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ぶりっ子少女の夢は玉の輿  作者: 猫目 しの
異世界の日々
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魔武器と決闘

 



あの日以来、私がディオ先生に呼ばれる事はなくなった。

私が五大貴族だからだろうとは思うけどだからって疑われてないわけではない。

今まで疑われる事なんかなかったし、ディオ先生との勝負はちょっと楽しいかも。




「今日は魔武器を作るから今からグラウンドに集合しろよー」



朝礼が終わりクラス中がガヤガヤと騒がしい時に教室を出ようとしたディオ先生の言葉に全員がピタッと固まるもすぐに移動を開始した。

魔武器は使いこなせれば普通の武器より切れ味も威力も強くなる。




「リル、危ない魔武器は欲しくないなぁ」



私の両隣はセルディアとクリュスがいつも居る。

私的には王子に近寄りたいけど卒業まで時間はたっぷりあるし我慢しよう。




「魔武器はその人の本質で決まるからな。 リルちゃんなら回復系の魔武器が出てくるんじゃないか?」


「リルに武器は似合わないからね」



チヤホヤされるのはいいんだけど本質で魔武器が決まるなら回復系の魔武器なんて出てこない。

まあ、剣や斧みたいな大きいのは多分ないから小さなナイフが妥当だと思う。

それか鞭。


魔力がないから纏わせる事は出来ないし魔武器がわかったら使い方を練習しないと。

次の休みにはギルドに行くつもりだしね。




「おっ、もう全員集まってるみたいだな」



グラウンドに着けばもう私たち以外来てたのか欠伸をしてるディオ先生の周りに集まっていた。




「全員集まったな。 今から魔石を取りに来てもらうから取った奴から魔武器作っていいぞ。 そこで寝てるから出来たら報告しろ」


「じゃあ、俺が取ってくるな」



いつもの五大貴族メンバーになってるし、後はシアンとライアだろう。

8人でやるとか多いなぁ。


ライアに近付けるからいいんだけど。

サラ達が固まってる方に向かいながらさり気なくライアの隣に移動した。




「ライアはどんなのが出ると思う?」



最初は様付けしてたけど友達になったからしなくていいと言われたので今は呼び捨てにしてる。

ライアもシアンも私の魅力には落ちてないみたいだし頑張らないと。




「どうだろうね、やってみなきゃわからないや」



にっこりと王子スマイルを浮かべてるライアに周りの女が顔を赤らめてるのがわかった。

私は平気だけどね。


ライアとシアンと一緒に居るようになってから更に女には恨まれてると思う。

元々、セルディアとクリュスと一緒に居るし他の男にも甘い顔してたから恨まれてたけど更にイケメンなライアとシアンも一緒に居るようになったからね。


私は別に苛めとかあっても平気だから大丈夫だけど。

ってか、五大貴族の私を正面から苛める人なんて居ないでしょ。




「持ってきたぜ。 じゃあ、やるか」



クリュスは持ってきた魔石をみんなに配れば我先にと言わんばかりに手に魔力を込めている。

魔石に魔力が集まれば軽く光った後、クリュスは魔石ではなく大剣が握っていた。


あれ?

魔力を込める必要があるなら私はどうすればいいのだろうか?

