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ぶりっ子少女の夢は玉の輿  作者: 猫目 しの
異世界の日々
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サバイバル演習と再会②

 



「薪拾いだなんて盲魔にはぴったりの仕事よね」


「王子やシアン君に近づき過ぎなのよ」




ただの僻みでしょ?

可愛い私がライアやシアンと一緒のグループだからね。




「ライアもシアンも友達だもん」




今は、だけどね?




「貴女みたいな盲魔が近付いていい方々じゃないのよ!」


「五大貴族の落ちこぼれ」




ライアやシアンが行ってからって事はどこかで見てたわけね。

それで、私が一人になったから来た、と。


この手のタイプは獣人も嫌ってるからフィアやアルトも対象内。

魚取りに行っててよかったわ。




「獣人のような下等生物と付き合ってるのがお似合いよ」




ほーらね。


……予想通り。




「どっちが下等生物かしら?」




予想通りだけどフィアやアルトを知らない人に言われるのはムカつく。




「なっ!」


「フィアもアルトもあんた達のように醜い性格してないわ。 私からしたら人間が一番優れてると勘違いしてるあんた達のが下等だと思うけど?」




鼻で笑えば真っ赤になってる女達。

図星指されて怒ってるのかしら。




「やっぱり、ぶりっ子してたのね!」


「何か悪い? ごめんなさい、あんた達がぶりっ子してもモテないものね?」




だって、私は可愛いもの。



女達を見てクスリと笑みを浮かべればパァンッと音を立ててビンタされた。

これぐらいわざわざバリア張ることもないわ。




「盲魔のくせに生意気なのよ!」


「そうよ! 盲魔も獣人も生きてる価値ないわ!」




可愛い私の顔に傷をつけるなんて許されないわ。

まあ、私から何もしなくてもそろそろどちらか戻ってくるだろうから何も言わない方がいいわね。




「水よ、出でよ!」



バシャッと上から水が落ちてきて全身がびしょ濡れぬる。


口で勝てないから暴力だなんて短絡的思考ね。





「リルディアちゃん!」



びしょ濡れになった私を心配して来たのはフィアだった。

魚の入った網を持ってアルトも後ろからやって来る。




「リルディアに何してる!」




私を庇うように私の前に立つアルト。




「獣人風情が貴族である私に話しかけないで、穢らわしい」


「そうよ、それにその女が悪いのよ」


「リルディアちゃん、大丈夫?」




フィアは持ってきたタオルでびしょ濡れになってしまった体を拭いてくれる。

やっぱり、フィアはこんな女達とは違うわね。




「ありがとぉ、フィアちゃん」


「あら、またぶりっ子に戻ったわね」


「盲魔だから男に媚びるしかないのよ」




私を馬鹿にするような女達の言葉にわざとびくっと小さく体を跳ねさせる。

怯えてるように見せなきゃね。


まあ、怖くもなんともないけど。




「リ、リルディアちゃんは貴女達みたいな人とは違う……!」




怖いのかぶるぷると体を震わせ泣きそうになりながらフィアが言う。

大人しいフィアが私の為にそこまで言うとは思ってなかったわ。




「何ですって!」




フィアに言い返されるとは思っていなかったのか女達は醜く顔を歪めてフィアを睨む。




「リルディアちゃんはこんな私とも仲良くしてくれて、優しくて、凄いいい子で……だ、だから、私がリルディアちゃんを守るって決めた! リルディアちゃんを傷付けるなら許さない!」




私は優しくもいい子でもないんだけど。

嫌われてるなら嫌われてるでよかったし、友達なんて必要ない。


……って、思ってたのに。


震えてるのに私を守ろうとしてくれてるフィアを見ればフィアは友達でもいいかなって思う。




「獣人のくせにいい気になってんじゃないわよ!」


「じゃあ、僕の友達を貶してる君は何様のつもりなんだろうね」




また魔法を撃ってきそうな女を見ていれば後ろから声が聞こえてきた。




「ラ、ライア王子……」




女達も先ほどの勢いがなくなったように顔を青ざめている。

まあ、こんなに冷たいライアの声なんて聞く機会ないでしょうにね。


後ろを向けばシアンか猪に似た魔物を担いでおり、ライアは腕を組んで木にもたれている。




「僕らの友達だと知っててやってるんでしょ?」


「ちがっ! ……こ、この女が私達を馬鹿にしたんです! 貴族である私達を下等だとか醜いとか!」




確かに言ったけどソレ信じると思うわけ?

フィアとアルトに守られてるびしょ濡れの私が居るんだから。




「それで、リルディアちゃんに魔法使ったわけ?」


「そ、それは……」


「盲魔のくせに王子やシアン君に近付くからですよ!」


「そうよ、それに穢らわしい獣人なんかと一緒に居るなんて……」




ライアに責められているのが辛いのか三人の女は青ざめながらも縋るようにライアを見つめる。

別に価値観なんて人それぞれだから差別するななんて偉そうなことは言わないわ。

私に関係ないから好き勝手にすればいい。


だけど、私のお気に入りに手を出すのなら許せないわ。




「フィアちゃんやアルト君は穢らわしくなんてないよぉ! リルの事は何言ってもいいけど、リルのお友達を悪く言わないでぇ!」




私は何を言われたって平気。

でも、フィアやアルトはそうじゃないでしょ。

差別された事なんてないから気持ちはわかんないけど差別されていい気分じゃないはずだわ。




「リルディア、そのままでは風邪引くぞ」


「リルディアちゃん、シアン君が薪に火をつけてくれたからあっちで暖まろう?」




女と対峙してた時に厳しい表情だったアルトも、ぶるぷる震えて泣きそうだったフィアも、今は笑ってる。

可愛い私を心配してくれてる。




「ありがとぉ。 フィアちゃん、アルト君」




もうこんな女達なんて興味ないわ。

ライアにもシアンにも嫌われて学校生活を送ればいいのよ。

大好きな人に嫌われるのは辛いでしょ?




「さ、リルディアちゃん」




ライアも女達に興味なくなったのかそっと私の手を取って歩き出した。


今ので好感度アップしたみたいね。


 

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