妖精を守る……話?④
【でも、魔力がなくなったらその魔法を永続させることは出来ない。 ミィフォレントが出て来たから数日持てばいいくらいかな? まあ、あそこには大事なものは何もないから人間が入ったとこで問題はないけどね。 あるとすればミィフォレントの魔力によって咲いた花くらいだろう】
【……にんげんにリトのばしょふみいれられるのやだ……】
「今はまだ条件に当てはまる人しか入れないみたいだけど、しばらくしたら魔法の効果は切れて誰にでもわかるようになるみたい」
さっきの目玉焼きに何をかけるかなんてくだらない喧嘩の中に居た人がまともな条件にするなんてあり得ないと思うけど……どうせくだらない条件なんでしょ。
だって、まともな条件であればあんなチンピラみたいな男たちが入って来るなんてことはなかったでしょうし、条件は性格とかそんなものじゃなくて別のモノよ。
ミィとサイスとの話は所々言ってない話もあるからディオ先生たちの中ではリトって人は凄い勇者だって思って居るのかもしれないわね。
もう居ない人なんだからどう思われてもいいんだけどね。
「他の者が入る前にギルドでもう一度入った方がいいな」
「勇者リトの隠れ家、何があるかわからない」
ディオ先生たちは真剣に考えてるみたいだけどそんなに考えても無駄じゃないかしらね、私は勇者なんて興味ないからどうでもいいんだけど。
でも、ディオ先生が話し合ってるとどんどんミィの期限が悪くなってきてるんだけど……大切な場所って言ってたから他の人が入るのは嫌なのかな。
【うー、やっぱにんげんはいるのやだー】
【ミィフォレントはずっとそこに居たからね。 リトとも思い出もたくさんあるだろう、僕はあそこよりはフェルドの谷に来て欲しくないかな】
ぷくーっと膨れてるミィを慰めるようにサイスが言ってるけどもフェルドの谷ってどこなのよ。
言っておくけど、私はそんなとこに絶対に行かないからね。
「で、ミィがついて来ちゃったから戻ってディオ先生に報告したの」
「……今度は何をやらかしたのかと胃が痛くなるかと思った。 まさか、セシルトが祝福を受けると思わなかったからな」
「まあ、それは私も予想してなかったわよ。 勝手について来ちゃったのは仕方ないでしょ」
私だって祝福して欲しかったわけじゃないもの、今からでも祝福が欲しいって言う人居たらその人にあげたいくらいだわ。
サイスの祝福だって体に痣があるし、これ以上妖精が増えたら私の体が痣だらけになっちゃうんじゃない?
【ミィはリルディアといっしょにいれてうれしいよー! リルディアのりょうりもおいしかった!】
【ほう、リルディアは料理も作れるのか。 僕も今度作ってもらおうかな】
気分が乗った時しかお菓子は作らないからね。
面倒なことはしたくないし、今度の休みはギルドに行って依頼を受ける予定だし、そんな料理なんてしてる暇はないのよ。
でも、ミィが居るなら魔法袋は欲しいから買ったら魔力を貰う代わりにお菓子を作ってあげるのはいいかも、ミィだからって借りを作るわけにはいかないもの。
「風帝が倒した魔族と出会ったのはその次の日、ってか今日ね。 授業の一環としてビックラットの調査依頼を受けて森の中に入ったの、でも、森の中は魔物の声も気配もなくて静かだった。 森の様子がおかしいってのは私もシアンもわかっていたけどもそれだけで戻るなんてことは出来なかったわ」
「情報も証拠もなくギルドに戻った所で学生がビビって逃げ帰ったとしか思われないからな。 戻るとしても何かしらの情報を取ってからにした」
「魔物の足跡がある方に進んで行くと大きな洞窟に辿り着いたわ、隠れて様子を窺ってるとビックラットとゴブリンが学園の生徒を捕まえて洞窟に入って行ったのが分かった。 私たちは二手に分かれることにしたわ、私とシアンは洞窟に入って生徒の安全確保、ライアとフィアとアルトはギルドに戻って情報を報告しに行くのと応援を呼びに」
面倒だったけどもあの時はそうするのが一番良かったし、今でもあの判断は間違ってなかったと思うわ。
ミィが居たからこそ洞窟にも楽には入れるようになったし、シアンが居たからあの馬鹿な魔族の男を任せることが出来た……偶然あのビッチを助けることになってしまったけど助けたかったわけではないわ。
そもそも冒険者は自己責任、学生の授業だから学園側は責任を取らなければいけない可能性はあるけども私にその責任はない。
見殺しにしたら何か言われるとは思うけどそんなの私にはどうでもいいわ。
「妖精様のネムリソウが効くまで俺たちは入口で警戒していた……一時的に俺は入口から離れたがその詳細はまたギルドから報告がある。 しばらくすると洞窟から魔族の男が現れた」
「私はシアンが魔族を引き付けてる間に洞窟に入ったわ。 あんなデカい魔族が洞窟内で暴れたら崩れていたでしょうし、シアンが引き付けてくれてよかったわ」