【ディオ・シトレース】
ディオ視点
「可愛い子でしたね。 あの子が水晶を黒くしたなんて信じられない」
「……リュー」
こいつはどうしてこんなに甘ちゃんなんだ……。
水晶が黒に変わった時は確かに俺も信じられなかった。
だが、それを見たのは事実。
魔の者の気配は感じられなかったが魔族上位にもなると気配を消せる奴も居る。
可能性を考えれば有り得る話だ。
「怒らないで下さいよー。 それに証拠がないんだから疑うだけ無駄ですよ。 五大貴族の人間を疑うなら証拠を揃えてからにしないと」
確かにな。
いくらリルディア・セシルトに魔力がないからと言っても仮にも五大貴族の娘だ。
証拠も何もないただの疑いだけで問い詰めるのは厄介な相手。
問い詰めて何もなかったじゃ済まされない。
リューの言う通りやはり魔族だと言う証拠を全て揃えてから詰めないとな。
こいつはしっかりしてないようでしっかりしているし……。
「それにしても、リルディアちゃん可愛かったですよねー。 俺にはあんな可愛い子が魔族だなんて思えないけど、今もあんなに可愛いんだから将来はもっと可愛くなるだろうな」
こいつは……。
俺は小さなため息をつくとリューの頭を思いっきり殴った。
もう29になったんだから落ち着けばいいものの、このロリコンっ。
リルディア・セシルト。
必ず俺が正体を暴いてやる。