妖精の話
風帝とディオ先生が部屋から出て行ったのでここには私とミィ、水色の妖精とシアンだけが残った。
シアンは風帝みたいに騒がしくないし、話も大人しく聞いてるから別に居ても問題ないでしょう、私のことも知ってるしね。
「それで、魔族が人間ってのは本当なの?」
【もちろんだとも。 魔族が生まれた原因は人間同士の争いから始める、勇者って言葉は聞いたことがあるだろう? 最初に闇に魅入られたのは初代勇者だ。 最愛の人や故郷を奪われた勇者はこの世界の全てに絶望した、全ての人間を恨み、神を憎み、勇者はこの世界を壊すことにしたんだ】
勇者ってあのディオ先生から聞いた話のよね?
大昔に滅んだ大国、アステリオ……王族貴族を全滅させてどこかに消えて行った勇者が最初の魔族だったなんてそんなに憎しみを抱いていたのから。
私には勇者の気持ちがわからないわ、だって自分が一番大切なんだもの。
「魔族が増えてるみたいだけどそれは……?」
【全てが初代勇者と同じ世界を憎んだ者さ、闇に魅入られてしまい人間を全て殺そうとしている。 まあ、中にはただただ人を殺すのを楽しんでる者も居るがな】
「勇者は魔族になりやすいの?」
私は勇者ってわけじゃないけど気になるわね、勇者と呼ばれる中二病の奴らは全員が全員魔法とは違う能力を持ってるって言ってたし。
流石に私のバリアは壊せないでしょうけど死なない為には用心はしなきゃね。
【そうだな、勇者は甘い者が多い。 そんな人間は大切な者を殺されたら脆いものだ。 全ての勇者が魔族になったわけではないが】
【リトはちがうもん】
リトって水色の妖精から聞いた名前だけどもミィも知ってるみたいだったものね、そのリトって人も勇者の一人だったんだろうけど。
ぷくっと頬を膨らませてるミィはあまり勇者が好きじゃないのかこの話をしてからちょっと不機嫌層だもんね。
「リトって人も勇者なの?」
【ああ、リトが急に現れたのは僕たち妖精の国”ラストール”。 最初は人間が紛れ込んでたから国中が大騒ぎだったよ】
「ってか、妖精にも国があるのね」
王が居るくらいだから国があってもおかしくはないでしょうけども、そんなに珍しい国があったのなら妖精を見たことある人多いんじゃないの?
妖精は信仰の対象って言ってたから近付こうとする人は居ないのかもしれないわね。
【僕ら妖精は人間から隠れてるからね。 ミィフォレントの祝福を受けてる人間なら行けるかもしれないよ?】
「興味ないわ」
さっきからこの水色の妖精は何なのよ、鬱陶しいわね……祝福だっていらないし、妖精の国にも全く興味が湧かないわ。
お金になりそうな物とかは欲しいけども出所が妖精からってなったら面倒なことになりそうだし、やっぱり関わらないことが一番よね。
私がまたばっさりと断ればミィはにこにこと笑って居るし、水色の妖精は少し驚いているみたいだけども満足げにしてる。
試されてるみたいでむかつくわ。
【まあ、これで魔族が人間の成れの果てってことがわかっただろう】
「ねえ、話の途中だけどさアンタって名前なんて言うの? いつまでも水色水色って呼んでるのっも面倒なのよね」
【……人間は……いや、ミィフォレントの祝福を受けたリルディアだったかな。 ずと水色と色で呼ばれるのも嫌だから教えてあげよう、僕はサイスと呼んでくれ】
「サイスね、どうせミィみたいに本名は長そうだからこれでいいわ」
勝手に人の名前を呼び捨てにしてるのはむかつくけども、ずっと人間人間って呼ばれるのもむかつくからまあいいわ。
ミィの名前すら長すぎて覚えてないんだもの、ここから帰ったらもう会わなくなる妖精の名前なんてそんなに知らなくてもいいわ……ミィは勝手についてきそうだけど。
【そうだね、僕ら妖精が真名を全て教える意味は祝福を与えることだからね】
「ってかさ、その祝福って何なの? 特別なものってのは聞いたんだけど何の意味があるのかよくわからないのよね」
【ああ、人間には伝えてないから仕方ないだろうね。 僕ら妖精が人間に姿を見せなくなったのもその祝福が原因だからさ】
祝福が原因ってわかってるなら何でミィは私に祝福を与えてるのよ、私は別に必要でも何でもなかったからいらなかったのに……。
当の本人はのほほんとしてるけども、これって消す方法ないかしらね。
「じゃあ、何で祝福をまたあげてるの?」
【人間が好きだからさ】
「は? 人間が嫌いだから姿見せてないんじゃないの?」
【もちろん、人間は嫌いだよ。 だけど、僕たちは全ての人間が嫌いなわけではない。 だから、僕たちは気に入った人間に祝福をあげるんだ。 でも、人間は祝福をあげるとすぐに傲慢になってしまう、僕らが気に入った人間ではなくなる。 自分が選ばれた特別な人間だと思い込んでしまうみたいだね】
全く姿を見せない妖精に祝福を与えられたら馬鹿な奴は特別だと思ってしまうのかもしれないわね、私は祝福なんてなくても元々特別なんだから関係ないわ。
祝福がなかったっとしても私はそれ以上の可愛さがあるんだもの。
それだけで私は特別だわ。




