第七十三話 縁と符合
次回は六月十一日に投稿するぜ。
一方、速人は町の入り口近くにある壊れた壁を垂直に走りながらドルマたちの待つ廃墟と化した倉庫まで戻って来る。
防衛軍が十数年前の戦時中の際に物資を保管しておく為に建てた倉庫という話を速人はセオドアから聞いていた。
瓦礫を跨ぎながら速人は難民たちやデボラ商会に雇われた男たちの様子を確認しながら、ドルマとウェインのところを目指す。
ここだけの話、速人は難民たちに配慮してドルマがいることは口外しないようセオドアたちに伝えていたのだ。
ドルマの名は帝国、レッド同盟のみならず自治都市の人間からも恐れられている。
最初からその必要が無ければ話すつもりは無かったのだ。
速人はついさっき見知ったばかりのトマに頭を下げながらも廃墟の奥へと進んだ。
「速人。こっちだよ。こっち」
速人が崩れた壁と幾重にも重なった瓦礫を乗り越えながらさらに奥を目指していると不意に間の抜けた声が聞こえてきた。
生憎、倉庫の屋根だけは健在なので陽の光は届いていない。
薄明りの中、速人が声が聞こえた方角を見るとそこには焚き火を囲んだディーと雪近、それにセオドアとエリオットとドルマとウェインの姿があった。
(はっはっは。こんな酸素の薄い場所で火を起こすなよ…。一酸化炭素中毒になりたいのか、馬鹿どもが)
能天気に微笑かける男たちの姿を見た速人はかつてないほどの殺意を抱く。
速人はのしのしとドルマとウェインのところまで歩いて行く。
その際に速人の鼻腔がアルコールの臭いに反応した。
何とドルマは速人が席を外している間にウィスキーの入った金属製の水筒を空けて、一杯飲んでいたのだ。
「らん。らん。ららんっ」
速人は腰に手を当て軽快なスキップを踏みつつドルマに近付くと、腕ひしぎ十字固めを決める。
その後、ドルマはアルコールから覚めるまで一方的に痛めつけられた。
「いやあ悪い。悪い。緊張してつい酒の世話になってしまったよ」
ドルマは笑いながら左手で頭をボリボリと掻いている。
一方、右腕の方は速人に極められた関節技の痺れが残っている為に伸びたままになっていた。
速人はドルマに持っていたミントの葉っぱらしきものを強引に口の中に突っ込む。
これからコルキスに会いに行くという時にアルコールの臭いが残ったままでは相手の印章が悪くなる可能性がある。
ドルマは「色々と済まない」と言いながら卑屈な笑いを浮かべている。
「もぐもぐ…。ごっくん」
ドルマは口中に広がる爽やかな香りと如何ともしがたい苦味に耐えながら、ミントの葉らしきものを噛み砕いて飲み込んでしまった。( ← おっさんにはありがちな行為 )
(口から出せ、と言うつもりだったんだがな。まあ、いいか)
速人はドルマに水筒を手渡して、口を漱ぐように薦める。
ぐちゅぐちゅぐちゅ…。
ドルマは口の中を水で洗うとそのまま飲み込んでしまった。
そして、ドルマの高齢者じみた一連の所作を眺めていた速人とウェインはドルマの人格を疑うような目つきで見ている。
そんな中、ふとドルマは自分の傍らに誰もいないことに気がつく。
いつの間にかドルマと速人たちの間には一定の”距離”が生まれていたのだ。
速人は落胆しているドルマから水筒を受け取り、コルキスのいる天幕まで案内するように伝える。
※後で水筒の口の部分はこれでもかというくらい入念に拭いた。
「さっさと行くぞ、アル中親父!何でも酒に頼ってンじゃねーよ!」
速人は乱暴な言葉づかいでドルマに向かって怒鳴りつける。
ドルマは助けを請うようにウェインを見るが、ウェインは旧知の仲であるエリオットとセオドアに別れの挨拶をしている最中なので気がついていない。
