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ぶりっ子少女の夢は玉の輿  作者: 猫目 しの
異世界の日々
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旅行は海へ⑪

  



なかなか戻って来ない私を心配してくれたのかしら、どうしようか迷っていたから丁度よかったわ。

私だけでは魔族は倒せなかったし。




「リルディアは変な事に巻き込まれているな」


「私のせいじゃないわよ」


「でも、本当に無事でよかったよ。 怪我したリデリア嬢たちが宿に戻ってきたのにリルディアちゃんが戻って来なかったから心配して探しに来たんだ」




反対側に逃げて行ったのに上手く逃げれたなんて悪運強いのね。

それとも、最初の魔族が居なくなったから操られていたのがなくなって逃げれたのかしら。


まあ、あのビッチたちがどうなろうと私の知ったことじゃないわ、生きようが死のうが。




「くっ、くくく……」


「それで、アイツは何だ?」




炎の中から少し焦げてるけどほぼ無傷で出て来た魔族は小さく笑っていた。

攻撃されてるのに笑ってるなんて本当に魔族ってわけわかんないわ、魔族ってよりあの魔族だけかもしれないけど。




「さあ? もう一人居た魔族にはハイドって呼ばれてたみたいだけど、私も良くはわからないわよ。 他に知ってることと言えばさっきあった津波はコイツら魔族が引き起こしたってことと、狙いが私たち生徒を殺すことってぐらいしかないわ」




私の言葉に驚いたような様子の四人だけど、角や牙があることで見たらわからないのかしら?

獣人には角があるのもいるから間違いやすいの?




「奴らが魔族だと?」


「本人が名乗ってたからそうじゃないの? 私に言われても詳しく知ってるわけないでしょ」




コイツらが魔族であろうが魔族と名乗ってる頭のイカレタ人でも私の邪魔をするなら容赦はしないわ。

魔族のことも良く知らないけど、そんなに珍しいのかしらね。


シアンたちは私の言葉に表情を硬くして武器を魔族に向ける。




「そこの勇敢なお嬢さんに免じて下等な君らにも名乗ってやろう。 俺は魔族ハイド・ラン・アルバードだ」




名乗ったとほぼ同時にバサッと翼が生えた。



「今日死ぬお前が名乗る必要はない」


「いきなり危ないな。 下等生物にしてはそこそこか?」




シアンが剣で斬りかかるが、魔族は翼を広げて飛んで避ける。

接近戦しか出来ない私からしたら飛べる相手はやっぱり不利よね……魔法が使えたら別なんだろうけど。




「シアン、魔法は任せて”光よ、我が力となりて敵を打て、 光弓(ライトアロー)”」




さっきはシアンも魔法打ってたけど、森の中で火の魔法は確かに危ないわね。

火事になったら一大事だし、私の髪が少しでも燃えたら更に一大事よ。




「”風よ、我が力となりて敵を捕まえろ、 風触(ウィンドキャッチ)”」




ライアの光の矢を悠々と避けようとした魔族だけど、すぐにフィアも魔法も放つ。




「”闇よ、守れ”」




しかし、そんなフィアの魔法も魔族は自身の周りに黒いもやもやを纏わせ、そのもやもやに魔法が弾かれた。


……やっぱ私との掛け合いは魔族からしたら遊んでいたみたいね。

私が魔法使えないのは知らないだろうけど、いずれはバレてたでしょうし。




「流石は魔族だな」


「おいおい、これが本気か? やっぱ下等生物は下等生物だな」




接近戦では飛んで逃げられるし、魔法では魔族に分がある。

なかなかに戦いずらい相手ね、魔族って。




「チッ……」


「でも、悪いがお前らと遊んでやる時間がなくなっちまったな」


「逃げるの?」




私からしたら逃げてくれた方が早く帰れるからそれでいいんだけど、ライアたちからしたらここで倒せてた方がいいみたいね。

厳しい表情の四人には言わないけど。




「ここで皆殺しにしてやってもいいんだが……今日のとこはお嬢さんに免じて見逃してやるよ、次あった時は殺すけどな」




にやりと笑った魔族は空から一度下りて私の前に立つ。

アルトとフィアが真剣な表情で武器を構えてるけど、魔族は私たちを見下しているからか何も気にしてない。




「……何よ」



成人男性くらいの大きさがあるから見上げるのが辛いのよ、私の前なんだから跪くぐらいしなさいよ。

じろじろと私のことを見てるけど、何かあるならさっさと言いなさいよね。




「いや、君ならまた会っても殺さないで居てやるよ」




ずいっと魔族が私に顔を近づけたかと思えば頬にキスされた。

は? 私が可愛いからって勝手に触るんじゃないわよっ。


私が払おうとする前に魔族は飛び上がる、その足元にはシアンが持っていた剣が刺さっていた。




「下等生物の王に伝えておけ。 闇に怯えて眠れ、とな」




魔族はそう言うとその場から姿が消えた。



 

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