【シアン・フロレイン】②
そして、リルディアとデートをした。
デスドラを従魔登録する為にギルドに行く予定を立てたがフィアとアルトは用事があり不可、ライアは俺に気を遣ったのか断った。
ライアの活躍によって俺とリルディアの二人でギルドに行く事が確定する。
……正直に浮かれていた。
リルディアと二人っきりで会うことになるとは思っていなかったからだ。
良くあのセルディアが着いて来なかったと思ったが、アイツらにも用事があったらしい。
興味ないからどうでもいいが。
リルディアの私服姿は可愛かった。
いや、制服姿も可愛いから語弊があるが。
俺はライアによって服を決められてたが、そのせいでリルディアが俺を見てくれるのが嬉しくて恥ずかしい。
素っ気ない態度になってしまったがリルディアは俺の態度も気にしてない様だ。
はぐれてしまわない様にリルディアの手を握った。
好きな奴に触れるだけでこんなにドキドキするとは思わなかったが。
ギルドに行ったら酔っ払いに絡まれたがいつもの事だ。
さっさと片付けて従魔登録をした。
責任者であるソルトルとは昔からの知り合いではあるが、リルディアが媚びを討ってるのを見ればどうしても嫉妬してしまう
登録が終わりソルトルと少し話をしたが妙な話を聞いた。
五年前に冒険者数名が亡くなった事件。
冒険者が亡くなるのはよくある話なので興味がなかったが、その話を聞いたリルディアが少しおかしかった。
ソルトルは気付いていなかったが。
近くであった殺人のことだから気になっているのかと思っていたが違うようだ。
もしかしたら、リルディアが関わっているのかもしれない。
完全に勘ではあるが、何となくそう思った。
だからと言って、リルディアを問い詰めるつもりはないが。
リルディアがもしその冒険者を殺したとしても何か理由がなければリルディアは無駄な殺人なんてやらないだろう。
そして、リルディアが殺したとしても俺はリルディアなら許せる。
俺はリルディアを好きになってからおかしくなってしまったのかもしれない。
だが、それでもいい。
リルディアさえ居れば俺は何でも構わないのだから。
ソルトルと別れた後はリルディアと買い物に行った。
折角の二人きりをもっと続けていたかったからな。
アクセサリーの店ではリルディアが珍しく素ではしゃいでいる。
やはり女だからアクセサリーには興味あるんだろう。
可愛いリルディアを見ているだけで満足だったが、リルディアの見ているのが気になった。
青色のネックレス、本当に偶然だろうが俺の目と同じ色だ。
リルディアは盲魔であるので親には好かれてないのか小遣いも貰ってないようだ。
金貨十枚のには手を出せないみたいだった。
リルディアが居なくなった後、俺はそのネックレスを買うことにした。
今までギルドで稼いだ金は使うこともなくギルドカードの中に貯まっているからだ。
リルディアの為に使うことは苦でも何でもない。
……それに俺と同じ色のアクセサリーを身につけてもらいたいと言うのもある。
ネックレスを買えばどうでもいい女達が寄ってくるが、リルディアにしか興味がない俺は無視している。
甲高い甘えるような声だが、リルディア以外だとやはり不快に思ってしまう。
すぐにリルディアが戻って来れば俺の腕に抱き付いてくる。
リルディアの体は全てが柔らかい、ドキドキしてしまう心を落ち着かせながら女達を適当にあしらう。
リルディア以外に興味がないのだから仕方がない。
店を出れば今度は喫茶店に向かう。
そこでも、リルディアの何気ない話に心臓が高鳴ってしまうのだが……。
リルディアは風呂が好きなようだ。
何日もかかる依頼を受けるつもりはないようで、受けてもシャワーすらない事にショックを受けている。
だが、リルディアは盲魔で火をおこすことも出来ないから依頼を受けるしかない時は俺を連れて行こうとしてる。
俺が火の魔力を持っているからだろう。
リルディアの為なら何だってやってはやるが、下心を持ってる男にそんな事を言われては黙ってしまうのも仕方がないし、何日もリルディアと二人きりだと耐えられる自信はない。
俺は話題を変えるためにライアを引き合いに出す。
リルディアの『好き』という言葉にわかっていたはずなのに動揺してしまう。
リルディアがライアを好きなのはわかっていたし、ライアがリルディアを妹のように可愛がっているのも知ってる。
だが、次のリルディアの言葉に希望が持てた。
リルディアがライアと結婚したいのは王妃になって贅沢出来るかららしい。
確かに王妃になれば食事やドレス、アクセサリーも豪華なのが用意される、外交もリルディアは外面は良く出来る、五大貴族の生まれだから王妃になれる位置には居る。
だが、セシルト家から離れたいのなら王妃になるのは難しい。
平民となるのならぱ王妃になるのは砂漠の中から一粒の宝石を見つけるくらいには難易度は上がる。
……正直に言えばリルディアは平民になったとしても王妃になることは容易いだろう。
色々リルディアに否定的な事は言うが知性もあり、見た目も美しい、リルディアなら後ろ盾が五大貴族でなくても問題はない。
リルディアが王妃になるのは俺が嫌なので敢えて言わない。
リルディアは俺の思惑通りに王妃になるのを諦めそうだが、次は商人を狙おうとしていが。
話すのが上手くない俺ではあるがどうにかリルディアに話を持っていき、冒険者に興味を持たせることに成功した。
……本当は告白してしまいたかったが今はまだ無理だろう。
リルディアの期限は後、六年後。
学園卒業すれば政略結婚させられるだろうとは俺も思っていた。
まずはセシルト家を潰さないといけない。
もしくは、当主と奥方……リルディアの両親が追放されるかだ。
セルディアならばリルディアの願いは当主になっても聞き入れるだろうから問題はない。
とりあえず、六年後までにギルドに通って金を貯めるか。
今も家を買える金はあるがリルディアは贅沢したいみたいだからな。
多ければ多いほどいいだろう。
その後、学園の寮までリルディアを送った。
一人にすれば変な男が声をかけてくるかもしれないからな。
「おかえり、シアン」
部屋に帰ればライアがのんびり本を読んでいた。
寮は二人部屋が基本だが、貴族であれば一人部屋がいいとうるさい。
なので、貴族は一人部屋、平民は二人部屋となっている。
だが、ライアは変わり者なので王子だけど俺と二人部屋を使っている。
貴族がうるさいのでとりあえず一人部屋も用意されているがほとんどそっちには帰っていない。
俺も他の奴よりライアのが安心出来るからいいが。
「報告はどうした」
「そんなの嘘だってシアンもわかってただろう? 父上もまだ子供の俺から報告させようとは思ってないさ。 心配されてるみたいで手紙が来たぐらいかな」
「だろうな」
俺がリルディアを好きだから二人きりにしようとしたんだろう。
お節介ではあるが、……今日はリルディアと話せたからよかった。
「何か良いことあった?……って、そうだよね。 リルディアちゃんとデート出来て」
「……うるさい」
ライアが冷やかしてくるが先ほどの事を思い出してしまい覇気がない俺ににこにこしてる。
机に先ほど渡せなかったネックレスの箱を置く。
「渡さなかったの?」
「今はいい」
「ふーん、誰かに取られちゃうよ。 リルディアちゃん、あんなに美人だし」
誰かに取られる?
それはない。
「リルディアは俺のだ、俺を選ばせるようにする」
五年間待ったんだ、また六年待つのも問題ない。
俺以上にリルディアを愛してる奴はいない。
誰にも負けるつもりもない。




