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第三十話 必殺の海と大地と天空のゴッドハンバーグ!!

次回は二月二日に投稿します。

 

 カトリは速人がハンバーグを手ごねしている様子を見守る。カトリが幼い頃に父ヨーチと一緒に作った記憶があるが不器用なカトリには父のように綺麗に作ることは出来なかったことが記憶として残っている。

 当時、一緒にいた二つ下のアトリの方が楕円形に近い形の物体を作れていたような気がした。

 母ワンダから聞くところによれば父の作るハンバーグステーキという食べ物は父の故郷の食べ物らしい。

 

 速人のハンバーグを成形する姿は確かに父の姿とよく似ている。


 (果たしてこれは偶然の一致によるものなのか)


 カトリは涼しげな美貌を崩すことなく思索に耽る。傍らで冷静さを失い、今にも速人に食ってかかって行きそうな妹とは真逆に。


 「ハンバーグとは、うちの親父殿の得意料理のハンバーグステーキのことか?」


 カトリはディーに尋ねた。

 いきなり声をかけられディーはまたもや「うひゃあ!」と悲鳴をあげる。


 カトリは不快そうな顔をするとそのままディーの顔を掴んで軽々と持ち上げた。

 カトリは涼やかな雰囲気をまとう外見から冷静沈着な性格と思われがちだが、実際の性格は両親譲りの苛烈なものである。

 姉の性格をよく知るアトリは静止しようと試みるが、返す刀で一睨みされた途端にその場で凍りついてしまう。


 (ねーちんの浮き沈みの激しい性格、何とかならねえかな…)


 普段から豪気なカトリに世話になってばかりだが、アトリは内心愚痴を溢さずにはいられなかった。


 「あの速人という子供が作っている料理の名前はハンバーグステーキか、と聞いている。それと、大の男がぎゃあぎゃあ喚くな。見苦しいにも程がある」


 カトリが腕に力を込める度にみしりみしりという音が聞こえてきた。

 一方、ディーは痛みと恐怖から声を出すことも気を失うことも出来ないでいた。

 喋ることが出来なくなってしまったディーの代わって雪近が質問に答える。


 「ああ、今速人が作っているのはその”はんばあぐすてえき”っていう肉団子を焼いた食い物だと思う。ついでにカトリお嬢、ディーに悪気は無えんだ。その辺で勘弁してやってくれねえか?」


 カトリは訝しげな視線を雪近に向ける。

 カトリと雪近の年齢は十歳近く離れているはずなのに、雪近は蛇に睨まれた蛙のように動けなくなってしまった。

 

 と雪近が必要以上に恐れている様子を見てカトリはさらに不機嫌そうな顔になってしまった。


 「なるほど。ではもう一つ聞くが、あのおめでたい顔をした速人という子供はお前や親父殿と同じく”別の世界から流れて来た人間”なのか?」


 カトリは速人という名前を聞いた時に父親の名前とどこか共通する響きがあることに気がついていた。

 もしも速人が父親と同郷の人間ならばハンバーグステーキのことを知っていてもおかしくはないはずだ。 そう考えた末の疑問だった。

 しかし、ここでカトリはあることに気がつく。

 新人ニューマンにしては目鼻の筋が通った洗練されたどことなく中性的な顔のつくりをしている父ヨーチ。

 ギリギリで並以上の容姿をしている雪近。


 (果たして…、あの被り物のような大きな頭をした子供が親父殿や雪近と同じ種族の生物なのか?親父殿の故郷とは一体どのような場所なのだ。わけがわからん)


 カトリの中で速人に対する疑念が一段と深まった瞬間でもあった。


 「ああ。というか速人の方が俺より先の時代から来たって言ってから、もしかすると旦那の知り合いかもな」


 カトリは「承知した」と呟くとディーを地面に降ろしてやった。

 ディーは悲鳴を堪えながら逃げ退り、今度はシャーリーの後ろに隠れてしまった。

 

