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第五十九話 ダンス・ウィズ・テレジア

次回は4月29日に投稿するでポヨよ!


 パチパチパチッ。


 暖炉の中に積み重なりながら入っている薪が火に弾かれた。

 

 速人とテレジアはいまだに睨み合っている。

 二人の瞳は暖炉の炎を映している為にオレンジ色に染まっていた。


 テレジアは速人がドワーフの手先ではないことを既に感じていたが、立ち振舞いからして只者ではないことに気がついている。

 一方、速人は湿気た町から一刻も早く脱出したい一心であったのだ。


 (このままでは二匹の獣が衝突するのも時間の問題だ)


 仲裁の機会を探っていたセオドアが頃合いを見て速人の後ろから現れる。

 子供の後ろから大人が周囲を警戒しながら出てくるのだから決してカッコイイ姿ではない。

 それを証拠にテレジアとその娘たちは情けないセオドアの姿を見て露骨に嫌味を言ったり、舌打ちをしていた。


 「待ってくれ、テリー。速人は十分に俺たちの役に立ってくれた。実はさっき町長の家にある浄水器とポンプを修理してくれたんだ」


 セオドアは必至に身振り手振りを交えて説明しているが、テレジアは首を傾げるばかりだった。


 一向に要領を得ないと感じたテレジアはダイアナを招き寄せる。


 「ダイアナ。アイツは何の話をしているんだい?」


 ダイアナはやや畏まった様子で母親の質問に答える。

 テレジアとダイアナは血のつながった親子には違いなかったが、人生の大半を戦うことに費やしてきた純一戦士である母親の持つ圧倒的な闘気を前にしては一歩退かざるを得ない。


 ダイアナの額からタラリと一筋の汗が流れ落ちた。


 「あの猪豚の子供みたいなガキが井戸の水が出てくるキカイってのを元通り動くようにしてくれたってさ」

 

 案の定、ダイアナはキカイの話自体が苦手だった。

 

 実はダイアナ自身も浄水器やらポンプの話は珍紛漢紛だったのだが、今朝方にセオドアの妻からポンプの調子が悪くなって水が出なくなってしまったという話は聞かされていたので朧気ながらではあるが話の内容を理解できたというわけである。


 「証拠はあるのかい?どんな土産話よりも、敵の戦士の首を持ってこいってのがサンライズヒルの掟のはずだ(※テレジア一家限定の掟)。私に信用して欲しかったらドワーフの戦士の首を持ってきな!」


 テレジアはセオドアに向かって手斧ハチェットの先端を向ける。

 セオドアは急いで速人の後ろに隠れようとするが、いつの間にか速人は無くなっていた。


 セオドアはエリオットに助けを求めようと親友の姿を探すが、エリオットは家族と一緒にテレジアの側に立っていた。

 エリオットは追い打ちをかけるように涼しげな笑顔を浮かべている。

 セオドアは口を開けたまま顔を真っ青にしていた。


 (この町にいつからそんな物騒な掟が出来たんだよ!!)


 セオドアはモヒカンたちと一緒に瞳に涙を浮かべながら全身を震わせていた。


 のしのしのし。


 部屋の外から足音が聞こえてくる。


 ガチャリ。


 足音が部屋の前で止まったかと思うと今度は外側から扉が開いてしまった。

 入り口からは大きな樽を抱えた速人が現れた。


 ワイン蔵にあった空の樽の中の下くらいの大きさだったがそれでもサイズ的に大きい事には違いない。

 

 速人は部屋の中に入るとまず最初に樽を持ち上げて部屋の中央まで運んだ。


 テレジアは速人が樽を運ぶ姿を面白く無さそうに見ながら、「ハン!」と鼻を鳴らしていた。

 テレジアは見た目同様に負けず嫌いな性格だったのである。


 どすん。


 速人はさして苦労する様子もなく樽を部屋の中央まで運んだ後に床の上に置いた。


 「約束の”水”だ。これで町の男たちを解放してもらおうか。セオドアさん、とりあえずコップとか持ってきて」


 速人は蓋を開けて、樽の中を満たす透明な水をテレジアたちに見せた。

 テレジアの娘や孫たちは水の実物を見ようと樽の近くに集まってくる。

 

