サバイバル演習と再会
サバイバル演習の日。
私達はジャージに着替えディオ先生と一緒に魔境の森に来ていた。
……魔境の森はラース達との思い出の森。
出来るならラースのお墓参りがしたいな。
「今日から3日間、この森でサバイバル演習だ。 各グループで別れてテントの場所を決めとけよー」
一人一人に渡されたリュックの中には調味料、少しの食材、小型のナイフ、ロープのみが入ってる。
テントはグループに2つ。
いくら子供だからって女と男を一緒のテントに寝させるのは不味いのだろうけど。
まあ、ビッチ達だったらシアンのテントと一緒がいいって喚くだろうけど。
「尚、魔物と出会ったら魔武器は使って良し。 逃げたくなったり死にそうになったりした場合は渡した転移の魔法陣付き腕輪に魔力を込めれば俺のテントに転移される事になってるからな」
戦って死んだとしても自己責任ってこと?
ってか、魔力のない私には意味ないものじゃない。
まあ、この森ならラースとの特訓でほとんどの魔物は倒したことあるし大丈夫だろうけど。
「それじゃ、解散」
ディオ先生の言葉によりまずグループで集まる。
「まずは水辺を探さないとね」
サバイバルするとしたらまずは水の確保が大事だと思うし、シアン達も賛成してる。
水辺と言えば思い浮かぶのはラースのお墓を作ったあそこだけどねー。
「移動するぞ」
グループリーダーであるシアンが歩き出したのでその後について行く。
手入れもされてない森だから歩くのが大変だけど、私は慣れてるし。
まあ、慣れてるなんて知られたくないけど。
「リルディアちゃん、大丈夫?」
「うん、まだ大丈夫だよぉ!」
少し疲れたように息を乱しながらにこっと笑顔を作る。
体力ない私が頑張ってるように見えるでしょ?
「前にギルドの依頼で来た時奥に綺麗な湖があった。 その水なら飲めるだろう」
それってラース達のお墓がある場所かも。
お墓の上にテントを立ててしまわないように見ておかなきゃ。
「飲み水さえ確保出来たらいいからね」
「後は俺らが魔物を狩れば食料は調達出来る」
アルトはまだわかるけどライアは……サバイバルとかやったことなさそうなイメージなんだけど。
王子様だし。
フィアも獣人だからあるのかなー。
「リルも頑張るぅ!」
戦闘や解体はシアン達に任せるけど料理ぐらいはやらないとねぇ。
料理出来ますアピールも出来るし?
まあ、王妃になったら作ることないんだけど。
「無理しないでね、リルディアちゃん」
フィアは本当に心配性ー。
頑張るって言っても戦闘するわけじゃないし。
まあ、一応貴族の娘である私が料理出来るなんて思わないか。
この世界に来る前は色んな料理作ったことあるんだけどねー。
「そうだな。 怪我しないようにフィアと一緒に居ろよ」
「うん、何かあってもリルディアちゃん守るよ」
……ん、やっぱムズムズするかも。
女には本当に嫌われてたからね。
好かれるようなことしたっけ??
「リルディアは弱いからな」
「みんなに迷惑かけないように頑張るよぉ」
まあ、可愛い私にかけられる迷惑なら嬉しいよね?
サバイバル中は私戦闘に参加しないし。
しばらく獣道を歩いた先にはあの思い出の湖があった。
何となく予想はしてたけどまたこの場所に来ることになるなんて思わなかった。
「この辺にテントを立てるか」
「少し木を切った方がいいかな?」
シアンとライアが話をしているのを聞きながら、私はラースの墓の場所をぼんやりと見た。
……私が守れなかった大切な親友。
「リルディア?」
不意にシアンから声をかけられハッとした。
ここに居るのは私だけじゃないんだからちゃんとしないと。
「なぁに?」
「ぼんやりしてたがどうかした?」
「何でもないよぉ」
にこにこと笑みを浮かべながらもぎゅっとシアンの腕に抱きつく。
「近くに川もあるみたいだし、俺とフィアで魚取ってくるか」
「うん、たくさん取ってくるね」
「じゃあ、僕とシアンで魔物だね」
「ああ」
サバイバル演習が始まってから数時間経ってるからお腹も空いたしね。
私は川の中に入るつもりもないし、戦えない振りしてるから魔物も倒さない。
まあ、料理くらいなら私もやってあげるけど。
「じゃあ、リルは邪魔にならないようにここで待ってるねぇ」
「気をつけてね」
待ってるだけでもここに魔物が来る可能性もあるから心配してくれてるのかな。
二手に別れたシアン達を見送れば薪でも集めておこうと薪を探した。
ライアに過ごしてでも良く思われてた方が王妃になりやすいからね。
「あら、小汚い姿」
薪を集めて料理の準備をしていれば女が三人やってきた。
見たことあるから同じクラスだろうけど女には興味ないわ。