花の妖精の力③
「……どうするの? まだ人を探してるみたいだからギルドに話に行く? それとも食べられたか捕らわれたか分からない人を探す?」
でも、話すとしても私の能力は言えないから信じて貰えるかはわからないからね。
確実に捕らわれてる場所を見つけるか、遺品を見つけるかの方が信じて貰えるだろうし……ここはリーダーであるシアンの判断に任せるわ。
シアンが居ればどっちでも行動は出来るしね。
「シアン」
「ああ、これだけの情報ではギルドに帰っても信じて貰えないだろうな。 もう少し探索する」
魔物に見つかる可能性は高いけど、せめてそのベラ様って魔物の正体くらいは掴みたいわね。
名前だけわかってるなんて絶対に怪しまれること間違いないし、出来たら住処とどんな魔物なのかは伝えないと。
【おい、あっちまた居た】
【人間、捕まえる】
【ベラ様、喜ぶ】
……声はだんだん遠ざかってるみたいだからあの魔物はどっかに行ったみたいね。
私たち以外にもこの森に来てる人は居るでしょうからその人らをどんどん捕らえに向かってるのかも、そのベラ様って魔物の為に。
「魔物は移動したみたいだから今なら移動出来るわ」
「よし、フィアとアルトは気をつけながら移動してくれ」
「了解」
先ほどよりも警戒しながらフィアとアルトは前に進んで行く、昼間のはずなのに暗い森の中を進んで行くも先ほど確認した魔物以外はほとんど魔物は出て来なかった。
不気味なことに変わりない森だから私も警戒しなきゃいけないじゃない。
またしばらく進んで居るけど、変わりなく薄気味悪い森が続いている。
そんなことを考えながら歩いているとアルトの歩みが止まったので私たちの足も止まる。
「ビックラットの足跡が大量にあるな。 こお先に洞窟もあるみたいだからそこが住処なのかもしれない」
「洞窟ってことは戦闘があるわね。 シアンが居たら問題ないかもしれないけどどうするの?」
帝であるシアンが居たら大抵の敵ならどうにかなるでしょ。
でも、私たち四人を庇いながら戦うのは結構きついんじゃないかしらね……。
「待って、足音がするから隠れよう」
ぴくっとフィアの耳が動いたと思えばそんなことを言ってきたので私たちは草むらの陰に隠れることにした。
ビックラットならそこまで鼻が利かないから身を隠せば問題ないだろうけど、他の魔物ならバレるわね。
数分するとビックラットと一緒にゴブリンがやって来たけど、そのゴブリンは子供を二人背負って居た。
顔が見えないし、制服も来てないからわからないし……でも、もしかして学園の生徒かもしれないわ。
ビックラットとゴブリンはそのまま私たちが見ていた洞窟の中に入って行く。
「……確定だな」
「生きたまま運んでるみたいだね」
気絶してるのか動く様子がなかったけど、まだ死んではいないようね。
帰ってギルドに報告すれば怪我もしないで済むけどそれを決めるのはシアンだからね。
「どうするの?」
「あのままでは食べられる可能性があるから俺が行こう。 ライアはギルドに報告しに帰れ」
「一人では危ないんじゃない?」
足手まといになる可能性はあるけど、もし生きた人が居るならシアン一人では戦いながら庇うのは無理でしょ。
ライアはこんな危ないことはさせられないし、その身分もあればギルドにも信用されるだろうから分かれるのが一番だろうし。
……仕方ないわね……。
「私がシアンについて行くわ」
「え?」
「リルディア」
他の人なんて私にはどうでもいいけども洞窟の中ならまだフィアやアルトより私の方が戦えるわ。
ライア、フィア、アルトにギルドまで走って貰って応援が来るまで時間稼ぎをするのが一番でしょう。
まさか私がこんな提案をするなんて思ってなかったのかフィアもアルトも私を驚いたように見てる。
「この洞窟がどんな風になってるかわからないから王子であるライアは入れられないわ。 森の奥深くまで来てしまったから帰りも急ぎながら気をつけなきゃいけない。 私は魔物の声は聞こえるけど索敵ならアルトとフィアのが上よ」
「だ、だったら私かアルトが残ればいいよ。 リルがそんな危ないことをしなくても……!」
「ライアを守らないといけないのよ? 私は基本的に一人で戦うのが得意だし、守ることは苦手。 それに私には攻撃は効かないわ」
こんな洞窟なんて好き好んで入りたくはないけども私には魔物の攻撃は効きはしないから効率を考えればその方がいいでしょ。
全く、本当なら私もこのまま帰りたいんだからね!
こんなこと可愛い私がすることじゃないんだから。
「リルディアは守るから心配ない。 それより応援を頼んだ」
「……わかった。 アルト、フィアちゃん、行こう」
シアンとライアがその作戦を認めてしまえば何も言えないのかフィアは心配そうに私を見ている。
フィアは私が好きだから心配するのはわかるけど、私は怪我はしないから大丈夫よ。
「フィア、お願いね」
「うん……すぐ呼んで来るから!!」
私からフィアに声をかけるとフィアは決意を固めたように私を見て頷いた。
三人は私たちから離れるとそのまま来た道を戻って行く。