 ディーはシャーリーの後ろでしゃがみ込んでガクガクと震えている。


 「チッ」


 シャーリーはディーを掴んでカトリの前に投げようとしたがアルフォンスとラッキーに止められた。


 カトリは自分の席まで戻り、身を投げ出すようにして腰を下ろした。


 「ねーちん。キチカのヤツ、何だって?」


 「あの子供、話によればうちの親父殿と同郷の人間らしい。アトリよ、つくづく世の中とはわからんものだな」


 カトリはバケツの中から小魚を取り出している速人の姿を見る。

 一方、アトリは心底驚いた様子で速人の”水陸両用探査任務特化型MSアッガイ”によく似たフォルムを凝視した。

 その後、一瞬だけ手足のすらりと伸びた言うなれば”エゥーゴの可変型MSZガンダム”のような父親の姿を思い浮かべる。


 (とーちんの故郷には奴隷階級はいないって言ってたしな。もしかするとアイツは大昔の巨人族が使役したっていうゴーレムみたいなもんか?)


 アトリは小首をかしげてしまう。


 その間も速人はせっせと魚の頭と背骨と尾を外し、さらに皮をはいだ後身を二つに捌いて別のボウルの中に投げ込んでいた。


 (手先の熱を魚に伝えてはいけない)


 速人は機械のように正確に、素早く魚を調理した。

 浅葱のような香草を瞬く間にみじん切りにした後、大量の生姜をすりおろす。青いレモンのような柑橘類を二つに切ると、絞り機を使って果汁を取り出す。

 次に捌いた魚の切り身を板の上に並べて、塩を振った。

 間一髪の差で果汁を振り撒く。


 アトリは速人の神業を目の当たりにして絶句する。

 そもそも肉料理のハンバーグの材料にに魚を使うという話は聞いたことがない。

 もはやアトリにとっては全てが理解の範疇の外にあったのである。


 「なるほど。魚の身に塩と果汁の汁を降る、か。やや強引だが、”ペン先”(※ナインスリーブスの魚。川の魚だがイワシのような味がする。下手な雑魚よりも安価な魚)の強烈な匂いを消す方法としては最適解と言えよう。だが、ペン先など出してどうするつもりだ。私もトマトと一緒に煮込んだペン先の料理は好きだが、ハンバーグのつけ合わせとしては不似合いだぞ?」


 「ペン先の表面にパン粉と香草をつけて焼いた後に、添え物にする。いや、それではペン先の個性が強烈すぎてあんな肉のパティじゃ負けちまうぜ」


 アルノルトとアルフォンスはしっかりとついて来ていた。


 ヘムレンたちはレストランの従業員だけあって食い下がっているようだったが、他の面子は何が何やらという感じだった。


 速人は次に箱の中に入っていた泥だらけの根菜に水をかけた。

 速人はたわしを使って土のついた部分を落とし、やがて中の土色の皮が姿を現わす。

 それは山芋、ナインスリーブスではドワーフ芋と呼ばれる代物だった。

 速人は綺麗に泥を落としたドワーフ芋を六等分に切り分け、水の入った鍋の中に入れて強火にかける。

 その間、手早く人参とそら豆の下処理を始める。

 人参は皮を剥いて角切りに、そら豆は皮から外して茹でた後にみじん切りにする。後はまとめてバターで炒めて軽くした味をつけた。

 

 同じころ、速人の元にちょうどバケツ二杯分の砕いた氷を持ってきた雪近とディーが現れた。

 かなりの重労働だったらしく二人とも汗でびっしょりになっている。

 速人はディーと雪近に労いの言葉をかけた。


「相変わらずトロくせえな!お前らの生きてる価値なんてそこらに生えてる雑草ほども無えぞ!」

(雪近、ディー。頑張ったな。お前らのおかげでどうにか料理を完成させることが出来そうだよ)


