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第百ハ十五話 マティス、大いに失敗する

すいませんまた遅れてしまいました。次回は11月19日くらいに投稿できるように努力します。

 その後。マティスらサンライズヒル組とキリーとエマの夫婦はエイリークを始めとする大人らと一緒に大市場に向かった。

 マティスらの身を案じた速人が同行を申し出たがベックの妻コレットがさらに状況が悪化する可能性があると言ったのでエイリークの家で帰りを待つことになる。

 速人は雪近とディーに客室のベッドメイクを頼み、自分は夕飯の支度をする事にした。

 その際にソリトンの娘アメリアが手伝いを申し出てきたがレミーとシグルズが大慌てで止めに入ったので被害が出る事は無かった。

 実際に速人もアメリアの雑という言葉だけでは足りない壮絶な仕事ぶりを見ているのでキッチンで一人、胸を撫で下ろす。


 (アメリアさんのやる気があるのは嬉しいんだけど、食べ物と食器の扱いが雑すぎるんだよな…。水を用意してくれって頼んだらバケツ一杯分を鍋に入れようとするし)


 速人はエプロン姿で女神の微笑む美しいアメリアの姿を思い出しながらため息をついた。

 

 さらにその後。レミーたちにエリオットの子供たちの世話を任せて速人は食事を用意を終わらせた。 

 

 ソリトン一家とコレットには留守の間を任せていたのでこのまま家に帰すわけにも行かず夕食に招待する事を考えていたのだ。

 一応、レミーとアインに許可を取っておいたが二人ともエイリークほど器の小さい人間ではなかったので快諾してくれる。

 むしろレミーなどはなぜそんな事を聞くのかと不思議に思っていたようだが速人が「エイリークさんが…」とだけ口にすると肩を落としながら居間に戻ってしまった。


 (失敗した。俺としたことが、レミーの心の傷を抉ってしまったか…。よし明日はレミーの好物の白身魚のアクアパッツァを作ってやろう)


 速人は反省した後、キッチンに戻ってメニューを追加する。

 しかし、この速人の気づかいがエイリークとレミーのアクアパッツァを巡る戦いの原因となり、レミーの心に新しい心理的外傷トラウマを作る結果となる事を速人はまだ知らなかった。


 「ただいま…」


 それから二時間くらい経過した頃、エイリークたちが家に帰ってきた。

 いつも精気に満ち溢れているエイリークだったが今はアンデッド系のモンスターのようにやせ細っていた。

 後からついて来たエリオットたちも同様に落ち込んでおり、時折頭を振って何かを追い出そうとしている。

 おそらくは凄まじいと評判のアルフォンスの父親の説教を受けたのかもしれない。

 しかし大人たちの中でも一番酷い事になっていたのはマティス町長で巨体を左右からコレットとベックの夫婦に支えてもらわなければ一人で歩けない状態になっていた。

 

 速人は彼らを居間に案内するように雪近とディーに頼んだ後、キッチンからあしぼりとハーブティーを持ってくる事にした。

 