 テレジアはまだソファに身を預けたままだ。

 今にも水に群がって行きそうな雰囲気になった頃、それまで黙っていたエリオットの妻が肉親たちに釘を刺す。


 「待て。まだ母様の許可が降りていない。兄様、姉様たち。弟、妹たちよ。ここ数日の出来事を考えれば気持ちがわからぬわけではないが、母様の許可無く勝手に近づくな。もしも私の忠告を聞き入れないつもりなら、…射る」


 セオドアの妻は黒いポニーテールを揺らしながら、背負った長弓を手に取る。

 その勇ましい姿をエリオットは瞳の中にピンクのハートマークを作りながら眺めていた。

 間も無くモヒカンたちの動きが止まった。

 ダイアナたちもまたやれやれといった様子で溜息をついている。

 エリオットの妻である末から二番目の妹は一族の掟に厳しく、また生真面目で頑固者であることで有名だった。


 「負けたよ、ジェナ。お前の言う通りだ。母様の許しを得るまで、水には近寄らない。一番のお姉さんである私が約束しよう。だから、その、弓から手を放してくれないか?」


 ダイアナは苦笑しながら頭を下げている。

 ジェナはニッコリと笑うと再び長弓を背負った。

 エリオットの妻ジェナはテレジア、ダイアナに次ぐ実力の持ち主だがそれ以上に姉たちに可愛がられ妹たちからは慕われていたのだ。

 そして長女であるダイアナも例外ではない。

 女たちが和気あいあいとした雰囲気になる一方でセオドアとモヒカンたちは身を寄せ合って歯をガチガチ言わせている。

 彼らは長弓を取ったジェナの恐ろしさを良く知っているのだ。

 かつてジェナは戦場で数多の敵将の眉間を一撃で貫いたことから”長い腕のジェナ”という異名を持っている。

 

 速人はいつも持ち歩いている道具袋の中からマグカップを取り出した。

 大小合わせて6つほどのカップを次々とテーブルの上に置いて行く。

 マグカップは全てワイン蔵から持ってきたものであり、蔵で作ったワインの試飲する為の食器であると思われる。

 また衛生面の配慮から軽く水洗いをした後に布巾で拭いてある。


 速人は柄杓を使って樽の中から水をすくってコップに注いだ。

 器の中を満たす水は底まで見えてしまいそうなほど透き通っていた。

 テーブルの上にわずかにこぼれた水滴さえも暖炉の炎の色を映してしまっているのではないかと思えるほどの清々しさを保っていた。


 「どうぞ。ご所望のお水ですよ、マダム・テレジア?」


 速人は漫画に出てくるイケメン執事のように胸に手を添え頭を下げながら、テレジアにコップを差し出す。


 ゴクリ。自然にテレジアの喉が鳴ってしまう。


 それもそのはずテレジアは井戸と浄水器が不調になってからまともな飲料水を飲んでいない。

 その間に出されたいものは子供と孫に譲っていたのだ。

 しかしいかにテレジアが我慢強かろうと、これほどの清涼感をもった水を見せられては忍耐力も底を尽いてしまうというものである。


 テレジアは速人に出し抜かれた悔しさを紛らわせる為か、口から息を吸い込んだ後に鼻から空気を一気に吐き出していた。


 そして速人とセオドアを睨みつける。


 「要らないね。町の裏手にある山の頂上に綺麗な泉があってさ、私は毎晩みんなに隠れて毎日たらふく水を飲んでいるのさ。だから喉なんて渇いちゃあいないのさ。私の分はいらないから子供たちに先に飲ませてやりな」


