旅行は海へ⑤
「有り得ない……」
「王子である貴方が盲魔を庇うなんて……あのお方が聞いたら何と仰るか……」
あの方?
この女たちは誰かに言われてライアに近づいてきたわけ?
魔力でしか判断出来ない馬鹿は貴族には多いのよね……どうしてかしら?
「ああ、薄々は感づいていたけど……やっぱりあの人の差し金だって事だね……」
ライアは女たちの反応にその誰かが分かったのか怒っているような、どこか悲しんでるような表情をしていた。
……ライアのこんな表情初めて見たかも、シアンも何だか怒ってるような感じだし……。
全員が認識してるあの人って誰なわけ?
「ライア王子……」
一人の女はそんなライアの様子に戸惑いライアに手を伸ばした。
ライアはそんな女の手を払うと今まで見たことがないくらい冷たい目で女たちを見ている。
「どこかに行ってくれないか? 僕はもう君たちと話す事はない」
「……い、いいんですか? 私たちにそんな事言って……あのお方が!」
「聞こえなかった? 話す事はないって言ったんだ」
ライアに突き放された女たちは悔しそうな表情をしながらもバタバタと去って行った。
私にも聞こえたけど”王子でいられるのも今の内”ってどういう事なのかしら。
あの女たちが言ってるあの方にそこまでの力があるって事?
「ライア」
「……わかってるよ、シアン」
感情が高ぶっているのかシアンに声をかけられると目を閉じてライアは軽く深呼吸した。
目を開けたライアはいつものライアだ。
「ごめんね、リルディアちゃん……巻き込んでしまって……」
いつものライアに戻っているけど何で謝ってるのかわかんない。
「え? 別に気にしてないけど」
「……さっきの話も気にならないの?」
「だって、私に関係なくない? あの人ってのが誰かとかも全く気にならないし、どうでもいい事だわ」
私に危害があるならどうにか対処はするけど盲魔って言われるだけで特に危害は与えられてないし。
あの女たちにも興味ないからどうでもいいわ。
私の言葉が意外だったのかきょとんとしたような表情をしてたが、すぐに笑みを浮かべてる。
うん、いつものライアね。
「ありがとう」
「どういたしまして?」
何かよく分からないけど、……まあいいわ。
「アルトとフィアちゃんもごめんね」
「気にするなって」
「だ、大丈夫」
離れていたフィアとアルトの女たちが居なくなったのでこっちにやって来ていた。
二人が居たら余計にあの女たちはギャーギャー騒いでいたでしょうし、来なくて正解だったわね。
変なトラブルがあったけど、私たちは水着に着替えて来るのでライアたちとは別れてフィアと部屋に戻った。
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この前買った水着に着替えればフィアと一緒にライア達の所に向かう。
すれ違う男たちは私の可愛い水着姿に見とれていたけど当たり前よね、だって私は可愛いんだもん。
「お待たせ~!」
違うクラスの男にナンパされたけど断って私はライア達の所に辿り着いた。
「女の子なんだから支度に時間がかかるのは仕方ないよ」
「何かいつもと違うな」
優しい表情で笑ってるライアとまじまじと私を見ていてフィアに叩かれてるアルト、……シアンは眉間に皺を寄せて不機嫌そうな表情をしてる。
何かちょっと機嫌悪いみたいね。
別れた時にも女たちに怒ってるみたいだったからまだ怒ってるのかもね。
「どう? 似合ってるでしょ?」
ビキニタイプの水着はなかったけど可愛い私にはワンピースタイプの水着でも似合うでしょう。
太らないようにも筋肉つかないようにも気を付けてるからね。
胸はまだちょっとしかないけど、前と同じDカップになるから問題ないでしょ。
「……別にどうでもいい」
「私の可愛さがわからないなんてシアンはまだまだね。 女は褒められたい生き物なんだからそんな態度じゃ好きな子に嫌われるわよ」
シアンが褒めるとは思ってなかったけど、私が可愛くないわけないからシアンのは性格なんでしょう。
亭主関白タイプなのかしら?
モラハラになんかならないように気を付けないと結婚しても離婚されるわよ。
そう思いながらも五人揃ったので私たちは海へと向かった。
「リルディアは泳げるのか?」
「リル、海は初めてだからわかんなぁい」
海には他の生徒たちも居るので甘えたような声を出しながらアルトに返す。
海はこの世界に来てから初めてだけど、ラースたちと湖で泳いだりしてたから泳げない事はないわ。
泳げない方が可愛いでしょうから泳げない振りはするけど。
「体はちゃんと解さないと溺れてしまったら大変だからね」
「ライアは泳げるの~?」
「んー、ちょっとだけね」
くすりと笑ったライアは体をしっかり動かして準備運動してるみたい。
準備運動はしっかりしないと泳げる人でも足をつったりしたりして溺れることはあるって聞いたことはあるわね。
泳げない振りをするから意味ないかもしれないけど、念の為にやっておきましょう。
何が起こるかわからないものね。
「俺とフィアは良く川で泳いだりしてたから泳げるぜ」
「ち、小さい頃の話だよ!」
「でも、泳げるの凄いよ~!」
アルトの言葉に頬を少し赤らめながらもアルトの言葉を否定しようとするフィア。
浮き輪みたいなものはないから泳げないと大変よね。