 時間が差し迫っていた為に速人の本音と建て前が逆になってしまった。


 速人に問答無用で罵倒された二人はげんなりとした表情になっている。


 「速人よう。もう少し、言い方ってもんがありゃしないか?」


 雪近は両手に持ったバケツを渡しながら文句を言ってきた。

 速人はバケツの中にある氷を見る。

 砕かれた氷は用途に応じた大きさになっていた。

 速人は満足したように頭を振る。


 「だったらもう少し早く仕事を終わらせろ。現場の空気を読むのも真っ当な大人に必要不可欠なスキルの一つだ」


 速人は底のある盆の中に氷を流し入れて、その上にさらに盆を置く。

 氷結の魔法を使って目的の物を冷やすという手段もあるが、氷結の魔法は温度調節が難しいので細かい作業には不向きだった。


 こうして速人は即席の氷室を作った後に、茹で上がったドワーフ芋をざるに上げた。

 そして高温であるにも関わらず素手で皮を剥く。

 芋類というものは高温のうちに処理しておかないとデンプン質が凝固してしまうので調理することが難しくなってしまうのだ。

 速人はドワーフ芋の皮を剥いてしまうとボウルの中でマッシャーを使ってボロボロに崩してしまった。

 

 馬鈴薯(※ジャガイモのこと。ナインスリーブスにはジャワ島がないのでジャガイモは登場しない)とは違い自然薯に近い特性を持つドワーフ芋は潰すと粘り気が出てしまう。

 処置が遅れるとデンプン質が必要以上に出て粉っぽくなりすぎてしまうので早急に調理する必要があったのだ。


 速人は手早くマッシュポテトを作り、軽くした味をつけた。


 その後、速人は気持ち大きめに形を整えたハンバーグを氷を敷き詰めた盆の、さらにその上に置いてある盆の上に置いていく。盆の厚みごしに氷で冷やされたハンバーグはしっかりとした小判の形を維持するようになる。


 本当ならば冷凍庫を使って時間調節しながら行う調理工程なのだが、冷凍庫の無いナインスリーブスではこれが精一杯である。


 次に速人はまな板に並べられた魚に布をかぶせる。

 本来ならキッチンペーパーを使って切り身の表面に出てきた水分を取りたかったのだが、この世界では紙は高級品なので使うことはできない。


 だがしかし、出来ないことを放って置くことは凡庸な人間の悪癖以外のなにものでもない。

 無駄と失敗を幾星霜にも積み重ね確かな形に変えていくのが先駆者の宿命である。


 速人は果汁を少しだけ降った布巾で魚を覆った。


 (この作業に必要なものは速度。手熱は数秒で魚油を分解し、腐らせる。そうしない為には)


 速人は別に用意しておいた氷の入った塩水が満杯になったバケツを見る。


 「ふんっ!!」


 ドプンッ!


 速人は両手をバケツの中に突っ込んだ。


 (手がものすごく冷たい!!)