 そう言ってからテレジアは勧められたマグカップを突き返した。

 テレジアの子供たちは母親の言葉を聞いて一瞬、言葉に詰まってしまう。

 彼ら一人一人の表情がテレジアの話が嘘であることを物語っていた。

 逆にテレジアの孫たちは祖母の許しが出たことをきっかけにテーブルの上に乗ったマグカップを持って一斉に速人のところにやってくる。

 

 速人はこの後の展開をある程度、予想しながら子供たちの心に寄り添うようにして水を入れてやった。


 「はい。祖母ばば様。これ飲んで」


 テレジアの孫たちは一番大きなマグカップを持ってテレジアの前に集まっていた。

 テレジアは迷惑そうな顔になり、無言でマグカップを押し返した。

 それでも子供たちは引き下がらなかった。

 ダイアナら姉妹とモヒカンたちは、これ以上テレジアの機嫌が悪くなる前に子供たちを止めようかと迷っている様子だった。


 彼らも幼い頃に同じようなことをして母親に殴られた経験があるからである。


 「私はいらないって言っただろ?私の言うことが聞けないなら…、つよ?」


 テレジアは右手を振り上げた。

 テレジア自身、見せしめに本気で叩くつもりだった。

 

 そうでなければ、いつか必ず自分と同じ過ちを犯すことになるからだった。

 必ずしも自分の食料や水を相手に分け与えることは飢えや渇きを満たす方法にはなり得ない。

 場合によっては思わぬ結果を招くこともある。


 「祖母様、嘘は駄目。みんな知ってる。祖母様はずっと黒くて嫌な臭いのする水しか飲んでない…。この前も寝ている時、苦しそうにしていた。だから、この綺麗なお水を飲んで元気になって」


 コップを持つジェナの娘の瞳はあの時のあの男に良く似ていた。

 あの男とはダイアナやジェナ、マイケルたちの父親である。


 (「私の妹は火事で負った火傷が酷くてね。もう生きられない身体だった。だから君には生きて欲しいと思ったから水を飲んでもらった…」)


 その時、テレジアの脳裏にもう思い出すことはないと自分に誓っていた記憶が鮮明に蘇る。

 大昔、テレジアは他人の命を犠牲にして生き延びてしまった。

 なけなしの善意が彼女に生きることを宿命としてしまったのだ。


 (結局自分の子供たちにも親のせいで色々なものを背負わせてしまった。この上、この子たちにも辛い思いをさせるくらいなら…)


 テレジアは決心して、幼い自分の孫に向かって平手を振り下ろす。

 はた目から見ても当れば頭が吹き飛ぶくらいのレベルの強烈なビンタだった。


 バンッ!!


 間一髪。テレジアの平手を速人がヌンチャクで弾いた。

 テレジアは右手を引っ込めて、速人はヌンチャクを下に向ける。

 結果として威力は相殺されたが速人のヌンチャクの棒の片方はテレジアのビンタの直撃を受けて爆ぜ焦げていた。


 (この威力で子供を叩くつもりだったのか!?)


 流石の速人も冷や汗を垂らすばかりだ。

 