否、一瞬目が合ったが無視をされていた。
実はウェインとドルマは義理の親子の関係だが、ウェインも速人同様に昔からドルマの酒を飲む悪癖に悩まされていたのだ。
実際、故郷を発つ前にドルマの家族からも酒を飲ませるなと言われている。
「まあ、毎度の事だがお前らの世話になっちまったな。一応、礼を言っておくぜ」
ウェインとしても、エリオットとセオドアに同行してもらった方が心強いのだがそれが言い出せないでいた。
結局十数年来の友人たちとの再会だというのに、歯切れの悪い別れの挨拶となってしまった。
「それはお互い様っていうか、大変なのはむしろこれからだろ?コルのおっさんならエイリークのところまで無事に連れて行ってくれるだろうから安心しろ。ドルマの事を頼んだぜ、ウェイン」
ウェインの思惑に気がついてか、セオドアも目を合わせられずにいる。
エイリークたちのところに戻らないのもエリオットと相談して決めた事なのだ。
「結局、速人に頼りっ放しで我々は何も出来なかったが目的が無事に遂げられることを祈っているよ」
そう言ってエリオットはウェインに右手を差し出す。
時は戻らない。
そして時間が作り出した人と人の間に生まれた空白を埋めることは当人たちにしか為し得ない。
ウェインはエリオットとセオドアの姿を見ながら手を取り合い、二人と握手を交わした。
それが根性の別れではないことを願いながら。
(糞が。西洋人のこういう何かある度にハグして誤魔化そうとするところは害悪以外の何ものでもないな)
速人は、中年男たちが互いの抱える過程事情ゆえに不本意な別れを強いられる十代の生娘のような姿を台所の三角コーナー放置された生ゴミを見るような目で見ていた。
こうして速人はどうにか素面に戻ったドルマとウェインを連れてコルキスの待つ防衛軍の天幕に向かって出発した。
背後ではエリオットたちが送り出しとばかりに手を振っている。
どうやらドルマとウェインはわずかな時間にカッツたちとも打ち解けていたようだった。
(カッツさんとは本来は不倶戴天の間柄なのだろうが、人の上に立つ人間なのだからこういうこともあるのだろう)
速人は頭を振って無理矢理納得することにした。
速人はかつて倉庫が並んでいた区域と天幕の中間にあたる場所で立ち止まった。
かなりゆっくりと歩いたつもりだが、ドルマとウェインは走って合流しようとしている。
速人はため息をつきながら二人の男が近くまでやって来るのを待っていた。
やっとのことで速人の近くまで走ってきたウェインは肩を上下させるほど大げさに息を吐いている。
ドルマに至っては全身汗だくになってしゃがみ込んでいた。
速人は呆れながらも二人の男の体力が戻るのを待つことにした。
「お前、三十路の男の体力を舐めてるだろ。いいか、よく聞け。おっさんってのはな、若い奴らの前で見栄張ってるだけの生き物なんだよ。それをいきなりこんなに走ったら死んじまうんだよ」
ウェインは再び、地面を見る。
ドルマも無言で首を何度も上下に振っていた。
速人は老害共の魂の訴えを無視して、両手を差し出した。
「おい、老害。どうでもいいから手持ちの武器を寄越せ。俺が預かってやるから」
ウェインは面食らった面持ちで速人を見ている。
そして、再びぶち切れた。
それは生まれながらにして突っ込み属性という厄介な性癖を持つ男の悲しい性だった。
「お前な!!そんなことが出来るわけがないだろ!!こっちの爺さんと俺はよその国の軍人だから仕方ないとしても、よその国の軍隊の施設の中に丸腰で入れるわきゃないだろうが!!」
ウェインに爺さん呼ばわりされた瞬間、ドルマは顔面蒼白になっていた。