 しかし、速人は耐えた。

 今バケツから手を出すわけには行かない。

 手の中に残る熱を限りなく冷ました状態でなければ己の目指す究極の味に辿り着くことはできないからだ。


 「ぬううっ!!」


 ザバアッ!時間にして数分後、速人はバケツから手を出した。

 近くで速人の様子を見ていた雪近やディーが驚きの腰を抜かしていた。


 速人はそのまま魚の上にかけてあった布を取って、まな板の上に置いた。

 そしてもとの世界から持ってきた刃の厚い包丁で魚を乱切りにした。

 それからラッキーから借りた厚手の包丁を左手に持ち、右手のマイ包丁と共に頭上に掲げる。


 「一体、何をするつもりだ。速人少年ッッ!!」


 アルノルトは速人の勇姿を目に焼き付けようと審査員席から身を乗り出す。

 唸り声を上げながらヘムレン、アントン、フランシスたちも仮設キッチンまで走って行った。


 流石にこうなるとアトリやカトリ、そしてラッキー、シャーリー、アルフォンスはついてこれなくなっていたことは言うまでもない。


 「これが俺の”二十一世紀のイワシの焼きなめろう風ハンバーグ”だッッッ!!!」


 速人は両手に持った包丁を叩きつけ、細かく魚の切り身をすり身に変えていった。

 ただのすり身ではない。ある程度、歯ごたえを残すことで魚という食材の個性を主張する。

 本来ならイワシハンバーグはひき肉とすり身を合わせるのが定番だが、速人のそれはひと味違う。

 速人は二回肉挽き機にかけた合いびき肉を掴み、魚肉に混ぜてさらに叩いた。

 混ぜるのは粘り気が出るまで叩いた後、ほんの少しだけ。速人はその間に浅葱に似た香草をま混ぜて、さらに叩いた。


 そして最後にすりおろした生姜を絞って肉だねの上にかけてから叩いた。


 速人は思う存分叩いた後に肉だねをボウルへと移し、とき卵を四つ分ほど落とした後に軽く触れる程度の力加減で混ぜ合わせた。

 それから手をまた冷した塩水につけて熱を冷ます。

 その後、先のハンバーグ同様の形に成形して別の氷を下敷きにした盆の上に置いた。


 「魚肉と合い挽き肉の混合ハンバーグだと!!馬鹿な!!ソースはどうするつもりだ!!あの濃厚なソースでは全てがぶち壊しになってしまうではないか!!何という屈辱だ…。この私に知らぬ美食の世界があるとはッッ!!」


 アルノルトは屈辱に身を震わせ、ウィッグをとって齧り出した。

 アルノルトの金色の悪趣味なカツラの下はブラウンブロンドのゆるやかなウェーブのかかった長髪だった。

 ヘムレンたちは料理人の端くれらしく速人の手作業を視線を釘付けにされていた。

 今や彼らは速人の常人離れした神業を何とか自分のものに出来まいかと全神経を集中させていた。


 速人は調味済みのドワーフ芋で作ったマッシュポテトの入ったボウルに同量の炒めた合い挽き肉を入れる。

 そして焼きパン粉、人参、そら豆を入れた後に軽く混ぜた。

 ボウルの中で具材がマーブル状の色合いに変化して、瞬く間にメンチカツの種が出来上がった。


 「馬鹿な。馬鹿な、馬鹿な、馬鹿なああああ…。速人少年、君はこの短時間で三種類もの肉料理を作るつもりだったのか…」


 速人は盆の中にパン粉と数種類の乾燥ハーブを入れた。

 そして、小麦粉と卵でコーティングされたメンチカツのたねを混合パン粉の中に入れた。


 速人は完成したメンチカツのたねをまな板に並べた後に加熱したフライパンの上に一センチほどの油を敷いた。


 「メンチカツを揚げずに焼くとはな。やられた…。あの方法ならば工夫した衣を焦がさずに仕上げることができるというもの。何という斬新な調理方法なのだ…」


 速人はニヤリと笑いながらも淡々とメンチカツを焼き揚げる。

 ナインスリーブスにはまだカツレツを焼くという技術は浸透していない。

 カツレツを焼くという手法は少量の油で衣をさっくりと仕上げるだけではなく、パン粉の持つ風味をそのまま生かすことが出来る。

 故に速人はあらかじめ衣と溶き卵に下味をつけておいたのだ。


 ソースにつけなくとも食べられるカツレツ、未知の食物を前にアルノルトの顔は汗だくになりメイクがはげ落ちていた。


 (嫌な汗だ。老いと衰えを隠す為につけたファンデーションが剥落しているような気分になってしまう。この私が老化を恐れ、虚飾を纏っているとでもいうのか。あり得ぬ!!断じて在り得ぬことだ…!!)


 アルノルトはファンデーションと同じく緑色になった自身の汗を拭った。


 「二種のハンバーグとカツレツ。最初から複数の人間が試食することを想定して、この僅かな時間で料理を構築していたのか!」


 レストラン・アフタヌーンのホールスタッフであるヘムレンにとって速人の手作業は既に理解の範疇を越えていた。

 少なくともヘムレンたちとアルノルト、アルフォンスは速人が当初から二時間近くの与えられた時間を全て使い切る料理を考えていたことに気がついてしまったのだ。

 それも三種の料理で、嗜好の違う複数の客層に対応するという破天荒な試みである。


 (おそらくはあのコロッケに似たメンチカツは大衆向けの、そして魚肉を混ぜたハンバーグは後味あっさりの軽食を望むお客様の、そして残った未知のハンバーグはこってりとした或いはガッツリ食べたいお客様の為に作られたものに違いあるまい。あの速人という小僧はそこまで考えて作っていたのか!)


