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悪役はデッドエンドを望んでいる  作者: さやか
第0部/ルドガー・フェルゼン攻略
15/210

ルドガー攻略完了。

領地の屋敷で私達は静かに過ごした。

お父様は仕事でいないし、勉強はしなくて済むしルドガーは側にいるし、天国だ。

朝は屋敷内にある図書室で本を読み、昼は湖で水遊びをして過ごす。

夜は星を二人で見て、ルドガーに星座を教えて貰う。

こちらの世界には電気がないから夜は真っ暗で星が日本の都会ではありえないほどはっきり見える。

すごく楽しく過ごした。

恋人同士なら手でも繋ぐのだが、我々は姉弟なので触れそうで触れない距離を保つ。

この距離をゲーム開始まで保つのだ。

仲良しこよし、ブラコン、シスコン万歳。


帰り道は平和だった。

自宅に戻れば勉強が始まる。

領地に行く前と違い、ルドガーは私が頼めば勉強を教えてくれるようになった。

先生より教え方がうまいのにはびっくりだ。

宗教に出てくる神様の名前をなんとか覚える事に成功した。


ルドガーは今まで私を屋根裏部屋にいれてくれなかったがいれてくれるようになった。

毛布が一枚と古びた机があるだけだった。

机の上に缶が置いてあり、こっそり中をみたら私が書いた手紙が詰まっていた。

私に見られた事に気付いたルドガーの顔が真っ赤に染まっていた。

そんな顔をされて私も照れてしまった。

私があげた教科書もシャツも大事にしまってあって思わず笑みが零れる。

でも使ってくれと言ったら勿体無いと言われてしまう。

来年も再来年もずっと誕生日プレゼントをあげると約束した。


しかし、この屋根裏部屋夏は暑いし冬は寒い。

というか、ここは本来人が過ごす場所じゃない。

私はお父様にお願いして私の部屋の隣の空き部屋に引っ越しさせた。

お父様が許したから使用人は表向き何も言わず粛々と彼を部屋に迎え入れたが、裏では相当悪く言っている。

使用人はルドガーを見ると睨みつけるか無視するか嫌がらせをしている。

ルドガーは何も言わず粛々と受け入れている。

一度辛くないのか、私から使用人に言って聞かせようかと言えば、ルドガーは首を振り断ってきた。

そうか、と、私はルドガーの意思を尊重した。

まあ、そういうとわかっていて聞いたし、言って聞かせるつもりもなかったのだが。


そうこうしているうちに夏が過ぎ去り冬になった。

この世界にもクリスマスがあるのはゲームを作った国が日本だからだろう。

日本と全く同じ祝い方をする。

私は彼に予定通り手編みの靴下をあげた。

予想外だったのは彼から手紙を貰った事だった。

私は嬉しかったので、涙を流した。



===

サナへ

メリークリスマス

ずっと一緒。


===


「ルドガー、私は前に貴方にとても辛く当たっていたわ。

そんな私でもずっと一緒にいてもいいの?」

「そんなの関係ないよ。

僕達はずうっと一緒だよ。」

ルドガーは優しく言う。

「ルドガー、ずっと言いたかった。

…本当にごめんね。」

ルドガーは驚いた顔をする。

「もしかしてずっと気にしてた?

そんなの気にする必要はないんだよ。

それが普通なんだから。」

「あれは普通なんかじゃ!?」

「今は幸せ。

そう言ってくれる姉さんがいるだけで僕は満足。

ずっと一緒にいてくれるよね?」

優しくルドガーは笑う。

私も笑う。

ルドガーは私が大好きで笑う。

私はルドガーが攻略出来て笑う。

うん、私達は幸せだ。

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