「黙れ、ヘタレ三白眼。もしもこのまま俺たちがテントに入って、防衛軍の連中に武器を渡せみたいなことを言われたらドルマさんの面子がつぶれるだろうが」
速人は右手を出したまま距離を詰めた。
ウェインは肩にかけてある紐つきのポーチを外して、中身ごと速人に手渡した。
ポーチの中身は赤い飛竜の意匠が彫り込まれた長方形のカバーには短い柄がついている。
カバーの内側にはおどらく片刃の刃が折り畳まれている。
おそらくは帝国軍の兵士が好んで使う武器、火竜槍だろう。
魔法杖としても槍としても使うことができる武器である。
ウェインは自分の武器を没収するだけにしろと視線で伝えてきたが、速人はドルマにも武器を渡すように促した。
その際、ウェインが舌打ちをしたが上司を慕う気持ちだけは理解していたので速人は無視をする。
ドルマは速人に軽く会釈をした後に腰に下げている長柄の突剣とやや刃の広い短刀を手渡した。
速人は渡された武器を軽々と両手に抱えて、そのまま入り口を目指す。
その道中でもウェインは相変わず不機嫌なままになっていた。
速人は防衛軍の天幕近くの出入り口前に立つ兵士たちに声をかける。
兵士たちは速人の姿を覚えていたらしく、ドルマとウェインはそのまま容易に天幕に入ることが出来た。
ドルマは興味深そうに天幕の内部や軍馬を見ている。
一方、ウェインは兵士たちが自分たちの近くを横切る度に頭を下げていた。
速人たちはコルキスに指定された部屋の入り口の前までたどり着く。
速人はドルマたちに自分の後についてくるように言った。
両手に抱えきれないほどの大崎の武器を持った少年と軍服の上からローブを羽織った男二人が歩く姿は異様だったが、コルキスが隊員たちに説明をしてくれていたおかげで特に呼び止められるようなことにはならなかった。
やがて三人は大きな山に大蛇が絡みついている絵が描かれた垂れ幕の前に到達する。
布の向こうからコルキスの気配を感じる。
速人はコルキスの部屋に通じる仕切り布の前に立ち止まった。
先ほどの指示通りにドルマとウェインも立ち止まる。
「コルキス様、速人です。ただ今ドルマ様をお連れしました。面会のほどよろしくお願いいたします」
速人は垂れ幕の前で丁寧にお辞儀をする。
速人の後ろ姿を見たドルマは幼い頃のウェインを重ねて微笑んでいる。
「こちらの準備は整っております、速人殿。どうぞ中へお入りください」
速人はコルキスの声が聞こえてきた後にもう一度、頭を下げた。
そして垂れ幕を両手で持ち上げて、ドルマとウェインを中に招き入れる。
ドルマは部屋に入るなりコルキスに頭を下げた。
遅れて入ってきたウェインも上官に続いてコルキスに頭を下げる。
一方、コルキスの方は独り言ちながら、首に巻いてある赤いスカーフの端を弄っていた。
(今日は大した用事ではないと思って軽装で出勤してきたのは失策であったか…)
隣にいた青い鎧の騎士トラッドは、この仕草がコルキスが動揺している時のものであることをコルキスの部下であった自身の父親から知らされていた。
しばし頭上に視線を向けた後、コルキスはスカーフの形を整えてドルマと向かい合った。
「ドルマ、よく来たな。そちらは…。ああ、あの時の小さな騎士殿か。どちらも懐かしい顔ぶれだ。忙しいところをこちらまで足を運んでくれて感謝している。ありがとう」
ウェインは首に手を当てながら赤面して頭を下げた。
ずいぶん昔の話になるが、戦時中負傷したドルマとウェインが第十六都市の世話になっていた時によく様子を見に来てくれた金髪の騎士がコルキスだったことを今さらのように思い出す。
「コルキス殿。その昔はずいぶんとお世話になりました」
ドルマもウェインに倣って頭を下げる。
トラッドが呆然とした表情で頭を下げる二人の姿を見ながら、コルキスに尋ねる。
