主人公と悪役令嬢対面する
私は王城へと向かった。
王妃処刑後初である。
ゲーム通りあの日以降ミカエルとは疎遠になった。
ああ、早く主人公に会いたい!
そして、ゲーム通りなら既にミカエルは主人公に惚れてるはずなのだ。
ああ、ミカエルの変化が楽しみだぁ!
そう考えていたからだろうか、ミカエルが私を出迎えてくれた。
私は思わず魅入ってしまった。
金色の髪、翡翠の瞳。
最後に会った時はまだあどけなさがあったが、それは微塵もなく、男らしくなっていた。
背は私より頭2つ分は高く、仕立ての良い服を完璧に着こなしている。
完璧なれど冷たい雰囲気は一切なく優しい顔つきの美形だった。
グラフィック通りのイケメンである。
一方、彼も目を見張っていた。
なんだろう、私が来るとは思わなかったのか?
私はこっそり深呼吸して、ミカエルに話しかける。
「ミカエル様、ご機嫌麗しゅう、本日は先触れなく来てしまい申し訳ありません」
「あ、ああ、最息で何より。」
「はい、それよりも異世界より落とし子が現れたと聞きましたが。」
「ああ、其方が先日配布したマニュアルにて確認した所間違いなさそうだ。」
「もうお会いしました?」
「…ああ」
「どんな方ですか?」
私はワクワクしながら…でも気づかれないように聞く。
「どんな?まだよくわからないな。
自分の置かれた状況が理解できていないようだ。」
「確かに…」
期待に反した回答にがっかりするも顔には出さない。
「是非、会ってみたいのですが。」
「勿論だ。」
ミカエルは私を案内する。
果たしてとある一室に到着した。
「ここに落とし子はいる。」
「はい。」
トントン
私はノックをする。
「は.はい…」
弱々しい声がした。
うーん、主人公はか弱い系?
ちょっと小突いただけで心折れちゃったりしないよね?
貴方は私のライバルなんだから楽しませてくれるよね?
私はドアを開ける。
広い一室の中にある長椅子にちょこんと座っている女の子がいた。
茶色い髪に茶色い瞳。
日本人にしては彫りが深い顔立ち。
およそ、ゲームのグラフィックとはかけ離れた姿をした彼女こそ、私の前世の幼馴染だった。
私は呼吸する事を忘れた。
何故いる?
何故ゲームキャラクターではないのか?
私が待っていたのは木下桜であってあんたじゃない。
「サナ?」
後ろからミカエルに声をかけられ我にかえる。
「あ、は、初めまして、私はサナ・フェルゼンと申します。
以後お見知り置きを」
内心の動揺を悟られないように礼をする。
「は、初めまして、作網蘭々です。」
「ララさんですね。私達年が近そうね。
私は15歳なんだけど、貴方はお幾つ?」
「あ、私も15歳です。」
って事は前世の私が死んでから1年経ったのね。
私の死後1年しか経ってないのにその生まれ変わりである私の年齢が15歳だというのは計算が合わないが、まあ、転生なんてそんなもんだろう。
前世の時間軸と今世の時間軸が同じとは限らないという事か。
ああ、それより、私の死後彼らはどうなったのだろうか?
知りたいなぁ。
「そうなんですね。
では、学園に通える年齢ですし、こちらの世界を学ぶ為にも通学をお勧めしますわ。」
「学園?」
「ええ、貴族、王族は義務で通い、平民は成績優秀な者だけが特別に通える学校ですの。」
「私貴族でも王族でも成績優秀でもないです!」
知ってる。
見た目に反して勉強ができないのは知ってる。
「大丈夫ですわ。王家の保護下に落とし子は入ります。
実質王族と同等と扱われ、学園には成績不問で通えますわ。」
「そ、そうなんですね。」
少しホッとしたふうに笑みを浮かべる。
そこに、侍女がやってきた。
「失礼します。陛下より謁見の申し出がありました。
至急謁見の間までいらして下さい。」
私達は顔を見合わせる。
何故陛下より呼ばれるのかがわからないからだ。
だけど私は知っている。
本来王家の保護下に入る彼女が何故か勅命でフェルゼン家の保護下に入る事になるのだ。
その勅命を賜る為に私達は謁見の間に行く。
ララ、顔色が悪いよ。
大丈夫、陛下は悪い人じゃない。
私はララを支えて謁見の間に向かった。
…おかしい、私は彼女を虐める悪役なのに、なんで親切にしてしまうのか?
それは予定調和。
私は陛下より異世界からの落とし子の保護を命じられお受けしたのだった。




