妖精とシアンと私⑤
【わかった! リルディアがいじめられないようにミィはミィのことひみつにする!】
まあ、一応五代貴族の娘である私を虐めてくる女なんて居ないけどね。
今はあんまり男とも話してないけど、私の可愛さに虐める奴もいないし……ミィのことがバレた時は子供より大人の方が面倒だし。
あー、もう! 親があんなんじゃなければバラしてもライアの婚約者になるから問題なかったはずなのに、早くあいつらを追い落としたいわ。
【そこのかちかちのにんげんもリルディアをまもるの!】
洞窟に居た時より強気になってるミィはシアンに近付くとぺしぺしとシアンの腕を叩いてる。
「リルディア、もしかして妖精様が居るのか?」
「うん、シアンの腕を叩いてるけど、感触はあるの?」
「急にくすぐったい感覚がしたからな」
こんな小さなミィの手で叩かれたとこでシアンには痛くも痒くもないのね。
ミィは使命感に満ちた表情でシアンの反応を待ってるけど、シアンにはミィの言葉も姿も見えないから反応の仕様がないと思うんだけど。
ミィを見てると妖精ってこんな馬鹿ばっかなの?って思うよね。
「シアンも私を守りなさいって」
「何で妖精様が……?」
「さあ? 妖精の生態なんてさっぱりだし、何か私は気に入られてるみたいなのよね」
私だって何でこんなに好かれてるのかわからないし、好かれていても問題ないからそのままミィの好きなようにさせてるけども。
シアンはミィが見えてないので叩かれてる感覚から居る場所を予想立てているのかミィに体を向ける。
「リルディア、妖精様と話したい。 通訳をしてくれ」
「まあ、仕方ないわね」
通訳なんてちょっと面倒だけど、私しかミィの言葉がわからないなら通訳するしかないものね。
妖精と話すことなんて初めてだからシアンもミィと話してみたかったのかな?
それだったら案外シアンもこともっぽいとこあるわよね。
「妖精様、俺はシアンと申します」
【ミィははなのようせいなのよ。 なまえはリルディアしかだめなんだからねっ】
「ミィは花の妖精なのよ。 名前はリルディアしか駄目なんだからね」
先生にもタメ口なのに妖精であるミィにはちゃんと敬語使ってるから何だか新鮮よね。
姿は見えてないのにさっきの手の感覚でちゃんとでミィの場所を把握しているのか目線はしっかりミィの方を向いている。
「では、このまま妖精様と呼ばせて頂きます。 妖精様は何故リルディアに祝福を与えたのですか?」
【リルディアがふわふわだからなのよ。 だから、ミィはリルディアといっしょにいるの】
「リルディアがふわふわだからなのよ。 だから、ミィはリルディアと一緒に居るの。 ……だから、ふわふわって何なのよ」
この妖精の感覚だけはずっと聞いていてもわからないのよね。
ふわふわだったりカチカチだったり、妖精的には何か意味があることかもしれないけど私にはわからないからちゃんとわかるように言って欲しいわ。
「リルディアは盲魔です。 妖精様は魔力が多い者を愛すると伝えられて来ましたが宜しいのですか?」
「え? そうなの?」
「ああ、過去に平民から王妃になった女性も他の人々も、魔力の質も良く魔力も高い者ばかりだったから妖精様の祝福が受けられるのは魔力の高い者、そう知られている。 だから、貴族は魔力の高い者を優遇し、盲魔を嫌っているんだ」
なるほど、だから盲魔の子供が生まれたら捨てるのね。
妖精の祝福を受けられそうな子供だけ育てて受けられたらラッキーみたいな感じか。
でも、その話が本当なら盲魔である私は絶対に祝福なんて受けられないんじゃないの?
シアンも盲魔だったらしいけど、もう回復して魔法を使えるようになってるけども私はあの神によって一生魔法が使えない状態だしね。
【なあに、それ? 】
「なあに、それ?って。 ミィ、妖精が選ぶ基準は魔力じゃないの?」
【だって、にんげんのまりょくなんておなじだもん】
いや、流石に盲魔である私と帝であるシアンなら絶対に魔力が同じなんてことはないんじゃない?
それとも、妖精の魔力が高すぎるせいで五十歩百歩みたいな感覚になってるのかしら?
「シアン、ミィ的には魔力で選んでないみたい」
「妖精様は魔力を基準にしていなかったのか。 だが、これは今世間に言っても信じられないだろうな」
まあ、人間ってのは自分の都合よく物事を考える生き物だからね、長年それが真実だって考えがあったら今更嘘だって言われても信じられないかも。
私が盲魔だから余計に妖精の言葉を自分の良いように変えてるとしか思わないでしょう。
「選ぶ基準は妖精様次第ですか?」
【うん、ミィはふわふわだったからリルディアにしたの】
「多分ってかミィに基準を聞いてもふわふわとしか答えないわよ。 口調からしてまだ生まれて間もないんじゃない?」
これで何十年生きてますって言われても信じられないわよ。
幼稚園児よりも思考能力ないんじゃないかって思ってるくらいなのにね。
「でも、妖精様の基準が魔力でなくてよかった」
「何で? シアンも祝福が欲しかったの?」
「欲しくないわけではないが……過去には祝福を授かった後に祝福がなくなった例もあるからな。 妖精様の祝福はリルディアを守る盾になる」