 速人が居間に到着するとエイリークはマルグリットの膝に頭を乗せガチな感じで慰めてもらっていた。

 普段ならベックかケイティが”子供の前でみっともない事をするな”と怒っている場面だが誰も止めようとはしない。

 つまりエイリークとマティスのような大の男が立っていられないほどの説教を受けたのである。

 速人は慈母のように彼らのもとに現れ、ハーブティーとおしぼりを手渡した。

 エイリークは初老のおっさんのようにおしぼりで顔を拭いてから速人に向かって弱音を吐く。

 普段は無視するところだが、この時のエイリークはあまりにも弱っていたので病気の子供を心配するように速人は聞いてやることにした。


 「戦場で、俺は一度として敵に臆する事は無かった。だが俺にも出来ない事はある。アルの親父に楯突く事だ。情けねえ、何が大英雄だ…」


 エイリークはよほど恐ろしい体験をしたせいか虚ろな目で呟いている。

 マルグリットは自分の太腿の上に乗っているエイリークの頭を撫でていた。

 普段ならここでレミーが人前でイチャつくなと文句を言ってくるのだが、わずかな時間で痩せ衰えたエイリークを見てしまっては苦言を呈することも出来ないでいる。

 実際にエイリークは極端に落ち込んでいたが同行したダグザとソリトンとエリオットとセオドアもかなり落ち込んでいる。

 速人が話を又聞きした限りでは激昂したアルフォンスの父親からマティスを庇おうとして逆に怒られたらしい。

 速人はその時になってキリーとエマの姿が見えない事に気がついてベックに尋ねる。

 ベックは別のソファでマティスを寝かしつけてから予備の椅子に腰を下ろしたばかりだった。


 「そういえばさベックさん、キリーさんの姿が見えないけど、ひょっとしてもうエマさんと一緒にウィナーズゲートの町に帰っちゃったの?」


 ベックは答えるよりも先に額に浮いた汗を拭った。

 そして深海から浮かび上がった死体のような真っ青な顔で口を開く。


 (マズイな、これは俺のミスだ。ベックさん、たった二時間くらいでやつれてる。コレットさんにでも聞けば良かった…)


 速人はこの時自らの人選ミスに気がつき、普段から世話になっているベックに心の中で謝罪した。

 

 はあ…。

 

 ベックはアルフォンスの家で起こった惨劇を思い出さないようにしながらキリーの行方について語った。


 「キリー?キリーはエマと一緒にアルの家で夕食をすませてくるってさ。まあ実質死刑みたいなもんだろうけどアイツにはいい薬みたいなもんさ…。速人君は知らないかもしれないけれどキリーはご両親が亡くなってからずっとアルの家で暮らしていてね。昔、エマと一緒になってからも家に住んでいたんだよ。アルのお母さんが二人の部屋を残しておいてくれてね、今晩は泊まっていくんじゃないかな。ははは…うッ⁉思い出したら気持ち悪くなってきた…」


 ベックは苦笑しながらアルフォンスの父親が激怒した時の事を思い出してしまい思わず吐き気を催してしまう。

 アルフォンスの父親は今でも第十六都市においては融合種リンクス族と中流階級の代表的な人物であり、戦時中にベックとコレットは両親が亡くなった時も色々と世話になっていたので強く出る事が出来ない。

 今回も二人を庇うつもりが一緒に怒鳴られる羽目になった。

 コレットとシャーリーはベックたちが怒鳴られている間、早々に引き上げて外で買い物をしていたらしい。

 むしろ不幸中の幸いと考えるべきなのだろう。

 ベックはダグザの方を見て「ダグ、後は頼むよ」と言ってソファに背中を預ける。

 ダグザも生来の神経質そうな顔立ちと相まって辛そうな顔になっていたが速人の持ってきたハーブティーを飲むとアルフォンス家で起こった出来事を説明する。


 「我々はアルの家に挨拶をしに行ったんだが大市場の近くを通った時にエリオとテオの姿を見られて騒ぎが広まってしまったんだ。速人、お前にあれほど注意されていたというのに申し訳ない事をしたと思っている」


 ダグザは言葉を区切った後、速人に向かって頭を下げる。

 なぜか隣にいたレクサも一緒に頭を下げていた。


 (そうか。途中で合流したレクサさんが目立つような大声を出してしまったせいで発見されてしまったのか。…まあ、レクサさんのやる事だしな。不可抗力というものだろう)


 速人は苦笑しながらダグザとレクサを宥める。

 現在、赤ん坊のアダンは速人が抱っこしていた。


 「まあまあ。ダグザさん、流石にそれは仕方ないよ。喧嘩になったら大変だっただろうけど、下町の人は歓迎っていうかエリオットさんたちの無事な姿を見て喜んでくれたんだろ?結果オーライってやつさ」


