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悪役はデッドエンドを望んでいる  作者: さやか
第0部/とある悪役女優の幼馴染が主人公
41/210

ララ、ルドガーと仲良くなる

学園入学まで一ヶ月きっている。

私はララに家庭教師をつける事にした。

勿論、フローラ先生だ。

教えて貰うのは礼儀作法と貴族階級の常識だ。

ゲーム内では、フェルゼン家に保護された後ほぼノンタイムで学園に主人公は放り込まれていた。

現代日本人にとって貴族なんてあまりに縁遠くて理解できないもの。

それゆえ起こるトラブルも多く、そのトラブルを通じて恋愛イベントを起こしていくのだ。

カザンルートのテーマは貴族と平民の間にある身分差だからか、特にその手のトラブルとイベントが顕著に現れる。

それを潰すにはどうするか。

なに、彼女に予め貴族階級と礼儀作法について学んで貰えればいいのだ。

ゲームでも無知故のトラブルが大半を占めていたし、時間があるならみっちり詰め込めばいい。

あと、学問に関しては私が隙を見て教える。

彼女との勉強は前世で嫌という程していたし、モチベーションの上げ方も熟知している。

私以上の適任者はいないと自負する。

そして、学園入学後も私を頼るよう念を押す。

間違っても勉強を教えて貰いにミカエルに会いに行かないように仕向けるのだ。

…そう。

行くんだよ、ゲームだとさ、勉強教えて貰いに王太子であるミカエルに突撃食らわすんだよ。

プレイヤー時代にはその恐れ多さなんてちっともわからなかったけど、現実になると震えが止まらないレベルの事を主人公がやってるって認識できちゃうんだよね…。

でも、これはミカエルというキャラクターの立ち位置にも問題があるんだ。

最初、主人公を保護したのは王家。

王城でしばらく過ごすうちにミカエルと主人公の心の距離は縮まる。

ざっくばらんな…というか礼儀しらずな主人公にミカエルが興味を持つんだ。

そして、ミカエルは淡い恋心を主人公に抱く。

しかし、保護者が王家からフェルゼン家に変更され離れ離れになってしまう。

そこで、ミカエルは別れ際主人公に困ったらいつでもおいで、助けてあげると言ったわけだ。

そして、本当に行くんだよ、主人公。

勉強がわからないから教えて欲しいはまだいい。

哀れミカエル、そのうち好きになった人の話までされてしまう。

ミカエルも人がいいから、時に励まし、時に叱りつけ、時に好きになった人の情報の横流しをするピエロぶりを発揮する。

そして無事二人が結ばれれば祝福する…やだ、可哀想、報われない!

まだ起こってない未来に一瞬涙する私。

そう、つまりミカエルはこのゲームにおけるサポートキャラクターという立ち位置なのだ。

すごい、王太子を攻略対象ではなくサポートキャラクターにしてしまったこのゲームは凄いと思う。

普通は攻略対象だよ、見た目も中身も完璧なのに…なんで、攻略対象じゃないんだろう。

いや、そんな事はいい。

大事なのはララに貴族と特に王族はすっごい偉いんだぞ、近づくなって事と勉強その他で困ればミカエルじゃなくて私を頼れと脳みその皺に刻みこめばよいのだ。

ミカエルのサポートは有能だから近づけたくないんだよね。

そもそも前提条件である王城での滞在期間がゲームより短くララとミカエルの心の距離は決して近くない事もあり、うまくすればミカエルはサポートキャラクターから離職出来るだろう。

よし、しっかり学べよ、ララ。



「サナ様、限界です。」

フローラ先生が鎮痛な面持ちで私に言ってきた。

いや、酷い。

礼儀作法がなに一つ出来ないって逆に凄い。

日本で普通に暮らしていればある程度は身につくものでしょうよ?

なのに、ララの性来の気質かとにかく見た目に反してガサツであり、フローラ先生は限界を一週間で迎えたようだった。

「ドアを足で締めるのを何度言ってもやめません。

夕飯のつまみ食いも、やめません。

廊下を走るのもやめません。

あとは…」

「あ、もういいです。」

大丈夫、私が一番わかってる。

だって前世で付き合ってきたんだから。

そして今世でも勉強を教えてる。

ええ、前世の記憶通り彼女の成績ヤバすぎです。

劣等生とかいうレベルじゃない。

勉強嫌いも相変わらずのようで机に座らせるだけで一苦労。

大変だ。

私とフローラ先生は同時にため息をついた。

それでもやらねばならぬ。

少しでも恋愛イベント回避に繋がるならば、学んで貰わねば困る。

ミカエルとの接触も控えて貰う為にも学んで貰わねば困るのだ。

結果が出る気がしないがやらないという選択肢を積極的に取る勇気もなく私は今日も教科書片手に彼女の部屋に行った。

いなかった。

逃げやがった?

どこだ、あのバカ。

舌打ちしながら、ララを探していると図書室から話し声が聞こえた。

間違いなくララの声である。

独り言ではない。

誰か話し相手がいるのだ。

誰だ?

私はそっと図書室の扉を開けて確認する。


果たしてそこにはララとルドガーが並んで勉強していた。


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