番外 大好きな世界が笑顔で溢れたなら
※本編とは繋がってません
これは三人の旅から一年がたったハロウィンのこと。
今日はハロウィンです。
一年に一度、私、マリンの住む街が盛り上がる日です。
私の街では南瓜は育てていませんが、近隣の小さな町から沢山の南瓜が集まるということで、私の街のハロウィンは収穫祭という意味でも盛り上がっています。大半の人はその認識はありませんが。
あの日、ラミとジャックと旅をしてから一年が立ちました。
時が過ぎるのはあっという間で、少し寂しく感じます。
旅の終わりはどうやら思い出せませんが、ラミが亡くなってしまったこと、旅が終わればジャックとは合わなくなったこと、そして何よりも楽しくて幸せな旅立ったことを覚えています。
あの日家を飛び出してしまったので、私は当然お父さんとお兄ちゃんの住む家には戻れません。
今は心優しいおじいさんおばあさんのお家に住まわせていただいてます。
十分な食事ができて、孫のように優しくしてくれて、部屋まで用意してくれて。その上お小遣いまでくださって。
とても充実した毎日を送ることが出来ています。
そんな私は、このハロウィンの日に一人部屋に閉じ篭っていました。
部屋に閉じ篭って何をしているかというと、今朝市場で買ってきた南瓜に顔を掘っていました。
中身をくり抜いてから表面に顔を描き、その部分に穴を開けていきます。
丁度その作業が終わった頃でしょうか、部屋にノックの音が響きます。
「はーい」
私が返事をすると、扉を開けておばあさんが入ってきます。
おばあさんの手には袋詰めされたクッキーがいくつも入ったバスケットがかけられていました。
「そろそろ子供たちが来ると思うから、マリンちゃん、これ渡してみないかい?」
「はい!」
私は元気よく頷くと、おばあさんの持っていたバスケットと今出来上がったかぼちゃのランタンを持って部屋を出ました。
すると、それとほぼ同じくして玄関の扉がノックされました。
「トリックオアトリートー!」
私が扉を開けると、この時期によく雑貨店で見かける白いお面をつけて黒い布に身を包んだ少女がそう言いました。
何故目の前にいる人が少女だと分かったのかは少女の身の全てに覚えがあったからです。
身長も、体型も、その声も、全て大好きなあの人のようで……。
「あれ…わた……どうして……」
ぽろぽろと流れ出した涙が、私の頬を伝って夜道に落ちました。
「泣かないで、笑ってよマリン」
「え…?」
目の前に立っている少女は付けているお面を外すと、私の顔を隠すように私にお面を付けました。
「私は、泣いてるマリンよりも、笑ってるマリンの方が好きだから」
付けられたお面を外して周りを見ると、既に少女はいませんでした。
お面を付けられる前にちらと見えた少女の顔は、私の大好きな──
「もう、最高の悪戯だよ」
零れる涙を拭って、月の輝く夜天を見上げて、私は精一杯に笑いました。
─大好きな友達 ラミへ
私は毎日 笑えています──
ハロウィンまでに終わらせる、などと言っておりましたがそんなことできませんでした。
体調不良を言い訳に今回はこれで許してくださいお願いしますなんでもする訳ではありません。




