プロローグ
気が付くと一面の白世界に立たされていた。ソル=フリードは気怠そうに目を細めた。
「・・・。なんだぁ?此処は。」
もう一度見まわしても、何もない空間に落胆する。
とりあえず歩いてみようと考えたのだが、この白世界で動くのはあんまり得策ではないとかんがえ、気配を探すように意識を集中させた。普通の人間ならそんなこと不可能であるのだが、ソルは普通の人間とはちょっと違う為、簡単に、それはもう赤子の手をひねるぐらい簡単ににやってのけた。
「・・・。上か?」
結果、かなり上の方に、わずかに動く気配を発見した。
そこに狙いを定め、ソルは左腕を上にあげ、唱えた。
「“黒天”」
瞬間、ソルの左手に黒く、禍々しい何かが集っていく。それは周りが爛れるほどの熱量を有し、この一面白世界でなければあたりは地獄絵図になっていただろうと容易に予想できる。そして集まった黒炎はソルの左手の中にどんどん圧縮されていき、手のひらサイズの球体でとどまった。
ソルは無言で、されど口を裂いたような笑みを浮かべ、先程の気配の場所へ無配慮にぶち込んだ。それはどこまで行くのかわからなかったが、とある所で一瞬静止し、直後瞬く間に肥大化していき、爆発を起こした。
激しい黒煙とパラパラと音を鳴らしながら崩れる瓦礫を巻き起こした張本人は、それを無視して一気に爆心地へと跳躍した。本来ならありえない距離の跳躍だが、ソルはさも当たり前のように平然と、上の階へ着地した。
そして目の前に現れた場所。机と椅子に座っている老人を見て、また口を裂いた。
「よっ、さいばんちょ、今日はなんのようだ?」
「…裁判長ではない。私は神判、この天国を見守り、司り、統べるものだ。」
「へいへい、それで?その顔からするにいい出来事じゃあなさそうだな。」
ソルの言った通り神判と呼ばれた者の顔は怒りで眉がピクピクと震えている。座っていた席を立ち、息を大きく吸う。
「どうもこうもない…!今回は本気で怒ったぞ、ソル!!」
「なんでさ、今日はまだやらかしてない。」
「つい今しがたのことを忘れたかッ!部屋は破壊し魔術は使い、悪びれもせんのか!!」
「あぁ…いやでもあれはアンタが俺を閉じ込めたのも悪いだろ。」
「閉じ込められる理由があるお主が悪いわ!!…ここ数年、お主がこの天国に来てからの天使たちからの苦情の件数を知っておるか?」
「…0だな、俺のような品行方正で成績優秀な奴に苦情があるわけない。」
ニタニタと笑いながらさも当たり前のように言うソルに神判は怒りで肩まで震わせ始めた。
「5万件だッ!!この数年間、いやこの天国が始まって以来最大の個人に対する苦情件数だ!!」
「ワォ!モテ期来ちまったなぁおい。」
軽口でヘラヘラしてるソルに、何を言っても無駄だと悟ったのか、「はぁ…」ため息をつき、神判は席に座った。
「初めの方はまだ我慢できていたさ、天国の皆も多少の悪戯ならと大目に見ていた。今日だって何もやらかさずにやった行為を反省する素振りを見せれば、あの世界から返してやる予定だった…。だがもう我慢ならん!今更地獄に落とすとも言わん!というか、もはや儂の力だけでは抑えきれん、故に…だ。」
「…。」
「実力行使といかせてもらう。」
神判は目を閉じ、唱え始める。
「此は再開の約束、此は集うものの往く果、此は望まぬ物の唯一の希望。旅するは孤高。消えぬ残滓の元、その魂に生を映し。再び此岸へと回帰せん。」
詠うは転生の呪文。ある特定の場所、特定の人物、特定の時間でないと使用できない最上級魔術。ソルはこの魔法を知らない、すべての原点魔法を理解してるがそれでもわからなかった。だがソルにはそれを喰らわない自信があった。だからその場でボーっと立っていた。それが大きな間違い、神判は朗々と読み上げかっと目を見開いた。
「“転化界雷”。強大な力に溺れる人間はよく見る、だがお前は適切に力を使う理性があるのも十分にわかっておる、だから、もう一回人生をやり直す機会を与える。自身のその禊、落としてくるといい。」
そう言い終わる直後、眩い光がソルの体を通り過ぎていく。それに痛みはなく、むしろ深い眠りにつきそうなほどの安らぎを与えていく。
「うっ…。てめぇジジィ!!こんな魔法とその祝詞、初めて聞いたぞ!!ずりぃなぁ!!」
頭を押さえて激しい睡魔と闘いながら、ソルは吠えた。
「当たり前だ。この魔法は天国で作られ神判のみが受け継ぐもの・・・。どんな戦士でもどんな魔法使いでも・・・。元勇者のお前の対魔力でも、抑えきれんほどの大魔法だ。」
「クソがっ・・・!“絶障”!!」
それは自らの障害になるものを取り除く魔法。だがそれは、障害とは見做して貰えなかったらしく、以前として白い光柱に捕らわれている。体を支えられずにその場に崩れ落ちれる。
「…今回の転生は正規の物ではない、故に転生した先で何か弊害が起きるやもしれん。だが、此処天国の為、現世の者には苦労を掛けるな…。」
言葉とは裏腹に表情は終始無表情でこちらを見ている神判。次第に閉じていく瞼の中。
「クソったれが!恨むぜさいばんちょさんよ!!この借りはいつか必ず返してやる・・・!3倍にしてなぁ!!」
そういって、ソルの意識は完全に闇に落ちた。
「…だから私は、裁判長などではない…。」
そんな声も聞こえた気がするが、多分気のせいだ、そうだといったらそうだと思おう。
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「はっ!!」
気がつくとソルはガバッと上体を上に上げた、今はまだ朝日が登り始めた頃らしく、窓からの朝日が眩しい。寝ぼけ眼をこすり、顔を洗うために家の外にある小川に向かう。
パシャパシャと顔にかかる水が気持ちいい、そうして覚醒した脳を確かめ、今日一日の目標をいつものようにツブヤク。
「さて、今日も謙虚に生きましょう!」
これがソル=ライオネット(現7歳)の習慣となっているのだった。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
ホント内容はよく見るし文は拙いしとひどい内容でしたがどうかご勘弁を。
私の他の作品をみていただけている方にはすみません、あれ、多分もう時間が立ちすぎて書けないかと…。
そして心機一転を兼ねて作ったこの作品、いかがだったでしょうか?感想どしどし送ってくださいね!(笑)
さて、本作品なんですが、ここまではネーム書いてたんですけど、ここからのネームが何故か無いんですよぇアハハ…
なので頭をフル回転させながら、自分の中で精一杯頑張りますので、これからもご一読よろしくお願いします!!
目標はズバリ!『完走させる』です!!
次回は1週間後には挙げれたらいいなぁ。