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ぶりっ子少女の夢は玉の輿  作者: 猫目 しの
異世界の日々
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いざ、妖精の国②

 



わざわざ私がそんな動力を使ってまで妖精の国に行きたいわけじゃないってサイスだってそんなことわかってるじゃないの。

誰が見てるのか分からないけども、こんな見世物みたいなことをされて許されるとでも?


この私にそんなことして許せるわけじゃない。




【妖精の国には行かないのかい?】


「別に行かなくても私は構わないもの。 行きたくて来てるわけじゃないし、こんな試されるようなことをされるんなら帰るわ。 さっさと帰り道を出して」




ここから帰るには私を連れて来たサイスが帰り道を開いてくれないと一人では帰れないわ、この森がどこにあるのかもわからないし、それにここが私に国だってこともわからないもの。

サイスは私の言葉を聞いてもクスクスと笑って居るだけで何もしない、ミィは辺りをきょろきょろと見回しているだけ。




【リルディア】


「何よ、ミィ。 私は帰りたいんだからミィでもいいから早くしてよ」




きょろきょろと辺りを見回していたミィが小さな笑みを浮かべたかと思えば私の名前を呼ぶ。

だから、私は私の名前を呼べって言ってるんじゃなくて帰りたいのよ、サイスが出来るのならミィだって帰り道を開けるでしょう。


私の呆れたような表情を見てもミィはにっこりと微笑むだけ、そして背筋をしっかりと伸ばすと私に軽くお辞儀をする。

それはミィだけではなくサイスも同じだった。




【ミィフォレント・リア・セレストテラン・アルソンがしゅくふくをささげたリルディア、ミィたちのふるさとにようこそ】


【サイスシア・アル・トレンシー・ファランの祝福を受けし巫女、僕らの里へようこそ】




畏まったような二人の言葉と同時に辺りの森がもやもやとしており、瞬きをした瞬間に私の周りの風景が変わっていた。

森の中には変わりないんだけど目の前には上の方が見えないくらいの大きな大樹があって、他の木の枝の部分には小さな家みたいなのがある。


さっきの場所から移動すらしてないのにこんな大樹を見逃すなんてことは私はしない。

つまりは妖精たちが故意に隠してたってことよね?


私は動いてないんだからずっと妖精の国に居たってことかしら……ずっと居たのに気づかなかったなんて何かの魔道具か魔法か。




【僕らのリルディア、早速妖精王様のとこに案内するよ】


「あら、こんな試すような真似をしたのに一番偉い妖精のとこに連れて行ってもいいのかしら? 今も他の妖精たちが私を見てるみたいだけど?」


【人間が来るなんてリト以来だから珍しいのさ。 リルディアはこんなことをしなくても僕らの巫女だから大丈夫だったんだけど数百年振りのお客だったからね。 ちょっとしたお茶目ってことで】




お茶目って感じじゃなかったと思うんだけど……まあ、いいわ。

サイスが案内するって言うのなら今回のことは許してあげてもいいわ、だけど今回だけだから後でちゃんとミィとサイスに言い聞かせないとね。




「近くで見るけどもこの大樹、本当に大きくない? この中に住んでるの?」


【妖精王様はこの頂上に住んでるんだよ。 リトもここに住んでたからリルディアでも入れるから安心してね】




……確かに大樹にドアみたいなのがついてるのが見えてるけどもこんなとこに住んでたの?

森の中で住んでたとしても娯楽とかも何もないんじゃ絶対に飽きてくるでしょ、ご飯なら森で取れるでしょうけど何もないのは私には無理だわ。


オシャレだって出来ないし、美味しいご飯だって自分で作らないといけないし、よく勇者はこんなとこで住んでたわね。


ってか、これの頂上に住んでるって言ってたよね?

もしかして、妖精王って奴に会う為にはこの大樹を登らないといけないってことだよね?




「こんなとこに登る必要があるなら私行かないわよ」


【それならろーくんにさっくんがおねがいしてたからだいじょうぶ! リトはじぶんでいけたけどリルディアはいけないもんね】




ろーくんって誰か分からないけども妖精のどれかなんでしょうね。

リトはどんな魔法でも使えるって話だったからあんな高い木の上にも行けるのはわかるわ、でも私はか弱い魔法が使えない女の子だから無理よ。


この大樹の中に階段があったとしても面倒だから行かないわ。




【おーい! サイスシア!】


【ロードンロ、待ってたよ】


【ろーくん、きてくれてありがとう!】




にかっと笑いながら空から飛んできたのは緑色の妖精、これがミィの言ってたろーくんみたいね。

家から様子を見てた妖精は人間である私が気に入らないのか私には近付いて来なかったけど、この妖精は普通に私を見上げてるわね。




【よう、アンタがサイスシアとミィフォレントの巫女だろ? 俺はロードンロ、風の妖精だ!】


「リルディアよ……」




風の妖精って言うけども何か暑苦しい感じ……妖精ってミィもサイスもだけど顔面が良いのしか生まれないのかしら?

私は好きなタイプじゃないけど中々のイケメンだし、対象外だけど。




【よろしくな!】


「他の妖精は近付いて来ないけどアンタは私に近付いていいわけ?」


【ん? だって、二人の巫女なんだろう? なら、俺が警戒する必要なんてねえだろ】




ミィとサイスのことを本当に信用しているのかただ何も考えない馬鹿なだけなのか私にも笑いかけてる。

別に警戒されたいってわけじゃないからいいんだけども……なんか微妙な気分。




 

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