表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぶりっ子少女の夢は玉の輿  作者: 猫目 しの
異世界の日々
17/123

サバイバル演習と再会③

 



「リルディア、ここに座れ」



シアンがわざわざ座りやすいようにしてくれているので焚き火の前に座る。

水浴びの季節じゃないんだからちょっと寒かったわね。




「ありがとぉ」


「ほっぺ腫れてるよ」




いくら女だからって思いっきりビンタされたからヒリヒリする。

フィアが水で濡らしたタオルを用意してくれたみたいなので受け取った。




「迷惑かけてごめんねぇ」


「リルディアが悪いわけじゃないだろ」




まあ、私が悪いわけないのは当たり前だけど。




「リルディアちゃんの顔に傷が残ったらどうしよう……」



ビンタされた時に爪が軽く引っ掻いたようになったのかちょっと血が出てるみたい。

私の顔に傷をつけるなんてやっぱ許せないわ、名前覚えてないけど。




「傷が残ったらシアンが責任取ってお嫁さんにしてくれるよ」


「ライア!」


「あの子達、シアンのファンみたいだしさ」




ライアの冗談っぽい言葉にシアンは不機嫌そうにしてる。

脈なしだからってそこまでこの可愛い私が嫌なわけ?




「ライア、シアンが嫌がってるよぉ」


「……嫌ではないが」




……意味わかんない。




「まあ、冗談は置いといて。 リルディアちゃんはシアンとゆっくりしていていいよ」


「ライア」


「シアンは焚き火番。 属性が火なのはシアンだけだからね」




私は魔法が使えないからねー。

焚き火の火がなくなってしまったらいけないからシアンが残るんだ。




「……わかった」


「リルディアちゃん、シアン置いとくから何かあったらすぐシアンに言うんだよ?」


「はぁい!」




好感度は上がってるはずだから押して押して押しまくればいけるかも。

シアンは私に興味のかけらもなさそうだからね。


フィアは私を気にしながらも血抜きとかの準備をしなければいけないのかライア達について行った。

三人が離れればシーンとした雰囲気になる。


可愛い私が居るのに黙ってるなんて。




「シアンはライアと仲良しだねぇ」


「子供の頃からの付き合いだからな」


「へぇ、シアンの子供の頃って見てみたかったらなぁ」


「……」




あれ?

また難しい顔して黙っちゃったけど、子供の頃の話はNGだったわけ?


そう言えば、ギルドマスターの養子って話だったから子供の頃に何かあったのかも。

ろくでもない親って多いしねー。




「……リルディアだから言えるが、俺は五歳まで盲魔だった」


「え?」




シアンが盲魔?

だって、シアンは魔法だって使えるのに。

私はあの神に魔法使えなくさせられたからだけど、生まれてから盲魔でも成長するにつれ魔力って授かるわけ?




「親も妹も俺を蔑み、同い年の奴らは俺を的にして遊んでいたりしていた」




シアンの周りにはろくでもない奴らが多かったんだ。

平民ならそんなに気にしなかっただろうからシアンも貴族だったのかな?




「ある日親に捨てられた俺は魔物に襲われて死にかけた。 その時に父さんに助けられたんだ」


「そうなんだぁ」


「俺を捨てた親を恨んではいるが、復讐する気等はない。 元妹や俺を的にしてた奴らに会っても仲良くする気もないが無視するような小さな事もしない」




全く興味がないって事ね。




「でも、一人だけ違う奴が居た。 俺に興味がないのか虐めを見ても止めることなく、しかし同情か何かわからないが救急箱を他には知られない様に渡して来たり。 昔の俺はそいつが嫌いだった」




まあ、何もしない傍観者が一番悪いのかもね。

私も虐め見ても何もしないけど、私が悪いわけないわ。




「自分が可愛いのか他人に媚びを売って生きる人間だったからな。 ……でも」


「でも?」


「……本当はただ人が信用出来ないだけだとわかった」




シアンが五歳の時の話だからその子も年齢が近いってわけでしょ?

面倒そうな子供ね。




「わかったのは俺が捨てられてからだがな」


「シアンはその子が好きなんだぁ」




だから、この私の魅力が伝わらないのね。

シアンに好きな人が居るのなら私を好きにならないと思うもん。




「……ああ」

 



いつめの無表情ではなく少し照れたような様子のシアンに思わず笑みが零れる。

まだ十歳なのにスレてると思ってたけど、年相応な所もあるんだ。




「シアンの恋が叶うように応援してるね」




シアンが無理でもライアさえ落とせればいいからね。

王妃になる為にマナーとかも練習しなければいけないけど私なら出来るわ。

将来楽する為には最初に試練があるのは仕方ないもの。




「リルディア、俺は……」


「リルディアちゃん!」




シアンが何か私に言おうとしていたけど魔物の解体や魚を捌けたのかフィアがにこにこと笑みを浮かべながら近付いて来た。




「フィアちゃん」


「準備出来たよ」


「ありがとぉ。 シアン、何か言いかけたぁ?」




さっき私に何を言いたかったのか知りたいし。




「……いや、何もない」




フィアが居たら言いにくいのか諦めたように呟いた。

気になるけどシアンが言うの止めたなら別に聞かなくてもいいわね。




「リルディアは解体とか見たことないのか?」


「見たことなぁい。 アルトはあるの?」


「ああ、俺達の村は小さかったからな。 子供の時から解体は一通り習ってきた」


「すごぉい!」




私も解体出来るけど言うわけないじゃん。

出来ない方が女の子らしくて可愛いし?




「リルディアちゃんは血とか苦手だよね? 出来なくても私が頑張るから大丈夫」




やっぱ、何でこんなにフィアに好かれてるのかわかんない。

得するからいいけどわからないままってのもモヤモヤするわね。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