 速人に自分の失態を見抜かれた事を悟ったレクサはさらにぐぐっと頭を下げた。

 ケイティとソリトンがレクサを慰めていたが立ち直るにはしばらくの時間が必要となった。

 ダグザはレクサを心配しながらも話を先に進める。


 「その後は、想像するに難くは無いだろうがアルの家に大勢の知り合いが押しかけて騒ぎになってしまったよ。その後はアルの父親に謝罪と挨拶をする事になったんだが…騒動になりそうだったところをアルとシャーリーが収めてくれて全てが丸く収まるはずだったんだ、はあぁぁ…」


 ダグザは大きなため息を吐いた。

 同時にマティスとベックの頭がグッと下がる。

 その時おそらく何かがあったのだろう。

 同じ場所にいたはずのソリトンたちも沈黙を守っている。


 「ああっ、…もう我慢できねえよっ‼」


 気まずい空気に耐えられなくなったエイリークが椅子から立ち上がってマティスとベックに向かって指をさしながら大声で叫んだ。


 「だぁぁぁーッ‼せっかくエリオとテオとジェナがアルの親父を説得してくれってのによ‼マティスのおっちゃんが「実の親でもないくせに余計な事を言うな」って言っちまったせいで爺ちゃんが大爆発しちまったんだ‼俺たちは家から追い出されてキリーとベックとマティスのおっちゃんの弾劾裁判みたいのが始まって最後は俺とソルの二人でダールを呼ばなければならないような結果になっちまったんだよ。爺ちゃんはダールには甘いからな」


 ガリガリガリッ‼


 エイリークは腰まで伸ばした自慢の金髪を乱雑に掻いた。

 普段は髪に傷がつくと言って滅多にしない行為だが、余程腹に据えかねているらしく絡んだ抜け毛を手で払っていた。

 エイリークたち大人組はついさっきまでの出来事を思い出して再び落ち込み、マティスの温厚な面しか知らないジェナの子供たちは今のエイリークの発言を聞いてかなりのショックを受けていた。

 マティスは両手で顔を覆ってさらに縮こまっている。

 おそらくサンライズヒルに帰った後、妻と娘から厳罰を食らうのを予期しての事だろう。

 だがその時、意外にもベックがマティスのフォローに回った。


 「それは違うぞ、エイリーク。あれは親父(※ベックは昔から自分の父親を父さん、アルフォンスの父親を親父と呼んでいる)が悪いんだ。あのクソジジィはな、俺たちが成人してから今までずっとガキ扱いしやがる。こっちはもう孫だっている年齢なのにいい加減に俺たちを認めろってんだ。…今回だけは私はマティの味方になってやるつもりだ。痛だだだだッ‼」


