デート⑤
「本当に仲が良いんだね。 ……ああ、自己紹介を忘れていたよ。 私はソルトル・セファード、一応貴族ではあるけど4男だから自由に冒険者稼業をしているよ」
「リルはぁ、リルディア・セシルトですぅ。 よろしくお願いしまぁす!」
ほんのり頬を赤らめながら上目遣いになるように見上げ、にっこりと笑顔を浮かべる。
うん、いつも通りの可愛い私だ。
「シアンの事をこれからもよろしくね」
「おい」
ムスッとした様なシアンだが、セファードさんはにこにこと笑顔のまま。
ギルドマスターの息子だから多分古くからの知り合いなんだろうね。
「それにしても、デスドラといい、五年前の事件といい、魔境の森には何かあるのかな」
「五年前?」
「五年前に数名の冒険者が殺される事件が起こったんだよ。 まあ、その冒険者は素行不良だったし、詐欺紛いの事もしてたからその恨みからかもって未だに犯人がわかっていないんだ。 刃物で滅多刺しの状態だったから私怨に間違いはないだろうが、如何せん犯人候補が多くてね……。 ああ、愚痴になってしまってすまないね」
「そんな事があったのか」
「五年前はまだシアンも五歳だから知らないのは当然だろう」
……多分、私が殺した冒険者の事よね?
ラース達を殺された私怨から殺ったし、私の得物はナイフだし、血溜まりがあった事は覚えてるけどそこまで滅多刺しにしたのは覚えてないわ。
私があの森に通っていたのは誰も知らないし、完全犯罪成立ね。
死しても苦しめばいいわ。
「リルディア、大丈夫か?」
私が黙っていたからかシアンが声をかけてくる。
流石に五年前の犯人が私だってバレるのはいけないわね。
後悔してないけど、今捕まるわけにはいけないもの。
「……うん、ごめんねぇ。 初めて知ったから怖くて……」
「申し訳ない、リルディア嬢の前で話をする事はなかったね。 シアン、送ってさしあげなさい」
「そろそろ行くか」
……一応セファードさんは私を疑っている様子はないわね。
勘が鋭いシアンも流石に私が五歳で人殺しをしているとは思っていないでしょう。
「セファードさん、今日はありがとうございました」
「こちらこそ、気分悪くさせてしまってすまないね。 また遊びにおいで」
「はいっ」
にっこりと笑顔を浮かべながらもシアンの手を引いて部屋を後にする。
セファードさんが私を疑っているならこの話もギルドマスターなりに話すだろうけど、疑っている様子はないから安心よね。
あのギルドマスターは私にとったら天敵だわ。
私を疑っているディオ先生よりも厄介だなんて……まあ、ギルドマスターは私が戦える事知ってるからまだやり様はある。
最終的に勝つのはもちろん私よ。




