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悪役はデッドエンドを望んでいる  作者: さやか
第1部/ゲーム中盤/ララ・サクアミ、ゼウス・オーガスト完全攻略
100/210

ルドガーの秘密とゼウス攻略リベンジ?

ルドガールート。

それは全シナリオ中最難関ルート。

このルートでは王家が関わってくる。

このルートを通して、他のルートでは判明しない謎もゲームの進め方次第で判明してくる。

そして、このルートだけエンディングが3つある。

それがトゥルーエンドだ。

このエンドを見るとルドガーがゲーム開始まで生きてフェルゼン家に預けられた理由がわかる。

考えてみれば、ルドガーが現在まで生きている事がそもそもおかしい。

この世界の凶兆たる白髪白眼を持つ赤子が生まれたら、母親は普通その子への愛情を失い処分してしまう。

…つまり、生まれて凶兆と判明した瞬間殺してしまうのだ。

生かしておく理由がないから。

ところが、ルドガーは運が良かった。

生かしておく理由があったから。

だから、今も彼は不遇ながらも生きている。


その理由を思い出しながら、ゲームでの悪役令嬢サナを思う。

いくら我儘小娘サナといえどその理由を知っていたら無闇に虐げたりはしなかっただろうに。

これは父親であるフェルゼン公爵の失態だろう。

まあ、ゲームでの事を言っても仕方ないのだが。


「そう、ミカエルは第二子。

双子の兄にあたるルドガーの血が必要になってくるわね。」

そう、ルドガーは王直系子孫。

王族故に殺されなかった。

万一王家の血が絶える事になった時に役立たせる為の種馬として生かされていたのだ。

「…ルドガー、血くれるかな?」

「…私がルドガーなら、血をくださいと言われた瞬間二度と貴方に近づかない。」

きっぱり言っておく。

「だよね。」

「ルドガーが貴方を日本に帰したいと思い、かつ、秘術が実在すると証明して、ルドガーの出生も明らかにすれば可能かな?」

「重い!重すぎる!!私の頭じゃ無理!!」

「だね。もう、日本に帰るのは諦めたら?」

「ダメだよ!」

ララは即座に否定する。

「ルイが一人なんだよ!

それに、きっと私が行方不明になったっていう事を聞けばすごく心配すると思う!」

ララは日本に置いてきた幼馴染が大事なようだ。

「でも、日本に帰るならゼウスとお別れだよ?」

「…いいよ、所詮、ゲームのキャラクターだ。

それより、きちんと生きてるルイが大事。」

「…」

私も生きてる。

ゲームのキャラクターとは違う。

従ってゼウスもキャラクターではない。

現実を生きている人間だ。

…わかってる筈なのに、無意識かそれとも意識的にかはわからないが、そう否定することで自分の気持ちにララは蓋をしている。

それがたまらなく寂しい。

やはり、一度死に彼女が生きた世界を前世と捉える私とララはかつてほどは分かり合えないのかもしれない。

「やるしか…ないのかな。」

ララは悲壮感漂わせていた。

「まあ、やるしかないんじゃない。

まずは秘術なんてものが本当にあるのか確認する事から始めて…」

人ごとのように言って…ふと気づく。

ララが日本に帰ったらゼウスをゲットできるのではないか、という事実を。

そう思い当たった瞬間血湧き肉躍るような感覚を覚える。

日本に帰ってしまったララを想い涙するゼウスを優しく慰める事で芽生える愛ってやつだ!

リベンジマッチ!

図らずもゼウスゲットの可能性が見えた!!

俄然やる気になる!

「りりちゃん?」

ララが不審そうに聞いてくる。

「あ、ああ、なんでもない」

「そう?どうやったら秘術が実在するのか確認できるのかな?」

私は思案する。しかし名案は浮かばない。

ああ、もう少しララが賢ければカザンルートで帰れただろうに…

って…!

「ララ。」

私はララの名を呼ぶ。

「何?」

「秘術よりカザンルートで帰った方が確実でなくて?」

「え?今からカザンルート攻略するの?

それに私はカザンに嫌われてるし…」

「私も、それはわかってる。」

私はララの言葉を認める。

「だったら…」

「カザンバッドエンドをゼウスで起こすのよ!」

「へ?」

ララは意味がわからないと声を出す。

「そもそも、カザンバッドエンドを迎えるにあたりカザンが必要なのは、その過程にあるのであってエンディングのカザンのポジションは代打でも成り立つ。」

「…確かに…」

ララは肯定する。

カザンは日本に帰る為に必要なことをその豊富な知識を惜しげもなく使い調べてくれる。

だが、実際帰る段階になるとカザンの役目は他のキャラクターでも成り立つように思えた。

ララも肯定してくれた。

「私達にはゲーム知識があるのよ。

カザンの調査部分は削減可能。

そして、バッドエンドでカザンの立ち位置をゼウスに変更すれば…」

「いける?」

「秘術とやらの実在性を確認したりルドガーに協力を要請したりするよりは確実だと思う。」

「確かに。」

ララは頷く。

「よし、ならばララはゼウス対応よろしく。」

「わかった!…私、絶対帰る!」

「うん。」

できるだけ早く帰って。

そしてあなたの置き土産を貰う。

私はそう決めた。


「ところで、ララ。」

「なに?」

「貴方、なんであんなところにいたの?」

そう。やっと今日の事を聞ける。

「あの黒フード集団に心当たりがあるなら教えて欲しい。」

私は真剣に言ったのだった。




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