 一方、テレジアは手首を回した後に指の関節の具合を確かめている。

 右手のてのひらは棒が当たった箇所が赤く腫れていた。


 「やるね、坊や。私に怪我させるなんてさ。こんなに痛かったのは、そこのマイケルを産んだ時以来だよ」


 別に聞きたくもないマイケルの誕生秘話を聞かされた。


 「これが勝負ならばマダム・テレジア、貴女の負けだ。どれほど強い力を使ってもきっと彼らは一歩も退かないだろう。その血筋ゆえに」


 最後に速人は皮肉っぽく笑った。

 ジェナの二番目の娘シンシアは大粒の涙をこぼしながら、恐怖に抗いつつ懸命に立っている。

 シンシアにとっては地上最強の祖母の怒りよりも、祖母を失うことの方が何倍も恐ろしいことなのだ。

 シンシアだけではない他のテレジアの孫たちもマグカップを持って次々とテレジアのすぐ近くまで来ていた。


 「ああ、もう!!わかったよ!!さっきのは全部嘘だよ!!何日も川から汲んできた泥水ばっか飲んでるから喉だってもうカラカラさ!!飲めばいいんだろ!!」


 テレジアはシンシアの小さな手からコップを乱暴に取り上げて一気に飲み干した。

 子供たちは次々にテレジアのもとにやってきてはコップを渡していく。

 テレジアは仏頂面のまま、それらを全て一気に飲んでしまった。


 かくしてテレジアは総量四リットルくらいの水を飲まされることになった。

 飲み過ぎて少し具合が悪くなってしまったのか顔色が青くなっている。


 「水はまあ美味かったよ。けど、ドワーフが攻めて来るって話はどうするつもりだい?マティスが一人で話をつけてくるってんなら私は反対だよ」


 テレジアはマティスの方をじっと見つめている。


 マティスの方は先ほどのテレジアと子供たちのやり取りを見たせいで地に伏せて号泣していた。

 

 速人は床の上で転がりながら後ろでむせび泣く大男の姿を見なかったことにしながらテレジアにドワーフたちとの接見に関して自分の考えを提案することにした。


 「そこで私に妙案があります。マティス町長の護衛役としてマダム・テレジアとご家族の方のうち何名かが随行するという方策は如何でしょうか?」


 「まどろっこしいね。奴らのキャンプに集団で押しかけて、矢でもこう…ばーっと射った方が早いよ」


 テレジアは肩をすくめながら速人でさえも返答に窮するような答えを口にする。

 テレジアの背後では彼女の娘たちがやる気を見せていた。

 エリオットは急遽、速人の隣に戻って来る。そして速人に耳打ちをしてきた。


 「速人。どうか義母上を止めてくれ。君だけが頼りだ」


 「任せたぞ。速人」


 いつの間にかその隣に来ていたセオドアとモヒカンたちも餌を無心する仔犬のような瞳で速人の顔をじっと見つめていた。

 復帰してきたマティス町長も速人の両肩をがっしりと掴んで逃がさないようにしている。


 (こいつら、俺をとことん利用する気か…)


 速人は全身にべったりとまとわりつく汗の感触にうんざりしながら、テレジアに向き直る。


 「なるほど。武力を行使して解決する方法も宜しいのかもしれませんが、それではこちらにも損害が出てしまうでしょう。マダム・テレジアのご家族が勇猛果敢なのは周知の事実ですが、この町には戦うことが出来ない人々がいるのもまた事実。故にマダム・テレジアは自警団の長の役を買って出ているのでしょう?」


 「ああ。そうだよ。狩りと戦闘は私らの仕事さ。私らは、ウチの男衆と違って家事や農業なんてできっこないからね。適材適所ってやつさ」


 テレジアは「ウチは子育てと家事炊事は男の仕事だ」と自信たっぷりに言ってのける。

 モヒカンたちは下卑た笑いを浮かべ、ダイアナを始めとする女たちは腕を組みながら胸を張っている。

 

 (そこを自慢されても…)


 速人は真っ白になりかけていた。

 だが、ここで話を中断すると次回のタイトルが「強襲!ドワーフ居住地!」になってしまうので速人は心機一転してから話を続ける。


 「そこで、ドワーフたちとの交渉の仲裁役としてエリオットさんとセオドアさんにも随行してもらうというのはどうでしょうか。俺はお二人とはつき合いは浅いですが、お二人はこの手の交渉事は慣れているようにも見えます。マティス町長もきっと心強く思ってくれるでしょう。それでも相手が無茶を通そうとするのであれば現在の居住地から移動してもらうという形で」


 ドドンッ!!