 ベックは勇ましい顔つきで言ってのける。

 しかし次の瞬間、コレットがベックの耳が取れそうになるほど引っ張っていた。


 「アナタ、ちょっと来なさい」


 「お父さん、ウチの子供がいるんだから止めてよね」


 「はい…」


 ベックは己の言動を反省して娘と妻に従う。

 こうしてベックは妻コレットと娘ケイティに連れられて別の場所で説教を受ける事になった。

 …合掌。


 問題はベックの過激な発言を聞いたアメリアとシグルズとアインがかなりの精神的なダメージを受けていたという点だろうか。

 速人は子供たちに食事の用意が終わった事を伝えるとキッチンに向かった。

 数分後、カートの上にたくさんの食べ物を乗せた速人が居間に戻って来る。

 その頃にはエイリークたちはソファに寝そべるか、テーブルの上に突っ伏すかして落胆の極みとでも言うべき状況にあった。


 「…何か空気が淀んでいるから、今日は特別に手伝ってやるよ」


 レミーはエイリークたちを一瞥してから子供たちを代表して手伝いを申し出る。

 速人もまた精気を失ってしまったエイリークたちを見た後、レミーたちに食事の準備を手伝ってもらう事にした。

 それから少しの時間が経過してテーブルの上にはたくさんのパン料理が並ぶことになる。

 エイリークとマルグリットは食事の準備が終わった事を確認するとすぐにソファから身を起こして手を伸ばす。

 いつもなら速人がエイリークたちを殴るか、締め落とすかして止めに入る場面だが今回に限っては好きにさせている。

 エイリークとマルグリットは肉料理と野菜が挟まったバケットを両手に取って食べ始めた。

 ジェナの子供たちはエイリークに感化されてバケットを掴もうとしたが手に取る直前でジェナに頭を叩かれて引っ込めてしまう。


 「お前たち、食事の前の挨拶はどうした?食べ物への感謝を忘れような悪い子はヴォーダンが攫いに来るぞ?」


 ジェナの子供たちは魔神ヴォーダンの名前を出されて委縮してしまい、手を引っ込めてしまう。

 ジェナは速人に食事の許可を取ると今度はエリオットと子供たちの五人で「いただきます」と挨拶をしてから食べ始めた。

 だがエイリークとマルグリットはその様子を気にする事もなくガツガツと食べている。

 レミーは両親に殺意を込めた視線をぶつけるが全く動じていない。

 それどころかエイリークはレミーに向かって親指を立てた後にぐるっと下に向け、マルグリットは笑いながらベロを出した。


 パチンッ‼


 両親の仕打ちに即ブチ切れたレミーは魔獣ハヤトを召喚する。

 速人はレミーとアインが健やかに成長する事を祈りながら生のハラペーニョと大量のデスソースの入った特製チリドックをエイリークたちに食べさせた。

 

 「んぐ…ッ⁉」

 

 「きひ…ッ‼」 

 

 二人の顔色は青から赤に変化する。


 ダダダダダダッ‼


 エイリークとマルグリットは堪らず裏口から外に出て井戸の水を飲みに向かった。

 ソリトンは何となく特製デスチリドックを手に取ってから速人に尋ねる。


 「速人。さっきエイリークとマギーが外に出て行ってしまったが一体どうしたんだ?」 → パクリ


 ソリトンは不思議そうな顔をしながら口をもぐもぐと動かしている。

 そしてエイリークたちのように顔が真っ青になった後、真っ赤になってその場でバタリと倒れてしまった。

 速人は大慌てでソリトンを蘇生させようとしたがケイティに止められた。

 ケイティは自分の右拳にふうと息を吹きかけるとそのままソリトンの鳩尾に向かって勢い良く落とした。


 どすんっ!


 地面に鉄球を落とした時のような鈍い音が聞こえたのと同時にソリトンは意識を取り戻した。


 「ね?」とケイティは苦笑しながら速人に同意を求める。

 流石の速人も今回ばかりはわけがわからなくなっていた。


 「心配するな、速人。これは俺の”妖精王の贈り物(ギフト)”だ。何でも”緑騎士の鎧”といって心臓を突かれるか、首を斬られでもしない限り死ぬ事はないらしい」


 ソリトンは笑いながらケイティに殴られた部分を摩っている。

 速人は呆気に取られながら上半身を起こしているソリトンの姿を見入っていた。


 (いや不死身の肉体を持っているって話は聞いてたけど、ケイティさんのパンチの方が効いているじゃないか…)


 速人はソリトンの食べかけのパンを回収してキッチンに持ち帰った。

 ソリトンは鋭利な刃物を思わせるクールな外見に反して何も考えずに行動してしまう”天然物”の要素を持っている男なので、時間が経過すればまた激辛パンを食べてしまうだろう。

 速人にとってエイリークと彼の隣人たちは腹が減ればレゴブロックを口へ運ぶ乳幼児並みの扱いとなっている。

 