「あの伯父さ…、じゃなくてコルキス監督官殿。こちらは本物のドルマ殿なのですか?」
正騎士になって日の浅いトラッドでもドルマのどっしりと落ち着いた様子を見れば真贋の見分けくらいはつく。
隣にいる黒い髪を後ろで束ねた目つきの鋭い騎士も歴戦の勇士であることは疑いようもない。
両者ともに、トラッドにとっての天敵のいじめっ子エイリークに似た風格を備えていた。
コルキスはトラッドの問いに対して無言で頷く。
そして速人にドルマたちの武器を返すように頼んだ。
「速人殿、この二人に武器を返してやってくれませんか。仮にも帝国の騎士ともあろうものが、小さな自治都市の防衛軍のテント中で丸腰とあっては格好がつかないでしょう」
速人はまずコルキスに頭を下げて、物置用のテーブルの上にドルマのエストックとウェインのポーチを置いた。
そして、懐からハンカチを取り出して外側についた埃をさっと拭き取る。
それから改めてドルマたちの方を向き、一礼した後に武器を手渡した。
「速人。つくづく悪いことをしたな。家内にもよく刃以外の部分の手入れをしておけ、と言われている」
ドルマはそう言って、笑いながら大小の刀剣を元の場所に戻した。
ウェインは「ありがとよ」といった後にポーチを背負い直し、速人に握手を求める。
速人は深々と頭を下げた後にウェインとの握手に応じる。
速人の礼儀正しい姿を見ながら、トラッドとウェインは「「ケッ!つくづく可愛げのないガキだぜ!」」と毒づいていた。
その直後、二人は保護者によって脳天に拳骨を落とされる。
「ドルマよ。先ほどこの速人殿から緊急の用事ゆえにエイリークを頼ったと聞いているが、それは本当か?」
コルキスはドルマに視線を戻し、何事も無かったかのように第十六都市へとやって来た理由を尋ねた。
その背後では頭を押さえながら痛みに耐えているトラッドの姿がある。
青い鎧の青年騎士は口をへの字に結んで、目から涙を滝のように流していた。
「ええ。貴方の仰る通りなのです、コルキス殿。話は数か月前にまで遡りますが、ダナン帝国と自治都市とレッド同盟を繋ぐ大道の要所で荷物や金品を狙った馬車強盗事件が多発しておりまして…。このまま事態を放置しておけば五公のいずれかが動き出し、討伐隊を編成するまでそう時間はかからないでしょう。そうなればレッド同盟とて動かざるを得ない状況になり得る」
(そこまで状況は動いていたか…)
速人は白目を剥いているウェインを介抱しながら盗み聞きをしていた。
ウェインは意識を取り戻すと速人に礼を言って自力で起き上がる。
「なるほど。それでエイリークを頼って第十六都市までやって来たというわけか。生憎だが今お前たちをエイリークに合わせるわけにはいかん。なぜならば奴は今”隊商高原の羊たち”を離れて実家を再興する為に市議会議員となる為に若のもとで助手をしているらしい」
…。
コルキスの持っている情報は一か月ほど古かった。
しかしドルマとウェインは驚きながらも納得しているという様子だった。
速人は今ここでエイリークが議員になることを諦め、”高原の羊たち”のリーダーに復帰したことを伝えようか悩んだが逆にドルマたちを連れて都市の中を案内させられることは目に見えていたので黙っていた。
「やれやれ。俺も無駄に年齢を食っちまったな。他人を頼るようになっちゃ終わりだ。すまないな、ウェイン」
ドルマは頭を無造作に掻きながら、ウェインの方を見る。
ここ数日で帝国領内で起こった事件を捜査するうちに行き詰まって、エイリークを頼ろうと言い出したのはドルマだった。
その際に随伴を頼んだウェインが歯切れの悪い返事を出してきたのは、エイリークが政治家としての道を歩むことを想定していたからなのだろう。