 テレジアは手斧を再び、持って絨毯の上に突き立てた。

 ここはマティス町長の屋敷であり絨毯の所有者もまたマティス町長であることを忘れてはいけない。


 「なるほど。その時はコイツでズバッとやっちまっていいってことだね?」


 速人は首を縦に振った。

 その後、テレジアはセオドアの妻から絨毯とテーブルのことで説教をされていた。

 結局相談した結果、テレジアの家族からはダイアナとジェナが選ばれることになった。

 エリオットが同行することが決まっていたので順当な人選ということになるのだろう。


 速人たちはそのままとんずらする予定だったが、セオドアとエリオットが泣いて引き止めたので一緒にドワーフたちが仮の住まいとして暮らしている場所まで行くことになった。


 速人がおっさん二人に泣きつかれて死ぬほど嫌そうな顔をしている時にマティスの妻が部屋の中に入ってきた。


 「マティス。カッツさんがお話があるってカッツさんのお父さんと一緒に来ているんだけど玄関まで…って!!うちの絨毯とテーブル、どうしたの!?」


 「ああ、悪いね。アン。ついやっちまってさ」


 テレジアはセオドアの妻ジュリアに叱られながら、マティスの妻アンに向かって頭を下げる。

 アンはため息をつきながら、マティスの方を見る。

 マティスはカッツとその父親の来訪について神妙な面持ちで考えていた。

 カッツという男は故郷からサンライズヒルまで逃れてきたドワーフの難民たちの中心的な人物だった。

 故郷の名前や故郷を追われた理由を問うたことは一度もない。

 ここ(サンライズヒル)に来るものは大抵何らかの事情を抱えている。


 「マティス町長、良い機会です。ここで今、彼らと話し合いをしましょう。幸いにしてテレジアさんとご家族の方々は町長にとって家族同然の間柄なのですから今日屋敷にいても何もおかしいことはないはずです」


 「私も速人君の意見に賛成だが、テリーはそれでもいいのかい?」


 テレジアはまだジュリアに怒られていた。

 実は無敵のテレジアも、ジュリアとアンにはたまに孫の世話を手伝ってもらっているので頭が上がらないのである。

 今はテレジアの乱暴な素行が子供たちに悪い影響を与えるという話の説教を受けていて、ほとほと困っている顔になっていた。


 「私は構わないよ。ていうか悪かったからさ、そろそろ許しておくれよ。ジュリア」


 その後、マティスがセオドアを伴って玄関までカッツたちを迎えに行った。

 その際にはダイアナもついて行くと言ったが必要以上の人数で押しかけるとかえって相手を刺激するという理由で却下されてしまった。


 マティスたちが玄関にまで出て行った後、それまで黙っていたディーが速人に向かって小声で話しかけてくる。


 「速人。これからドワーフの人が来るって言ってたけど、どんな人なんだろうね」


 「俺も開拓村にいた頃、何回かしか見たことがないけどこんな小さな町に攻めてくるような連中だからな。きっとマイケルさんとかダイアナさんみたいな人たちなんじゃないか?」


 ディーは横目でマイケルたちをこっそりと見た。

 背中と胸、肩や腕にどぎつい刺青が入った凶悪な顔つきをした男たちばかりだった。

 しかし、よくよく観察してみると男たちは皆エプロンをしていたり可愛い赤ちゃんをおんぶしたりしている。


 ディーは子供をあやすモヒカンマッチョたちの姿を見て安心する。


 次にディーはダイアナたちを見る。

 テレジアの娘たちは皆、美人には違いないがボディビルダーのような体つきをしている上に弓を背負い、腰には小刀ファルシオン手斧ハチェットを下げている。

 しかも「ドワーフを八つ裂きにする」とか「ドワーフの首を誰が一番多く集められるか」などと物騒な話題で盛り上がっていた。


 ディーは何も見聞きしなかったことにした。


 しばらくして部屋の外から複数の男たちの足音が聞こえてきた。

 足音は部屋の前で止まると、入り口の扉が開かれた。真っ先に現れたのは一際背の高いマティス町長でその隣にはセオドアの姿がある。

 後から現れたのはどう見てもドラクエとかに出てくる町の人みたいな服装をしたやや生活に疲れた雰囲気の青年と頭に白髪が混じった初老の男だった。

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