと見ています………
そして、こう言いました……
「あいつも道連れにしてやる」