ー08ー
扉を通る時、奇妙な浮遊感がしたけれど...あれが【転送魔法】が発動したと言う事かしら?
扉を開けた先は中世ヨーロッパの砦とかで良く使われていた通路みたいになって居るわね。
良かったわ。いきなり謁見の間とかだったら笑顔で閉めていたでしょうね。何処に出るか分からないけれども。
「あ、お姉さん!」
「大丈夫でした!?」
「よかったー。お姉さんもコッチで」
「他の扉へ向かった人なんて居なかったですが、y「良かったですぅ~」......」
私に気付いたさっきの子達が飛んできた。弾丸の様に。
勢いを殺さず突っ込んで来られ体がやや傾く。
ちょっと落ち着きましょうか?踏ん張りが足りなければ、痛い思いをしていたわよ。私が。床、岩っぽいですから......
それで、どうして巫女さんカットの子は間延びした話し方をする子を若干睨んでいるのかしら?
「え、ええ。大丈夫よ。水晶に触れた時、騎士様に顔を歪められたくらいだから。皆はどうだったのかしら?」
ここに出られて良かったわー。
「あー、うん。あったね、そんな事」
「うん。私も」
「あの残念な子を見る眼はイラッとしたね」
「俺は安心したけどな」
私達では判断には欠けるけれど、大方あの顔が金貨を渡す時の合図になっていたのではないかしら?いえ、他に合図が在ったわよね、きっと......
「やっぱりステータスが低いって判断をされたんでしょうね。さて、皆周りを見て誰が居ないか確認してくれるかしら?私では分からないから」
勇者君達は居ないと思うのだけれどね、それ以外の子達は判らないのよね...私。
「えーっと...」
「あれ?何時も五月蝿い寺沢(勇者)達が居ねぇ」
「...そう言えば」
「静、だね...」
「奈切 加菜恵さんのグループ4名も居ませんね」
「奈切って確か聖女(笑)とか言って騒いでなかった?」
やっぱり彼等が居ないだけみたいね。因に勇者君側も4名。勇者、魔導使い、聖騎士、神官だったわ。もう名前とかは覚えてないのにそう言う所だけ覚えてるのよね......
「恐らくその子達が"資格ある者"と判断されたのでしょうね」
「何となく、基準は分かるんだよな...」
「どーせステータス値が高いとか、勇者やら聖女やらの称号があるって云うのが条件でしょ?」
「多分そうだな」
「ええ、そうね」
私と岩動君の予想を小宮さんが見事言い当ててくれたわね。
「えっと...そうなると、私達はどうなるんでしょうか...?」
ユリと呼ばれていたこの子...も皆も気になってるみたいね。
「そうねぇ、良くてお城を追い出されるわね。悪くて......」
「「「ゴクンッ」」」
あらあら、ちょっと溜めを作ってみたら生唾を飲む子達が出たわ。ちょっと意地悪ね。
「暗殺される位よ」
「「「「「っ!!」」」」」
何人かが息を飲んだ。
そうならない為の行動を心掛ければ良いのよ。
「で、でも、本当にそんな事になるんでしょうか?」
「少なくとも追い出されはするわよ?現に...お金、貰っているもの」
貰った金貨を見せながら言って見た。
あの王女を見てもそんな事無いんじゃないか?と思えるのはある意味凄いわ。
「ああ、俺もお姉さんと同意見だ。此は所謂手切れ金みたいな物だと思う」
まさにその通り。
そして私達の会話に周りも耳を傾けているみたいだし、少し提案等もしてみましょうか。
ステータス出て来るまでまだまだ長そうだ。(何時出そう...)
あー、早く冒険に出したい!!