旅行は海へ⑦
砂浜に戻った私たちはディオ先生が居るのに気づきディオ先生の方に向かう。
「シトレース先生」
「ブラックか……とりあえずお前は無事でよかった」
ライアがディオ先生に声をかけるとディオ先生は少し安心したように息を吐いた。
他の貴族の子供でも大変なことに変わりはないけど、王子であるライアの身に何かがあったら更に大変なことになるからでしょうね。
今はライアに第一継承権があるからねえ、一応弟も居るみたいだけどまだ四歳だからライアには死んで欲しくないでしょ。
「これは一体何事ですか?」
「こっちにも分からん。 だが、魔法が使われたのは確実だ」
「魔法ですか……」
わざわざこんな馬鹿なことをする為に魔法使ったわけ?
ただの悪戯にこんな手の込んだことをするなんて暇人も居るものね。
「数人でやったか……それとも……いや、お前たちは宿に戻ってろ。 安全が確認されるまで宿から出るなよ」
「わかりました」
難しそうな表情のディオ先生だったけどまずは安全確認の方が大切だと思ったんでしょうね、ライアに指示を出す。
危ないことに関わり合いになりたくないし、さっさと戻りましょう。
治療されてる他の生徒を尻目に私たちは宿へと戻った。
「こんなことになるなんて最悪ね」
宿に戻って来れば他の生徒もたくさん居たので私たちは着替えてからライアたちの部屋で待つことにした。
誰が魔法を使ったかなんて知らないけど、迷惑な人も居たものね。
「そうだね……」
「もう、ライアは何か気になることでもあるの?」
ディオ先生と別れてから難しそうな表情で何か考えてたけど、私たちが出来ることなんて何もないんだから考えたって仕方なくない?
無駄なことをするのは面倒でしょう。
「今回の強化合宿は一年だけだろう? 数人集まった所であんな大きな津波を起こせるのかなって思ってね」
「……無理だろうな」
ライアの言葉に首を振るシアンだけどそこまで津波を起こすのは難しいの?
私は魔法なんて使えないから分からないけど風か水かを使えばいけそうじゃない。
「えー、無理なの?」
「上級生ならまだいけるかもしれねぇが一年ではまだ習ったばかりだからな」
アルトの言葉にフィアもコクコクと頷いてるから魔力を持ってる人の考えは同じなんだね。
あー、何かさっきディオ先生が言いかけたのはそれかもしれない、生徒に心配させないように黙ったのかも。
面倒なとこはあるけど、ディオ先生も先生だねぇ。
「これで終わりだといいけど……」
また似たようなことがあるとか止めて欲しいんだけど、強化合宿ってだけで正直面倒なんだからさ。
ライアの言葉に嫌な予感がちょっとするからシアンから離れないようにしないとね、まだシアンが一番強いし。
「めんど……しばらくはシアン一緒に居てよ。 私は戦いたくないからね」
一番強いであろうシアンと一緒だったら守ってもらえるだろうしね。
最悪ルシリフルが居るから出してもらえれば私は傷つかないでしょうしね、馬鹿っぽい感じはするけど一応ランクAだし。
学校に居る間は戦うつもりなんて私にはないんだからね。
「そうだね、リルディアちゃんに何かあったら大変だからね。 任せたよ、シアン」
さっきまで険しそうな表情をしていたライアだったけど、私の意見には賛成してる。
私はか弱くて可愛い女の子だから当たり前なんだけど。
「仕方ないな……」
シアンは渋々頷いてるけど、本来ならシアンから言うべきことなんだからね。
か弱い私守りたいから一緒に居よう、とか!
……まあ、シアンにはそんなことは言えないかしら。
のんびり話していると突然ドアがノックされた。
「誰だ?」
部屋はライアたち三人の部屋なのでアルトがドアを開けるとそこに居たのはサラ、アリス、レイアの三人だった。
「邪魔よ、獣人風情がが五大貴族である私の前に出て来ないで」
相変わらずのレイアだけど多分ライアかシアンに用事があるんでしょうね。
このビッチたちがわざわざ訪ねてくるなんてそれ以外ないわ。
レイアは兄弟が居なくて下は妹だけだから家の為に婿養子を取らなきゃいけないからシアンを狙ってるんでしょ。
「リルディア、ちょっと来て下さい」
「ほえ? リル?」
アリスに呼ばれたのはライアでもシアンでもなくて私だった。
昔、森に置き去りしたように何か悪いことでも考えているのかしらね。
でも、流石に王子であるライアの前での呼び出しだから置き去りとかはないでしょうけど。
「リル……」
呼び出した相手が相手なので心配なのかフィアが私を見上げてる。
盲魔だけど一応まだ同じ五大貴族である私には危害を加えたりはいくら馬鹿でもしないでしょう。
セルディアやクリュスに言いつけたら悪いのはビッチたちになるだからね。
「ちょっと行ってくるねぇ~」
さーて、何があるのか楽しみね。
つまらないことだったらどうなるか覚悟してなさい。




