旅行は海へ②
「いきなりビックリするじゃない」
やっと力を抜いたのかカーテンを開けると水着を着てるフィアと少し不機嫌そうなシアン、にこにこと笑ってるライア、状況がわかってなさそうなアルトが居た。
いきなり閉めるなんて危ないわよ。
私の可愛い水着姿に照れてるわけでもなさそうだし、女は露出するなって古い考えでも持ってるわけ?
「リル、似合ってるよ」
「ありがとう」
私が似合ってるなんて当然のことではあるけど
フィアにお礼は言っておく。
フィアはすらっとした感じだから水着も似合ってるわね、尻尾がちょっと邪魔そうだけど。
「……さっさと着替えろ」
むすっとしたような表情をしてるけどシアンには微妙なのかしら?
私が可愛いのだから何を着ても似合うのに。
「わかってるわよ」
もしかしたら、買い物があんまり好きじゃないのこもしれないわね。
中には女の買い物が面倒って男も居るみたいだし、私はそんな面倒な男は選んで来なかったけども。
カーテンを閉めるとさっさと着替えることにした。
他にも買わないといけないのたくさんあるわね、日焼けなんて絶対にしたくないわ。
着替え終わるとカーテンを開けて外に出る。
フィアはまだ着替えてる最中みたいだから先に買っとこうかしら。
「シアンの事だけどいつもあんな感じだし、思ってもないこと言っちゃう時もあるけどあまり気にしないでね?」
どうしようか考えているとクスクス笑いながらライアがフォローしてきた。
ふーん、ちょっと面倒な性格してるわね、……ツンデレってやつなわけ?
「面倒だけど気にしてないから大丈夫よ」
「それはそれで大変だろうけど、シアンのせいだから仕方ないね」
ライアが何が言いたいのかよくわからないわね。
何が大変なのかもわからないし、シアンのせいってのもわからない。
私には関係ないから気にしなくてもいいかしら。
「さっさと買って行くぞ」
「わかってるわよ」
どこかに行ってたシアンが戻って来たのかむすっとしたままもライアに言ってる。
フィアも戻ってきたみたいだし、早く会計しちゃいましょ。
水着の会計をすれば他の店にも向かい必要な物を次々と買って行く。
もちろん、私は荷物なんて持ちたくないからアルトが持ってくれてる。
「ありがと~、アルト」
私が荷物持ちなんてするわけないけど一応お礼は言っておく。
可愛く見えるようににっこりと笑顔を作って甘えたような声を出す。
アルトにも全く効果はないんだけどね。
「ああ、これくらいはな」
フィアの荷物もアルトが持ってるからそんなに重くはないのは思うけど、多いから結構嵩張ってるわね。
でも、私はその分楽だからありがたいわ。
「どこか他に寄りたい場所はあるかい?」
「ん~、特にないよ~」
前はライアとシアンが歩き後ろは私とフィアとアルトで歩いている。
軽く振り向いて私達にライアが問いかけてくるが買い物は終わったので特にもう必要なのは何もない。
寮の門限まではまだまだ時間はあるけど。
「ちょっと腹減ったから何か食おうぜ」
「それはいいかもしれないね」
お昼は結構食べてたようだけどアルトはもうお腹空いたみたいね、たくさん食べてるのに太らないのは体質なのかしら。
私はお腹空いてないから紅茶ぐらいにしておきましょう。
五人で喫茶店に向かっているとどこかの店の前に人集りが出来ていた。
「どうしたんだろ?」
「何かったのかもしれない」
こんなに人集りがあるなんて……たまに学園の生徒も来てるけどここまで人集りがあるのは初めて見たわ。
野次馬なんて興味ないけど通り道なんだから仕方ないわね。
人集りに近付いて行くと耳障りな怒鳴り声が聞こえてくる。
「アレイア様に何て無礼な真似を……!」
「獣風情がアレイア様の目に触れる場所にいるな!」
人集りの隙間からは学園の制服を着た三人の男とその前に倒れたのか座り込んでる獣人の五歳くらいの幼い少年と少女が居た。
幼い二人はぷるぷると体を震わせながらぎゅっと手を握りあってるみたい。
「テメェら何やってやがんだ!」
怒鳴られて怖がってる子供達を見てか人集りを割っていき幼い二人の前に立って対峙した。
面倒なことにあんまり首を突っ込みたくないんだけど……。
「Aクラスの獣か、貴様なんぞがアレイア様に近付いていいとでも思ってるのか!」
「この御方をどなたと心得る! リーバーセント次期伯爵だぞ!」
相手はアルトのことを知ってるのか蔑んだようにアルトを睨み付けてる。
相手はどっかの馬鹿貴族みたいね、偉そうにふんぞり返ってるのがムカつくわ。
「あ? んなもん、知らねえよ」
獣人は馬鹿な貴族に酷い扱いを受けてるからアルトは貴族が嫌いみたい。
私やライア相手は慣れてきたのか全然普通に接してるけど、未だに私達以外と話そうともしてないものね。