 速人はキッチンでティーポットに温かいハーブティーを入れて居間に戻った。

 そうして部屋に戻ると口を「産地直送辛子明太子」みたいに腫らしたエイリークとマルグリットが戻って食事を続けていた。


 「ケッ‼裏切り者が戻って来たぜ、ハニー?…話しかけられても絶対に無視だからな」


 「つき合いの長いアタシらよりエリオの子供の前で良い格好をしたいからってさ。速人、アンタ最低だよッ‼見損なった‼」


 二人は口の中の食べ物を飛ばしながら罵倒を続ける。

 速人は「ハイハイ、わかりました」と頭を下げながら使用済みの食器を運んだり、エイリークたちの口元をハンカチで拭ったりした。

 そして、皿の上の食べ物が無くなると自分の分を食べ終えたマティスがセオドアたちと一緒にお礼を言いにやってくる。


 「速人君、今日は晩ご飯をご馳走してくれてどうもありがとう。サンライズヒルから来た人間を代表してお礼を言わせてもらうよ」


 マティスは首筋に撫でながら恥ずかしそうに頭を下げる。

 セオドアとエリオットもマティスに続いて礼を言った後に頭を下げてきた。

 ジェナが速人に夕食の礼を告げると彼女の子供たちも速人に頭を下げる。

 ジェナは素気の無い口調だが、礼節に通じた大人だった。


 (こういうところはテレジアさんの教育の成果なんだろうな。関心感心)


 速人はテレジアが両腕を組んでいる姿を想像しながら微笑む。

 そして食器の片付けの時間と並行して作った特製ジャムを乗せたクレープをジェナたちに振る舞う。

 横取りしようと飛びかかったエイリークはマティスに空中で捕縛され、フロントバックブリーカーを食らって悶絶している。


 「それにしても、こんな事で明日は本当に大丈夫なのかよ⁉今日みたいな事になったらマジでやべえぜ。何せアルんとこの爺ちゃんはもう昔みたいに動けないけど、スウェンの爺ちゃんは身体はまだ健在だってダグが言ってたしな‼」


 復活したエイリークはソファの上に寝転がってクレープを食べている。

 三十を過ぎた男があまりにもみっともない姿をしていたので速人はクッションを持ってきて上半身だけ起こしてやった。

 そして口元についたオレンジマーマレードのカスをハンカチで拭いてやる。

 エイリークは喉を撫でられた猫のように幸せそうな顔をしている。

 

 ギュッ!

 

 その時、速人の耳たぶが何者かにぎゅっと摘ままれた。


 「それ以上うちの父親を甘やかすなよ…」


 速人はレミーに耳を摘ままれてエイリークから引き離されてしまった。


 「大丈夫も何も明日のお茶会で頑張るのはエイリークさんたちだぜ?俺は立場上サポートしか出来ないんだってば」


 エイリークは激しく言い争うアルフォンスの父親とマティスの姿を思い出してげんなりとする。

 昔からマティスと身近な者たちが喧嘩になると本音をぶつけ合う為に多少言動が乱暴になってしまう傾向があったが今日の騒動は質が違っていたような気がする。

 エイリークが眉間に皺を寄せて考え込んでいるとダグザがお茶会で気をつけることについて尋ねる。


 「こう言っては大人としてあまりにも頼りないと思われても仕方が無いが、明日の会合は我々にとっても重要な意味を持つ。認めるのは癪に障るが、接客に関してはお前の方が我々の誰よりも上だ。速人、何か気をつけなければならない事があるのなら是非とも教えてくれ」


 ダグザは真剣な面持ちで頭を下げてきた。

 エイリークは一先ず考えるのを中断して二人の話に耳を傾けることにした。

 

 エイリークが椅子に座り直して聞き役に徹すると居間に集まっている他の人間も速人の言動に注目する。


 (俺は当事者じゃないから細かい事まではわからないっていうのに、そこまで頼りにされてもな…)


 速人は内心ではため息を溢しながらもお茶会当日で注意しなければならない事を話すことにした。


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