 ヘムレンはかつてない敗北感を覚えていた。


 速人はメンチカツを一旦、フライパンから取り出してからコンロの火力を調節してもう一度コロッケを揚げ焼きする。

 具材が普通のコロッケよりも複雑である為に二度揚げしなければならなかった。

 メンチカツを布を広げた皿の上に乗せる。

 そして速人は魚肉の入ったハンバーグを焼くという作業を並行して行った。

 冷気によってより強固に成形されたハンバーグの外側に速人はでんぷん粉をまぶした。

 水分の蒸発を防ぐためだった。

 やがて熱したフライパンの上に乗せられた魚肉入りのハンバーグたちは凍った部分が瞬間蒸発し、青魚独特の香りとレモンに似た香を出しながら湯気を立てた。


 「おおっ!なんつーか、焼いたサンマに酢橘すだちを絞ってさっとかけたような匂いがしやがるぜ!」


 じゅるるるるっ!


 雪近が故郷で幾度となく味わった慣れ親しんだ味を思い出し、ハンバーグから漂う香気を鼻に吸い込んだ後に垂涎する。

 

 肉だねに仕込まれた浅葱と大葉に似た香草の匂いもまた一役を買っていた。


 アルノルトは自身の身体を抱き締めて、至福の歓喜にのたうっている。


 さらに速人はもう一つのメインとなるハンバーグを焼こうとしていた。

 コンロに燃料を足して、火力を強める。速人はオレンジ色の炎が立ったことを確かめると、魚肉入りのハンバーグを別の皿の上に乗せていった。

 こちらの皿にも布が敷いてある。

 これらは余分な肉汁を取り除く為に用意されたものだった。


 (この一手間が料理にとって重要なのだ)


 速人は十分に加熱されたフライパンの上に真ん中を窪ませたハンバーグを乗せる。


 じゅわわわっ!


 かくしてハンバーグは肉汁を出しながら焼き上げられるのであった。

 速人はハンバーグの表面に焼き色がついていることを確認すると別の皿の上に乗せた。

 一気に大鍋に入っている大量のスープを目の細かいザルの中に流し込む。

 大量の出汁ガラがザルの中に残り、金色のスープだけが下のボウルに落ちる。

 ヘムレンたちは呆気に取られながら黄金のスープの完成を見守る。


 ザバザバザバッ。


 速人はボウルの中身を中くらいの大きさの鍋に投入する。

 鍋の中にブーケガルニ、牛脂を入れて塩・胡椒で味を調える。

 次にコンロの火力を上げてから、スープの分量が四分の三くらいになるまで加熱した。

 最後に小鍋の中に少量のバターを溶かしてからスープを入れる。それから再度、小鍋を加熱した。

 スープが沸騰して見る見るうちに水かさが減る。

 元のスープの量の三分の一くらいになったものを、三つのスキレットに分けて入れた。


 (まさか!これは、そういうことなのか!!)


 速人の神業を目の当たりにしたアルノルトは刮目し絶叫する。


 「速人少年、君は三種類のソースと三種類のハンバーグを作るつもりだったのか!?」


 速人は狼狽するアルノルトの姿を見て邪悪な笑みをこぼす。

 そしてそれぞれのスキレットの中に別々の材料を投入していった。


 「その通りだ。一種類のハンバーグしか出してはいけない、というルールじゃなかったろ?」


 ドドドドドドドドド…、ドギューーーン!!!


 次回、実食に続く!!!


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― 新着の感想 ―
[良い点]  第二十六話 灼熱の料理バトル!! からの圧巻の展開に、とにかく圧倒されました。  市場を舞台にした金融関係の設定から、小ネタのマンガ、ゲーム、映画等のギャグを散りばめながら料理対決に持…
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