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ぶりっ子少女の夢は玉の輿  作者: 猫目 しの
異世界の日々
123/123

嵐の前の静けさ⑤

 


『そうなのねー』


「そうなの、……だから、さっさと死んでくれる? これからやること増えちゃったから早く終わらせたいのよ」



私が使ってる毒は自分自身に誤って刺してしまった時用に即効性の毒は使ってないけど、それでも強めの毒を使ってるのに何で死んでないのよ。

ランクの低い魔物は数分で死んだのにまだ死なないってことはやっぱりゴブリンキングはランクの高い魔物ってことよね。


ゴブリンキングの息が見るからに荒くなっているから効いているんだけど……。



『……ッマサカ、オ前ノヨウナ家畜ニ俺ガヤラレルトハ……アノ魔族、ルイント名乗ッタアイツ……!』


「おっと、余計なことを言ってはいけないな」



そろそろ死にかけのゴブリンキングを見ていると不意にどこからかそんな声が聞えて来て、いきなりゴブリンキングの首が地面にごとりと落ちた。

首の無くなった体からは血が噴き出ており、ただゴブリンキングが毒で死ぬのを待っていた私には何が起こったのか分からない。



『リル、きをつけて!』



のんびりとしたミィのいつもとは違う声色にどうしたの?と声を掛ける前に無意識に体が動いた。

ゴブリンキングの死体から飛び退くように離れるとさっきまで立っていた場所が燃えた、近くにあったゴブリンキングの死体もその炎に巻かれ跡形もなく消える。



『リルディア、あいつだよ』


『誰か分からねえけどあれはリルディアを殺そうとしたな』



声が聞えてきた方を振り返ると強化合宿の時に現れたハイドと呼ばれたあの褐色の魔族が立っていた。

あの時は闇の魔法を使っていたけどもゴブリンキングの死体を燃やしたのはコイツしかいない、複数の魔法を使えるみたいね。


面倒なとこで面倒な奴に会ってしまったけども、こんな奴にこの私が負けるわけがない。



「あら、確か……ハイドだったかしら?」


「また会えたな、勇敢なお嬢さん」


「会いたいと思って居なかったけど、こんなとこで会うなんて運命かしらね」



私の言葉にもただにやりと笑っているだけで私に攻撃してくる様子はない、前の時に私は殺さないみたいなことを言ってたような気はするけどそんなの信用するわけないじゃない。

現に今だって私が避けなければゴブリンキングと一緒に跡形もなく消えていたわ。


ミィたちも警戒しているようで、私も余裕を見せるようににこやかに話してはいるけど警戒は怠らない。



「そんな警戒しなくても今は何もしねえよ。 避けなかったら殺してたけどな」


「こんな可愛い女の子に手を上げるなんて酷い男ね」


「悪ぃな、お嬢さん。 ま、生きてたから問題ないだろう」



にやっと悪そうに笑ってるハイドと名乗っていた魔族、顔はイケメンだからなのか余計にイラっとするのよね……。

コイツにとっては私の命なんて虫を殺すくらい簡単なんでしょう、私だってまだ玉の輿にのってないのにこんな若さで死ねつもりはないわ。



「魔族がコイツらに手を貸して欲しいって言ってたんじゃなかったのかしら? 殺しても問題ないの?」


「手を貸して欲しい? そんな馬鹿な話があるわけないだろう。 手下にならなければ殺すってだけさ、お嬢さんも魔族になるか?」


「やーよ、この私の美貌が崩れてしまったらどうするのよ。 魔族になって美貌が崩れるなら死んだ方がマシだわ」



魔族は元々人間らしいし、どうやって魔族になるのかはわからない。

でも、そんなリスクを取ってまで玉の輿にのりたいわけじゃないわ、この可愛い私の顔が不細工になるだなんて耐えられない。


可愛いまま死んで不細工になって生きるのなら私は可愛いまま死ぬことを選ぶわ。



「手下にならなかったゴブリンキングはアンタが殺しちゃったけど、今日はもう帰るのかしら?」


「そうだなぁ、今日の俺の役目はゴブリンキングを手下にするか殺すかだったから用事は終わったしな。 厄介になりそうな妖精の加護を得たお嬢さんを殺して妖精を捕まえるのもいいが……」



ハイドの言葉にミィたちが更に警戒度を上げているのがわかった。

ミィは明らかに怒ってるようで周りには茨が咲き鞭のように地面を叩いており、見るからに熱湯な水球をサイスは浮かべて冷えた表情でハイドを見て、ローは風の刃らしきものを地面に当て亀裂が入りにこにこと笑顔ではあるが目は笑っていない。



「すぐにまた会えるから今日はやらねぇよ」


「魔族って何で妖精を捕らえてるわけ? 確かに能力的には戦うのは面倒でしょうけど、でも魔族もそれなりに戦えるんだから問題はないでしょう」


「実際の戦闘では負けないだろうな。 こうして、妖精が三匹も集まったら面倒ではあるが……それよりも妖精の力が俺らには必要なんだよ」


『リル、ここでやっちゃおう!』


『僕らに勝てるだなんて舐められたものだね』


『俺一人ならまだあれだけど、ミィフォレントとサイスシアがいるなら負けないぞ!』



今日は何かするつもりはないようなハイドとは違っていつものんびりしてるミィもハイドを殺る気になってるみたい。

いつもはのんびりしてるミィですら怒っているのか怒りをあらわにしてる。


魔族が必要としてる妖精の力って何かしら?

確かに人間以上に妖精には力があるとは思うけど魔族からしてもそうかのかな……でも、ハイドはミィたちが三人いても負けないって自信満々に言えるぐらいの力はあるみたいだし。

それなのに必要な妖精の力とはいったい……。



 

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