ディオ先生は何も言わなかったけど。




「おやおや、一直線なクリュスにピッタリな武器だな」


「次、やります」



チラチラとシアンを見ていたアリスが手を上げればサラとレイアは悔しそうにアリスを見ている。

順番なんて何番でも同じでしょ。

ただ、どれだけ優れた魔武器を作れるかどうかでしょうし。


クリュスと同じように魔石に魔力を込めれば魔石は黒い鞭にと変わる。

……普段大人しいのに鞭って見方がちょっと変わるかもね。




「役に立ちそうにないかもね」


「次は私がやるわ」




女の蹴落とし合いは男にとったら恐怖かもしれないわね。

まあ、私は全然怖くないけど。


レイアは良い魔武器を出してシアンに見てもらいたいのか強い魔力を魔石に込めているけど、ただの馬鹿。

魔武器は魔力の量じゃなくて質で決まるのに無駄に魔力込めちゃって。



レイアの魔石は細い剣、レイピアにと変わる。




「攻撃出来るかもしれませんが防御出来ないですね」


「じゃあ、次は私」



ビッチ女たちが張り合ってるのでセルディア、シアン、ライアは見てるだけになってる。

最初に作り始めたクリュスは偉いね。

私もまだだけど魔力ないから作れるかわかんないし。


サラが作る魔武器に興味なかった私は作る姿を見ていなかったけど、サラの手には弓が握られていたのでそれが魔武器なのだとわかる。


今の所、前衛3人に後衛1人か。

8人パーティーなんてないから何かやるとしても半分の4人でしょ。

組むとしたらライアと組みたいけど魔武器にもよるかな

私の武器はナイフだから前衛だし。




「弓なんてただ避ければいいだけじゃない」


「何か文句ある?」


「私が一番いいでしょ?」


「防御しないつもりですか」




3人の間にバチバチと火花が散りながら蹴落とし合いが始まった。

蹴落とし合いってかただの子供の喧嘩だけどね。



「次は僕がいく」



セルディアは喧嘩を見ないようにしながら魔石に魔力を込める。

まあ、あんなの介入しない方がいいしね。


あっ、クリュスが止めようとして巻き添えくらった。





「リル、僕は双剣だったよ」



わざわざ私に報告してきたセルディアの手には綺麗な双剣が握られてる。

……作る所見てなかったけど。


私が見てなかったなんて言ったらセルディアは拗ねるから面倒。

まっ、それだけ可愛い私に惚れてるって事だからいいけどね。




「セル兄様の剣綺麗ぇ~。 格好いいセル兄様にピッタリかも」




少し頬を赤らめながらもちらっとセルディアを上目遣いで見ればセルディアの頬も赤くなってるのがわかる。

私の上目遣い可愛いでしょ?




「……ライア、次やれ」




セルディアと見つめ合ってたら不機嫌そうにシアンがライアに言った。

ライアとシアンは落ちにくそうだし、あんま色恋に興味ないのかな。



「はいはい」




にこにこと楽しそうに笑ってるライアは不機嫌そうなシアンも気にせず魔力を込めた。

親友っぽいしライアにはシアンが不機嫌になった理由がわかるのかも。


セルディアといちゃつくのを止めながらライアを見ていれば魔石は細長い棒に変わった。




「これ、何だろ?」



ライアも武器が出てくると思ってたのか細長い棒に不思議そうにしてる。

あれ? 私あれが何か知ってる、武器じゃないけど。


あれはフルートだ。

こっちは楽器がないから誰もわからないだろう。

もしかしたら、棒状だし殴る物だと思ってるかもしれない。 



「これも魔武器なのぉ?」


「初めて見る形だけど魔石から出来たし魔武器かな?」




やはりライアは使い方をわかっていないのか不思議そうにしながらフルートを振っている。


教えた方がいいだろうけど……いっか。

自分でわかった方がいいだろうし、それでもわかんなかったら教えればいいだけ。



「次は俺だ」



疑問を抱えてるライアを無視しながらシアンは魔石に魔力を込めてる。


そう言えばシアンとライアってどんな仲なわけ?

王子とギルドマスターの息子だからやっぱりギルドの依頼とかなのかな。

……今度聞いてみよう、もしかしたらライアを落とす為の攻略法がわかるかもしれないしね。


シアンの魔石は軽く光れば銃に変わった。

この世界の銃は弾ではなく魔法を撃てるらしい。

普通に買えば結構値段が高いからあまり貴族とかしか持ってない。




「シアンは銃か。 次はリルディアちゃんだろう?」


「リル出来なぁい……」



ライアに催促されたとしても魔力のない私が作れるわけないし。

たくっ、クリュスもわかってるんなら持って来ないでよね。




「リルは僕が守るから魔武器なんていらないさ」


「俺も居るしな」




1人でギルドに行く時はちゃんと戦うけどね。

学校に居る間は私を好きな奴が守ってくれるから必要ない、何があるかわかんないから一応ナイフは持ってるけど。



「甘やかしてるだけじゃ駄目じゃないっ」


「そうよ。 リルディアももう10歳なのよ」


「戦えなきゃ死にますよ」




いつの間にか喧嘩が終わってた3人が私を援護してるセルディアとクリュスに意見する。

あんた達的には私は死んだ方がいいんでしょう?

死ぬ気はないけど。



「だからって魔力がないんだから魔武器は作れないだろ?」


「魔法も使えない、魔武器も持ってないじゃ可愛いリルがそれこそ死んでしまうじゃないか」




セルディアとクリュスは絶対私の味方なんだから守ってくれるに決まってんじゃん。

特にセルディアは過保護で着替えから何もかもさせてくれないのに。

だからこそ、ラースとの特訓の時は怪我もしたからうるさいくらい騒がれたんだけどね。




「……人には向き不向きがある。 無理に戦う必要はない」



シアンにも言われてしまえば3人はショックを受けたように黙ってしまった。

私もシアンが言うとは思わなかった。


ライアも予想外だったのか鳩が豆鉄砲を食らったようにシアンを見てる。

あっ、もしかして私に惚れちゃったとか?

……あのシアンが誰かに惚れるなんてあるかわかんないけど。




「おや、そこに居るはリルディア嬢じゃないか」



悔しそうに手を握り締めながらも泣きそうな表情の3人をスルーしていればいきなり声が聞こえてくる。

振り向けば入学してからすぐに私に告白してきたコーノ・トスシルナが居た。


もちろん、私は断ったけど。




「リルに何か用か? トスシルナ」


「僕の愛しの姫君が居たから声をかけただけさ。 リルディア嬢もこの僕に声をかけられて嬉しいだろう?」



 

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