「仕方ないっすよ。アイツはいい加減な男ですが、俺とは格が違う。いずれはみんなのリーダーになる男だってガキの時分から考えてましたからね」
ウェインは片目を閉じて、苦笑しながら言った。
「さて、それではどうするか…」とドルマが呟いた時にコルキスが防衛軍の幹部であるレナードに面会してみてはどうかと申し出る。
「私の紹介で良ければ、ウチのレナードに相談してみるのはどうだ?このトラッドをつけてやるから防衛軍の本部に行って来い」
コルキスからの思わぬ申し出にドルマとウェインの表情は明るくなった。
この時、ドルマはいざという時は戦時中に知り合ったレナードかダールトンを頼るつもりだったが帝国内においてもそれなりに知名度の高い二人だったので切り出せずにいたのだ。
特にダグザの父ダールは今でも帝国の貴族たちの間では同盟によって奪われた領土を手土産に五太公の一角として返り咲こうと画策している野心家と畏れられているほどの傑物である。
速人は話がさらに複雑化する予兆を感じてか、いつでも逃げられる準備をしていた。
「それは有難い。渡りに船というものです、コルキス殿。是非ともお願いします」
ドルマは姿勢を正し、改めてコルキスに頭を下げた。
ドルマの知る限りでは、レナードは公明正大な人物であり各国に多くの伝手を持つ優秀な人物である。
さらに前述のダールトンやその父スウェンスとも交流があることはドルマ自身も知るところだ。
ドルマのような頭の固いだけの軍人が考えるよりもずっと良い方法を思いついてくれるだろう。
(おや?俺たちをここへ案内してくれた速人という少年が恥ずかしがって、あんなところにいるぞ?)
ドルマは気配を消しながら部屋の隅に移動しようしている速人を後ろから羽交い絞めにする。
「!!??」
体術の心得がある速人でも一瞬で捕縛されて、身動きが取れなくなってしまった。
速人は口をパクパク開いてウェインとトラッドに助けを求めたが、二人の男は地獄の炎に焼かれる亡者たちの姿を見て笑う悪魔の如く速人の苦しむ様を見守っていた。
ひゅー、ひゅー、ひゅー、ひゅー。
しばらく経ってから、速人は陸に上がった魚のような顔をしながら横になっている。
必死に呼気を回復させようと努力しているが、首が絞められていた時間が長すぎたので元に戻るにはもう少し時間がかかりそうだった。
速人が目を天井の方に向けるとドルマたちがコルキスに説教をされていた。
(まさかこの俺が関節技で後れを取るとは。思ったより広いな、世界)
速人は腕を使って上半身を起こした後に自分の側頭部を掴んだ。
そして首のすわり具合を確認した後に、可動部分を一気にずらして元の位置に戻した。
骨接ぎの音を聞いたドルマたちは驚いてそちらの方を見ると、頭の位置が少しだけズレておかしいことになっている速人の姿があった。
速人はドルマたちの様子から骨接ぎが失敗していることに気がついて、部屋の壁に掛けてある鏡を見ながら頭の位置を調節した。
「これで良し」
速人は鏡を見ながらニヤリと笑った。
しかし、速人の頭の状態が元に戻るまでの一部始終を観察していたドルマたちの顔は真っ青になっている。
「エヘン!エヘンッ!本日は晴天なり!本日は晴天なりッ!」
速人がわざとらしい咳払いをする。
(見世物じゃねえんだよ)
コルキスは慌ててトラッドにレナード宛ての書類を何冊か渡していた。
そんな中、速人の側にドルマがやってきて小さな声で囁いた。
「なあ、速人。実は都市に入る前にエリオットとセオドアに挨拶をしていきたいんだが、いいだろうか?」
速人は露骨に嫌そうな表情をしながら舌打ちをした。




