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ぶりっ子少女の夢は玉の輿  作者: 猫目 しの
異世界の日々
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嵐の前の静けさ

 


妖精の国から帰って来て数ヵ月経った、妖精王から妖精の保護を頼まれたけども今の私は学園の生徒なんだからそんな長い間旅をしてる暇なんてない。

炎の妖精は隣国であるアーシェットのリングア#炎山__エンザン__#に居るそうなのでわかりやすいそこには行きたいけど……まあ、数年は無理よね。


アーシェットはこの国と仲が悪いわけではないけど仲が良いわけでもない。

行くには片道徒歩で二か月もかかるみたいだからまだ学園の生徒である私はそんな長い間学園を休むことなんて出来ない。


まあ、妖精王の話ではそんなに急がなくてもいいみたいだし、学園を卒業してからゆっくりやりましょう。



「リルディア、今日もギルドに行くのか?」


「うん、セルディア達は今は家の事情で私に構って来ないし、これからのことを考えてギルドランクは上げてた方がいいからね」



もし、他国に行くならばギルドランクは上げていた方がいいでしょうし、うざい冒険者たちが居たとしてもランクが高ければ文句も言えないでしょ。

ランクが低いままでも無視してれば問題はないんだけど、私が行く予定のアーシェットのリングア#炎山__エンザン__#に依頼はランクCからじゃないと無理だし、あんまり依頼を受けるつもりはないけど何があるか分からないからね。

それにもしうざい女が居ても私の方がランクが高ければ文句も言えないでしょう。


まあ、文句言ってきたとしても無視すればいい話だけどね。



「リル、頑張ってね」


「今日は俺たちは用事があって一緒には行けないからな」


「僕も父上に呼ばれているからね」


「……俺は別の依頼があるな」



みんなして……そんなに心配しなくてもこの私なら一人でも問題ないわよ。

最近は学生服で行くのも止めたし、可愛い顔を隠すのは残念だけどフード付きのコートを着てるから子供だって馬鹿にする人も居ないしね。



「私なら大丈夫に決まってるじゃない。 そろそろランクも上がって欲しいしね」


「無理はしないで、ね?」



フィアは少し心配そうな表情をしている。

心配しなくてもこの私が無理なんてすることはないわ、可愛い私の顔に傷でもついてしまったら世界の損失に決まってるじゃない。


玉の輿に乗ることは諦めてないんだからこの綺麗な体に傷が残ってしまえば大変だわ。



「無理なんてするわけないでしょう。 フィアってば心配性なんだから」


「だって……」


「私のことを心配するなんて無駄なだけよ。 また明日学園で会いましょう」



フィアの頬に両手を添えて、こつんと額と額をくっつける。

そのままフィアの目を見つめ小さく微笑むと、心配そうだったフィアの目がキラキラとしており、ふにゃと笑った。



「うん、リル。 また明日」


「ええ、また明日」



フィアの頬から手を離すと立ち上がり、三人に手を振って別れ、まずは学生服を着替えに部屋に向かった。


部屋で着替えてからギルドに向かうとギルドはいつも通りうるさかった、お酒を飲んで騒いでるおじさんたちは多いけど、ちゃんと依頼を受けてる人も居るのか鑑定所に並んでいる人たちもいる。

夕方になったら人気な依頼はなくなっているけども、常時依頼があるので私は困っていない。


学園が休みの日は常時依頼じゃない依頼もやっては居るんだけど、終わってからこの時間に来るとなると常時依頼しかないもの。



「レディポイズン、今日もご依頼ですか?」



私がいつもやってるゴブリン討伐の依頼書を手に取って受付に持って行くと受付に居た女、アリアが私に声を掛けてきた。

アリアが私を呼んだ『レディポイズン』は私の通り名みたいなもので、私が毒を使って魔物討伐してるからそう呼ばれてるみたい。


結構前にうざい酔っ払いが絡んできた時に弱めの麻痺毒を使ってたからって可能性もあるけどね。


アリアはここ一ヶ月くらいで入って来た新人だから私のことはあまり知らないみたい、私の身長が低いのはそういう種族だとでも思ってるのかしらね。

個人情報をべらべらと話す気もないから勝手に勘違いしててくれても関係ないし。



「ええ、早くランクを上げたいもの」


「レディポイズンならもう少しでランクアップすると思いますよ。 持って帰って来る素材は綺麗な物ばかり、お肉は残念ですが……」



アリアは本当に残念そうにしているけどもそんなも当たり前じゃない。

私の使う武器は毒なんだからそれを使ったお肉なんて食べれる物じゃないわ、私の目的はランクを上げることであってお金を稼ぐことじゃないしね。



「ランク上げるのにお肉が必要なわけじゃないからどうでもいいわ」


「ストイックですね。 でも、この調子でゴブリンの根絶やしお願いしますね!!」



残念そうな表情だったアリアはゴブリンの話になるとにっこりと笑顔で私に言う。

ゴブリンは女を攫ってヤバいことする魔物だからね、私を含めてゴブリンを嫌いな女は大勢いるでしょう。


私も大嫌いだけどランクを上げる為には醜いゴブリンでもこの私の役に立つんだからゴブリンも死んでも嬉しいわよね。



「そうね、ゴブリンの巣でも見つけたら考えておくわ。」


「あはは、レディポイズンなら巣を壊滅できるかもしれませんねー……なーんて。 ゴブリンの巣の大きさにもよりますが大体巣が出来るとしたら50体ぐらいはいますよ。 それでもランクDが数人で挑む依頼ですよ。 まだランクFのレディポイズンでは無理ですよ」



 

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