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~5~

私にはそんなに変わったように見えないような・・・。

床屋さんは今度こそフカフカの革張りの椅子に座らせてくれて、シャキシャキと髪を切ってくれましたが・・・。

あんまり、長さが変っていません。

私は床屋さんを無言で威圧しました。

もっとバッサリ切ってといったじゃないか。

困ったような顔で、床屋さんは外を指さしました。

そこには睨めつけるようにして立っている評価屋がいました。

そうですか、そういうことなんですね。評価屋が髪を短くするなと差しずしてきたと。

どうせ家で切っても同じです。こうなれば、とことん、子供の遊びに協力しましょう。

私はたたきつけるように1000円を置くと、外で見張っていた評価屋を上から睨め付けました。

いくら猫背になっても大人の方が身長は高いのです。

しかし、そんな私の睨め付けなどモノともせずに、評価屋はまたしてもグイグイと腕を引いていきます。そこは婦人服売り場の試着室コーナーでした。

中に無理矢理押し込められ、外からドンドン服やらくつやらアクセサリーが投げ込まれます。

しょうがないので、私は着替えてみることにしました。

ウエスト切り替えのワンピースはふんわりするように細工されているのか、形が崩れません。袖口がレースで凄くかわいいです。アクセサリーはネックレスだけで、ハンドバックと靴は革製品でしたが、さっき磨いたばかりのようにピカピカしています。

足を通してみると、まるで長年はいてきたようにぴったりしています。

随分とぴったりしているので少し気持ちが悪いくらいです。

けれど、姿見に映った私は今までの私ではありませんでした。

エレガントで足がほっそり長く見える、美人なお姉さんです。

ちょっと感動してしまいました。

でも、ダメですね。だって、どんなに綺麗になっても私は私のままです。

恥ずかしくて、しゃべる事もできません。

なんだか、しょぼんとしてしまいました。

すると、しゃーっと勝手にカーテンが開きました。

あー入ってます!!

立っていたのは評価屋でした。


「・・・」


評価屋は私を矯めつ眇めつ見たのですが、はあ・・・とため息をつきました。

分かりますよ。見た目だけは美人になりましたからね。


「ちげー」


???

何が違うのでしょうか?


「やっぱ、あんた、見えねー。それ、やるから、モッカイ来て。今度こそはあんたに似合うパターン見つけるから・・・。クソ、勉強不足なのか!?」

「・・・なんの・・・べんきょう?」

「パターン。俺、パタンナーになりたいの。今まで、見てきた人間全員がパターン見えてたのに、あんただけ見えねー。あんたもしかして、宇宙人?」


私は思わずこらえきれなくなって大きな声で笑いました。

ウチュウジン!?今時聞かない言葉です。

人前で初めて笑ってしまいました。恥ずかしいです。


「ようやく笑ったな。あんた、笑ってる方が似合うぜ」


なんともマセた評価屋との出会いでした。



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