始まる帝会議⑤
「雷帝」
「へえ、火帝のお気に入りってわけか。 妖精様のことももっと知りたいし、俺様がリルディアちゃんを落としてみせるぜ」
ぱちんっとウインクしてる雷帝はチャラいけどまあまあイケメンではあるから似合ってはいるかもしれないけどね、私はイケメンであることは重要視してないから意味ないし。
そんな風に雷帝を適当に躱していればディオ先生が戻って来た、こちらを見ると小さなため息をつきながら雷帝を見ている。
「雷帝、子供に絡むな」
「これでも大人しくしてる方だろう?」
「毒の解析は終わったのか?」
「あー、はいはい。 今やってるよ」
チャラい雷帝と真面目なディオ先生ではあまり性格が合わないのか雷帝はディオ先生を苦手に思ってるみたいね、雷帝がまたさっきの機械の方に戻ったからかシアンは小さなため息をついて、また椅子に座った。
私の護衛を任されたといえど同じ帝にまで警戒するなんて任務に忠実なのね……その方が私的には安心だから良いんだけど。
「土帝と風帝が戻って来たらまた会議を再開するからな。 妖精様から直接話を聞いてるのはお前だけなんだからちゃんとしろよ」
「わかってるわよ、わかんなかったらサイスに聞けばいいだけだもん」
「……さっきから思ってたがサイス様ってのは妖精様の名前か?」
あ、そう言えばサイスから祝福を受けたことはシアンにもディオ先生にも内緒にしておく予定だったんだ。
妖精二人目からの祝福を受けて巫女にならされそうになってるなんてバレたら厄介になることは間違いないと思ったし……でも、まだ祝福を受けたことはバレてはないわよね?
確か水の妖精が居たってことは言ってた記憶があるけども祝福を受けたことなんて言ってないし、痣もついてるのは胸元だから裸にならないと見れないしね。
「うん、ここに居た妖精。 人間が嫌いみたいだけどミィが居るから協力してくれたの」
【人間は嫌いだがリルディアのことは好きだけどね】
【ミィもリルディアすきー!】
今はそんなこと聞いてないんだから別に言わなくてもいいんだけど、ディオ先生たちには声が聞えないから問題ないけど聞こえてたら色々な問題が出て来るんだからね。
それに、今は私だけが何故か聞こえてるけども世界は広いから他にも聞こえる人が出て来るかもしれないから、今から気を付けた方がいいかもしれないわ……。
「祝福は?」
「受けてないわ」
【リルディアは面白い嘘をつくね、普通の人間ならば祝福を受けたら自慢をすると思うよ】
うるさい、お金にならないことはどうでもいいんだから話に入って来ないでよ。
祝福があれば玉の輿に乗ることは簡単かもしれないけどもあいつらをその位置から引きずり落としてからじゃないと安心して玉の輿に乗れないんだから。
「……まあ、今はそれでいい」
ディオ先生は私の言葉を疑ってはいるみたいだけど今は追及しないつもりで居るのかあっさりと引いてくれた、何時か聞き出そうとしてるのがわかるけども絶対に言わないからね。
ディオ先生が椅子に座ると風帝と土帝が一緒に部屋に戻って来た、こんなに早く戻って来るなんて他に怪しい人は居なかったっぽいわ。
私の命の危機があるからやっぱり誰にも弱点のことは言わない方がいいわんr。
どこから話が漏れるかわからないし、私は私以外を信じていないもの、結局最後まで信じられるのは自分だけなんだから。
「外にはいなかった」
「宿の中にも怪しい人物は居なかったね。 さっきの女だけみたいだよ」
「そうか、先ほどの女はギルドに引き渡してきた。 情報が入り次第ギルドマスターが直接来るそうだ」
三人が報告し合ってるのを見ながらも手持無沙汰なので人差し指でミィと頭を撫でるように動かしてみる、ミィはキラキラとした瞳で私を見上げると嬉しそうにしつつにこにことしてる。
暇つぶしのつもりだったのにこんなことで嬉しそうにしてるなんてミィは安い女ね、ミィが嬉しそうにしているとぽんぽんと花びらがミィの周りに散ってた。
「あたしも妖精様のお姿を拝見したいよ」
私の前に花びらが散ってるのがわかったのか風帝はうっとりとしたような表情で花びらが散ってる辺りを見ている、ミィ自身は見えないけどもミィが出した花びらが見えるのも不思議よね。
まあ、これのおかげで私が嘘つきに思われないから問題ないんだけど。
「ほう、妖精様の祝福を受けたと嘘を言う奴は多いがまさか本当だったとは」
「だよなー、こんなに可愛くて妖精様から愛されてるなんて他の貴族に知られたら誘拐されるぜ」
「だから、セシルトのことは秘密にしてる。 特に五大貴族にはバレないようにはな」
私の戸籍上の両親だけが悪いわけじゃなくて今の五大貴族は全員が全員悪い人みたいだからの、全員が全員別のベクトルで。
引きずり落とす為に色々調べたけどもどの貴族も相当酷いわよ、それは蛙の子は蛙になるはずよね。
私はあんな奴らの為に使われたくないから絶対にバレるわけにはいかない、バレたらすぐにこの国を出るつもりだからね。
冒険者として生きながら玉の輿を目指すことにするわ。