サバイバル演習と再会⑨
『何だ、人間。 言いたいことがあるなら言え』
……シアンは何でキルクを睨んでるの?
魔物であるライウルフだから?
「リルディアちゃん」
「ライア」
「あのね、確かに僕らはびっくりしたけどリルディアちゃんが僕らを騙してたのとか思ってないよ」
わけがわからないわ。
責めるのも許さない可愛い私が今は責めても仕方ないと思ってるのよ。
「人には言いたくない事だってたくさんあるんだ。 シアンだって、リルディアちゃんに言ってないこともたくさんある様にね」
「戦えるのを黙ってても?」
「もちろん」
にっこりと微笑んでるライアをじっと見つめてもライアが嘘を言ってる様には聞こえないわ。
普通は怒るでしょ?
「駄目! リルが戦えても戦わないで!」
いや、フィア……。
「リルは私が守るの!」
初対面の時の大人しいフィアはどこにいったのよ。
「何でそこまで私を庇うの?」
「……だって、リルは私の大切な友達だから……」
「私がライアの心証を良くしようと友達になって、本当はフィアに悪意持ってても?」
実際にはビッチ達と一緒の班が嫌だったからフィアに声掛けただけだけど。
「リルディアはあまり獣人の事知らない様だから言うが、悪意を持って接して来たら分かるぞ? 流石にどんな風な悪意を持ってるかなんて細かい事はわからんが。 リルディアからは俺達を蔑む様な感じはなかった」
「私達の事はどうでもいいって感じだったの。 でも、最近はちょっとでも好きになってくれたみたいで嬉しかった」
第六感的なものなわけ?
「私、リルが好き。 もし、リルに騙されていたとしてもリルの傍に居たいの」
……猛烈な告白をされてる様に感じるわね。
『この女なら特別にリルディア傍に居てもいいんじゃないか? この睨んでくる男はいらぬが』
まだシアンと睨み合っていたキルクが私に擦り寄ってくる。
クズしか見て来なかった私にはフィアやアルトの考えはわからないわ。
「……好きにしたらいいじゃない」
素の(こんな)私でも良いのなら好きにしたらいい。
フィアが嫌いなら嫌だけど別に嫌いじゃないもの。
「これからよろしくね、リル!」
私の言葉に嬉しそうにフィアは微笑む。
本当に馬鹿な子。
【グアアアアアア!!!】
「まだ生きていたのか!」
静かだった雰囲気はいきなりのデスドラの叫び声に一気に緊張が走る。
……デスドラの言葉が分かる私以外は。
『素晴らしい魔法だ! まさかちっぽけな生き物にこの我が傷を負わされるとは!!』
「黙りなさい、ちっぽけとはこの私の事かしら?」
『む、すまない。 いや、でもとても感動したのだ!』
これがさっきまで私達を馬鹿にしてたデスドラなわけ?
変わりようが気持ち悪いわ。
「……デスドラが掛かって来ないな」
ぽつりとシアンが呟くけど私と話してるから掛かって来ないのでしょうね。
性格が変わった様なのも関係してるのかしら。
「私は黙りなさいと言ったのよ?」
大きな巨体を丸めて私に顔を近づけてきたからナイフで頬を数回軽く打つ。
頬ではなく顎の辺りだけど。
『す、すまんっ』
男を操るには最初から躾が大事だわ。
戦えば負けるかもしれないけど、デスドラはもう戦う気はないみたいだからね。




