妖精の話③
年齢を気にしてるなんてミィもちょっと人間っぽいっとこがあるのね……それにしてもこんなのほほんとしてるミィがまさか千年も生きてるなんて思ってもみなかったわ。
それともずっとあの洞窟に引き籠っていたのかしらね。
「妖精王が居ないと妖精は生まれないのよね? 新しい妖精王とか決めないの?」
【もちろん、妖精王様も代替わりはするさ。 今居る妖精の中で一番能力が高い者が次の妖精王様になる】
「ふーん、そうなのね」
まあ、ずっと同じ人が妖精王で居られるわけがないわよね、寿命がないにしても何が起こるかはわからないしね、それに今は魔族も妖精を狙っているみたいだから妖精王にも危険が迫ってるでしょうし。
サイスが妖精王の話をしてからミィがそわそわしてるけど、もしかしたら妖精王になりたいのかしら?
でも、一番能力が高い者ならミィは無理でしょ。
「……リルディア、話は終わったのか?」
「ええ、気になることは聞けたわ」
今まで静かだったシアンが声をかけて来たけども、私にとって気になる話と帝にとって必要な話が違う可能性はあるけどね、私としては満足したからいいわ。
シアンの方を振り向くと何か肩に鳥が止まっているけどもあれってディオ先生の獣魔じゃなかった?
【主様は童使いが激しゅうていかんわ。 もう少し童を労ってもらわんと】
……姿形は似てるけども、声が違うから同じ種族の違う獣魔かもしれないわね……前に見たディオ先生の獣魔は何だか偉そうだったし。
私が見ていたことに気付いた鳥が私を見ている。
【なんや、妖精の巫女やないか。 主様も巫女が居るんならちゃんと言ってくれんと困るわー】
「リルディア、どうかしたか?」
「何でもない」
巫女って言葉は気になるけどもこれ以上は考えることはしたくないわ……ただでさえ、勇者だとか能力者だとか、挙句の果てには魔王だって出て来てるんだから巫女なんて知らないわよ。
変な顔をしてたのかシアンが不思議そうにしていたけども、あの鳥は無視無視。
【そうだね、リルディアは巫女かもね】
【わーい! リルディアがみこー!!】
私が無視したいんだから当の妖精であるあんたらが巫女って言葉を拾うの辞めてくれない?
巫女がなんなのか私は知らないからさ、シアンなら知ってる可能性はあるけどもこれ以上余計なことには関わり合いになりたくないの。
【うん、決めたよ。 リルディアには巫女になってもらおう、君なら変わることはなさそうだ】
「は?」
【僕、サイスシア・アル・トレンシー・ファラン。 リルディアに祝福を与えます】
サイスの言葉とほぼ同時に右胸にじわっと熱さを感じた、サイスは満足げなムカつく表情を浮かべてえうし、ミィは嬉しそうにしてる。
恐る恐る服の中を覗けば手の甲にあるミィの花のマークとは違う、涙マークがあった。
「はあ!? 何してくれてるのよ、ありえないわ!」
【知らなかったかい? 妖精は自分勝手なんだ】
「うるさい!」
巫女になりたいなんて思ってもないのに”なってもらう”って何なのよ、ミィといいサイスといい本当に妖精って自己中なのね!
祝福がなくならないとこのマークも消えないし、今後はお風呂にも気をつけなきゃいけないじゃない……子供とわいわいお風呂に入るつもりはないけど……。
フィアも妖精を崇拝してるからこれを見ても羨ましいとしか思わないでしょうし。
【これでリルディアは僕らの巫女だ。 人間からしたら悪い話ではないはずさ】
「私的には悪い話なんだけど」
「どうかしたか?」
「何でもないってば!」
私が声を荒げてるので気になったのか声をかけて来たシアンだけども、妖精の祝福を勝手に与えられたのがムカつくだなんて言ってもこっちの世界の人は共感してくれないでしょ。
むしろ、馬鹿な奴ならこっちに来た日本人でも嬉しがる奴はいるんでしょうけど……私にとっては迷惑以外何物でもないわ。
……だって、今の私にはそんな肩書を持っていても 今の家族が居たら意味がないもの、私の前の戸籍上の両親と一緒の屑、あんな奴らの為なんかに今の何も出来ない私が権力なんて持つのは駄目なのよ。
五代貴族だなんて権力を持ってるからあんなに偉そうなのに、一応娘である私が勇者や巫女なんてものになってしまったらもっと権力を持ってしまう。
私を監禁してでも私が家を出るのを阻止しようとするでしょう、私の意思なんて関係なく。
でも、私はそんなことは絶対に望まない……あんな屑どもに私のは何も与えない。
「セシルト、話は終わったか? もうすぐ他の帝も到着するそうだ」
「っ問題ないわ、もう話すことはないもの」
「そうか、ならこの部屋では狭いだろうから移動するぞ。 他の学生は帰ったから出歩いても問題はない」
じろっと恨めしそうにサイスを睨んでみるけどもサイスはどこ吹く風って感じでにっこりと私を見て笑って居ることにイラッとするわ。
シアンは何か言いたそうに私を見て居るけども、サイスの祝福については絶対秘密にする。
私は玉の輿に乗りたいのであって、勇者にも巫女にもなるつもりはないんだからね。




